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来店数が10倍に。常連客を自然とリピーターにする驚きの方程式

店舗が繁盛するか否かはリピーターの数によるところも大きいと言われますが、ではそのリピーターを増やすには一体どうすれば良いのでしょうか。ヒントのひとつとして、今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では著者で現役コンサルタントの梅本泰則さんが、あるスポーツショップが始めた「マイガット」システムについて解説しています。

マイガットで確実にリピーターを増やす

前号「卓球市場で生きる店」では、卓球ラバーがリピーターを増やすというお話をしました。卓球選手にとって、ラバーの交換は必須だからです。

それは、卓球ばかりではありません。多くのスポーツにとって、用具の修理や、パーツの交換は必要なことです。そして、その技術がうまいことも、お店にとっては差別化になります。テニスやバドミントンのガット張り替えの技術もそうです。

そう、ガットの張り替え。テニスやバドミントンに力を入れているお店にとって、この技術は命です。そこで、今回は、ガットの張り替えでリピーターを増やす方法をご紹介しましょう。

もちろん、ガット張のうまいお店には、それだけでお客さまが集まってきます。リピーターになる方も多いです。ところが、このガット張の場合、その技術のうまい下手にかかわらずお客様を集めることのできる方法があります。しかも、確実にお客様がリピーターになってくれる方法です。

どんな方法か知りたくはありませんか? 簡単にご説明しましょう。

それは、あるバドミントンに強いお店に行った時のことです。私は、びっくりしてしまいました。レジカウンターの後ろの壁一面に何十個ものロールガットが整然と飾ってあります。ロールガットとは、業務用のガットのようなもので、一つのロールに巻いてある長いガットのことです。一つのロールで、何本ものラケットにガットが張れます。それは壮観でしたね。

そして、よく見ると、それぞれのロールには人の名前が貼り付けてあります。思わずお店の方に尋ねました。

「何ですか、これは?」
「これは、ガットキープです」

そう言われても、ピンときません。お店の方は、詳しく説明をしてくれました。

ガットキープって何?

「夜、飲み屋に行くと、よくカウンターの棚に、『ボトルキープ』をしてあるお酒が並んでいるでしょう。そして、それぞれのボトルには、お客様の名前が書いてありますよね。あれと同じで、自分のガットに名前を付けてキープしてあるのです」

なるほど。「マイガット」がお店に置いてあるというわけです。では、どうしてマイガットがお店にキープしてあるのでしょう。

ガットは、練習をすればするほど切れます。選手にとって、ガット代はバカになりません。長いロールで買った方が安上がりです。そこで、このお店は、お客様にロールで買うことを勧めます。そして、そのロールをお店で預かってあげることにしたのです。

自分のガットがお店にキープしてあれば、自然とそのお店に行って張り替えてもらうことになります。ですから、ガットをキープしているお客さまは確実にお店のリピーターです。考えましたね。

では、ガットはどのくらいの練習時間で切れてしまうのでしょう。部活の学生さんですと、平均して1か月で切れてしまうそうです。ということは、一人のお客様が年間10回くらいはガット張り替えのためにお店にやってきます。

一般的には、スポーツショップへの来店頻度は年間1~2回です。はるかに、この数字を上回っています。つまり、ガットキープは実に効率の良い「囲い込み」方法なのです。

では、通常売られている一本分のガットとロールガットとでは、どのくらいのお得感があるのでしょう。

ガットキープをするワケ

バドミントンですと、ラケット一本に使うガットは10mになります。ロールガットは、100mのものと200mのものが一般的です。ということは、一つのロールで10~20本張れます。しかも、値段はロールの方が20%ほど割安です。つまり、通常より2~4本分多く張れることになります。それならば、ロールガットを買った方が得です。そのロールガットをお店で預かってもらえれば、いちいち自分で持っていく面倒がなくなります。これが、マイガットをキープするお客様が多い理由です。

そして、このお店では、ガットキープをしたお客様は、ガット会員として登録されます。会員になるともらえるのが、ガット張スタンプカード。ガットを1回張るごとにスタンプが押され、10回スタンプがたまれば1回無料でサービスしてもらえます。

ガットの張代はお店によって違いますが、別途必要です。1回1,000円くらいでしょう。選手にとって、この支出もばかになりません。1回だけでも無料になるのなら、お客様はずいぶん得をした気持ちになります。これも、会員になってもらうための仕掛けです。

さらにいえば、ガットキープの良さは、価格だけではありません。選手は、技術が上がるほどそれぞれの張り方の好みが出てきます。ガットキープがしてあるお店ならば、そんな微妙なことも分かってくれているのです。私が選手なら、このお店のガットキープシステムを使いますね。

いかがでしょうか。ガットキープの仕組みは確実にリピーターを増やす方法です。今お店がお持ちの技術の中でガットキープのような方法を応用できるものはありませんか? それを見つけられれば、さらにリピーターを増やすことができます。どうか一度お考え下さい。

■今日のツボ■

  • スポーツ店にとって、用具の修理や交換は必須の技術である。
  • マイガットをお店でキープすると、確実にリピーターが増える。
  • さらに、スタンプカードでガット張代をサービスすると効果的。

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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