大会日程の約半分を消化した夏の甲子園。猛暑の中、懸命にプレーする球児たちを裁く審判には、正確な判定と的確なアクションが求められます。例えばアウトの宣告。無料メルマガ『こっそり覚える野球審判』の中で元プロ野球名物審判が、正しいアウト判定の形をきっちりと解説してくださっています。これがなかなか深くて簡単なものではなく―。
アウトの判定をする
アウトの判定は、球場にいるすべての人達に理解できるような「形」で宣告する事が望ましいと思います。
独り善がりの「形」では、審判がピエロになるだけですよ。プロ野球の審判の「形」だけを真似しても、判定が正確でなければ、陰で大笑いされるのが眼に見えます。
プロ野球の審判のアウトの「形」は、身体全体でそのプレイの判定を表現したものであって、「形」をつくるための宣告ではないのです。その表面上の「形」を真似しても、格好が良い訳がありません。
アウトの宣告の仕方は、皆さんご存知だと思いますが、一応解説致します。
プレイを判断する「ルックの姿勢」から、左腕を前方から上方へ「自然」に上げて来ます。この際の手は「握りません」。
肘が肩に並んだら、その瞬間に「トンカチで前の塀を叩く感じ」で握ります。握った瞬間に「身体も静止」しますよ。
そして、周囲に知らしめる事が出来たと感じたら、「アウトの形」を解きます。この「アウトの形を解く」タイミングが難しいのですね。長くてもいけませんし、早くてもいけませんからね。
これは周囲の状況を感じる事で、そのタイミングというのは決まってくるのですが、文章では難しいですね。(;^_^A アセアセ…。
フォースアウトの時の「顔(目線)」は、「そのプレイが起きた塁」に向けます。決して走者の動きに目線を移動してはいけません。意味がありませんので。
大体、目線を走者に向ける方は「走者の様子」を窺うために向けるようですね。「私のアウトが間違いなかったかどうか」を確認するために(爆)。
文句を言ってくるのではないかと疑心暗鬼の場合も、そのような目線となりますよね。
自分の「アウトの宣告」が正しいと確信しても、していなくても(爆)、走者に眼を転じる必要はありません。既にその走者(打者走者)は、試合には関係なくなっているのですからね。
解説が前後します。
野手の確捕を確認してから「アウトの宣告」をするのですが、プレイの確認と「ボールの確捕」は別々の動きで確認するのではありませんよ。すべて自分の「視界の中」で完結しなければいけません。これが「技術」なのですよ。
プレイを見る。
ボールの確捕を確認する。
そして、アウトの宣告をする。
この3つを「同じ身体の形のまま」、アウトの宣告をするのです。
もちろん「アウト」を宣告する場合は、プレイを見ている形から起き上がりますが、原則はプレイを見る事とボールの確捕を確認するのは、同じ顔の位置で行いますよ。
動くとすれば「目線」だけです。
顔も一緒に「ボールの確捕」まで動くとすれば、視界の中で「判定は完結」していないという事になります。審判が「判断して判定する」までは、余計な顔の動きはするのもではありません。目線もブレますし、その瞬間の残像がなくなります。
ここ大事ですよ。
プレイの残像が残っている事で、そのプレイを正しく宣告出来るわけです。塁審のトラッキングと言っても良いですよね。タイミングだけで宣告してる人も中には見受けられますが(爆)、そのような審判の方には、プレイの残像はありません。
残るのは、判断の材料となる瞬間ではなく、プレイの動きだけなのですよ。プレイの動きだけで「判定」出来るのであれば、審判は必要ありませんね。ですから「残像」がブレないように、「最終的なストップ」が重要となるのです。
最終的なストップは、そのプレイが行われる瞬間のストップなのです。
本日はこれでお終いです。
image by: Shutterstock
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