受け取る側にとって退職金は老後の貴重な資産ですが、この制度に関して企業側に注意を促しているのは、無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社労士の飯田弘和さん。制度を定めるにあたり、必ず盛り込んでおくべき「定め」について記しています。
御社の就業規則には、退職金の定めがありますか?
退職金制度を設けるかどうかは、御社の自由です。退職金制度がなくても、何ら、法的問題はありません。
ただ、優秀な人材の募集・採用や長期継続雇用のためには、退職金制度はあったほうが良いと思います。退職金制度は、御社の人材育成や人事制度と矛盾しない、あるいは、連動した制度を作るべきです。
そして、退職金制度を設けた場合には、適用される労働者の範囲や、支給要件、支給時期、金額の計算方法などを、就業規則に記載しなければなりません(退職金制度は、就業規則の相対的必要記載事項に該当します)。
退職金制度を定めるに当たり、注意点を挙げておきます。
必ず、「一部不支給」の定めを入れておくべし!
「懲戒解雇された者には、退職金を支給しない」旨、書かれていることは多いと思いますが、それだけでは不十分です。退職金には、「賃金の後払い的な性格」もあります。したがって、全額不支給とするには、「労働者の勤続の功を抹消してしまう程の著しく信義に反する行為」があった場合に限定されます。
裁判でも、「懲戒解雇は認める(有効である)が、退職金不支給は違法である」という判決も出ています。
ですから、「一部不支給」の定めを必ず入れて、退職の状況によって柔軟に対応できるようにしておくべきです。
また、「不支給」や「一部不支給」とするのはどの様な場合か、必ず、具体的に定めておいてください。具体的でなければ、その定め自体が無効とされる可能性がありますし、従業員の不当行為に対する抑止力も働きにくくなります。
懲戒解雇はもちろんですが、「それと同等の事由がある者」や「会社所定の手続きを踏まずに退職した者」も、減額の対象者として定めておきましょう。
また、「不正の疑い」などがある場合には、その疑いが晴れるまで、「支払いを保留」できる定めも必要です。一度支払ってしまった退職金を返却させるのは、かなり難しい。ですから、支払う前に、じっくり調査・検討できるよう、「支払い保留」の定めが必要です。
もともとの支給時期も、少し余裕を持って、長めに定めておくとよいでしょう。「退職後すぐ支給する」とはせずに、「退職後3ヶ月以内に支払う」くらいの定めは如何でしょう?
退職後に就業中の問題行動が発覚することは、よくあります。不正が明るみに出ることもあります。退職後3ヶ月くらいは、そういったことがないか様子をみる期間だと思って頂ければ良いのではないでしょうか。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社の就業規則には、退職金の定めがありますか?」
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