「何であいつは人の意見に反論するんだ!」などと腹を立てた経験、誰にでもあることでしょう。でも、考えてみてください。全員の趣味嗜好が同じで、反対意見がひとつも出ない会社、学校、サークル、社会…何だか座りが悪くありませんか? 今回の無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、著者の須田將昭さんが「多様性」について考えます。
多様性こそ社会を作る
先日、宝くじ売り場の前を通ったときに、5億円や7億円など景気のいい数字を見て、ふと「さて、5億円当たったら何をするかなあ」と考えました。めったに宝くじは買わないのですが、妄想するのはただですから…。みなさんならどうされますか?
家を買う。高級外車を買う。いやいや、物に変えても高が知れてる。そこは世界一周旅行だろ。いやいや。それだけのまとまったお金があれば投資にまわしてもっと儲けよう…。
人それぞれ、違った答えが返ってくるかと思います。ものすごく乱暴な言い方をすれば、これが多様性です。
みながみな、全く同じことを考えては世の中は成り立ちません。不況の時には公務員人気が高くなる…と言われます。確かに競争率があがりますが、高くはなっても「全員」が公務員を目指すわけではありません。会社組織の中でも、営業やりたいという人がいて、広報をやりたいという人がいて…と様々でこそ、会社組織は維持されます。
それの端的な状態がギャンブルです。競馬を例にとります。圧倒的な実力で圧倒的な人気を集める馬の単勝オッズは1.0に近づきますが、それでも得票率は80%強だと聞きます。ほぼみんながみんな「あの馬が1着になる」と思うような状況であっても、2割ぐらいの人は「いやいや、こっちが勝つ」と考えて、違う馬の馬券を買っているのです。
これがないとギャンブルは成立しません。賭ける対象がみな同じでは、もらったお金は全部返すだけになってしまいます。賭けに当たる人もいて、外れる人もいるから「配当」という形がうまれてギャンブルが成立します。
どんな世界でも、圧倒的人気を集めても、必ずそれとは違うところを支持する人がいます。圧倒的人気を支持している側からは「なぜ? なぜそっちを支持するの?」という疑問がわきますが、実はそれが「普通」なのです。
本当に全員が全員、全く同じ支持をする、という社会があれば、それはある意味不健全な、何かしらいびつなものがあると思った方がいいだろうと思います。
みなさんの周りを振り返ってみて、会社、学校、地域、同好の士のサークルなど、いろんな団体、組織がありますが、どんなところでも、一定の多様性を維持している団体ほど、健全といえると思います。
ギャンブルの話を持ち出しましたが、たまに非常に高額な配当を得ている人がいます。「よくまあそんな馬券を買うことができたものだ」と思うのですが、どう考えても非効率に思える、可能性が低い馬券にこだわる…というのも、一つの多様性です。
安定を求めるのか、冒険を求めるのか。海にいくのか、山にいくのか、家にこもるか、街に出るか。
いろんな形のいろんな多様性があってこそ、世の中は回っているのだなあ…と最近あらためて思うところです。
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