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【書評】「日本は借金大国」という大嘘を流す人々の呆れた狙い

「日本はこのままでは財政破綻する」といった主張は大嘘である―そんな衝撃的な内容が記された書籍が話題となっています。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介されているこちらの一冊は、日本がすでに財政再建を達成している事実を数字とデータを用いて証明、さらになぜ政府が持つ莫大な資産を隠すのかという理由についても暴露しています。

なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか
高橋洋一・著 KADOKAWA

高橋洋一『なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか』を読んだ。最近流行の長いタイトルである。日本で蔓延る国際、経済、安全保障、内政問題などの悲観論を、主に数字やデータでぶった斬る素敵な内容なのに、それがまったく想像もできないダメなタイトル。もったいない。

「思考の出発点が数字やデータならば、理論が感情や雰囲気やイメージによってブレることはない」という著者は、大蔵省理財局資金企画室長、内閣府参事官などを歴任、小泉・第一次安倍内閣のブレーン。官僚の行動原理も知り尽くしている。一般の経済学者の語り口とは違い、ロジックとデータから出発し、計算によって導き出した客観的な根拠があるという。小気味よい切れ味だ。

わたしはそもそも算数が鬼門で、経済がわからないから、「『日本の借金1,000兆円』の大嘘」の恐ろしく分りやすいであろう説明も、じつは難解だった。この大嘘は左派マスコミや財務省の御用学者ばかりか、どこにも紐がついていないエコノミストの中にも疑わない人がいる。国民が騙されるのは無理もない

筆者にいわせれば「いまさら」だが、日本の財政はそれほど脆弱ではない。いわんや「このままでは財政破綻する」という主張には失笑さえ覚える。(略)「借金1000兆円」というのは、国のバランスシートの右側だけを示す数字である。

そもそも、政府のバランスシートを最初に作成したのが、20年以上前の役人時代の筆者なのだ。しばらく未公開だったが、いまは財務省サイトにある

さらに日銀のバランスシートも公表されている。これらを見れば「日本は借金まみれ」「財政は破綻寸前」は大嘘である。日本政府は先進国のなかでも突出した資産を保有している。本当の借金は100兆円そこそこGDP比で20%程度、これで財政破綻寸前なら、65%のアメリカ60%のイギリスなどはとっくに破綻だ。

断言しよう。日本の財政再建は実質的に、すでに達成されているのである。

日本の政府は680兆円もの莫大な資産を持っているが、このことが国民に分かると、なぜ官僚は困るのか。特殊法人などの「政府関係機関」を民営化や売却で換金されてしまうと、自動的に官僚の天下り先が消滅してしまうからだ。

財務省が画策する消費税引き上げの目的は、国の財政を守るためでも、国民の資産を守るためのものでもなく、自分たちの天下り先を守るためである。

2014年の消費税増税を決めたのは民主党の野田首相だった。経済の仕組みを理解していないのを見透かされ、財務省のいいなりに政策を進めてきたからだ。

財務省が目指すのは「経済成長」ではなく財務省自体の権力保持のための「財政再建」であり、目的を果たすためには嘘の数字や理論まで持ち出してくる。財務省の嘘を信じて不合理な決定を下したのが安倍首相の失態である。GDP伸び悩みの要因は、2014年4月の消費税率を5%から8%に引き上げたことにある。

この本とは関係ないが、安倍首相が消費税を5%に戻す、という怪しげな説がある。官僚、野党、反安倍勢力のマスコミは大反対するだろうが、反対する国民は一人もおるまい。……何だか、ありそうな気がする。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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