待ちに待ったボーナスの季節、気になるのはその支給額です。育休や産休、介護休暇を取った場合に減額されるようなことはあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で現役社労士の飯田弘和さんが、ボーナスを巡る様々な疑問について専門家としての見地から答えています。
御社の就業規則には、賞与の定めがありますか?
御社には、ボーナスがありますか? 賞与(ボーナス)は、支給してもしなくても、どちらでも構いません。ですから、「賞与(ボーナス)なし」でも、構いません。その場合は、就業規則に定める必要もありません。
ただし、もし賞与(ボーナス)を支給するのであれば、就業規則に定めておくことが必要です。定めた以上は、その定めに従った支払いが必要になります。
ボーナス支給に関して、問題となる事柄をいくつか挙げます。
- ボーナス支給日に在籍していない者へも、支給しなければならないのか?
- ボーナス支給後すぐに辞めてしまう者へも、支給しなければならないのか?
- 業績不振でも、支給しなければならないのか?
- 懲戒処分を受けた者へも、支給しなければならないのか?
- 算定対象期間中の一部に、「休業」や「休職」がある者へも、支給しなければならないのか?
このような問題に対処するためには、就業規則に明確に定めておくことが必要です。
1.についての対応
規定例:賞与は、支給日に在籍する労働者に対して支給する。
2.についての対応
規定例:支給日から1ヶ月以内に退職を予定する者については、その額を減額して支給することがある。
3.についての対応
規定例:会社の業績不振その他やむを得ない事情により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
4.についての対応
規定例:懲戒処分を受けた者については、その額を減額して支給することがある。
5.についての対応
規定例:算定対象期間中の一部に、「休業」や「休職」がある場合、「休業」または「休職」日数分を減額して支給する。
ここで、気をつけて頂きたいのが、「産前産後休業」や「育児休業」、「介護休業」を取った者に対して、休業日数分以上の減額措置を行うと、「不利益取扱い」を行ったと判断されます。これは、均等法上の違法行為です。
また、「所定労働時間の短縮措置」の適用を受けた者の賞与は、その短縮割合に応じた分しか減額することができません。それ以上の減額は、「不利益取扱い」として、均等法違反となります。
均等法違反の行為は、労働局雇用均等部からの指導を受けたり、損害賠償請求の裁判を提起されることがあります。
ボーナスは元々、支払うかどうかは御社の自由です。支払い義務があるわけではありません。ですから、支払うにしても、支払条件等について自由に定めることができます。
ただし、ある特定の従業員について不利益となるようなものは許されません(例えば、労働組合員についてのみ不利益となるような定めは許されません)。また、法律で認められた権利を行使した者を不利益に扱うことも許されません。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社の就業規則には、賞与の定めがありますか?」
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