今まで複数回にわたり「地産地消経済」の有益性について説いてきたメルマガ『国際戦略コラム有料版』。今回は著者の津田慶治さんが「地産地消経済の働き方」と、必要とされる能力について詳しく記しています。キーワードである「ユニーク性」という言葉には、どのような意味が込められているのでしょうか。
地産地消経済の働き方
地産地消経済は植生文明であり、普通の生活ではそれほどお金が必要ないが、それでは働き方はどうなるのであろうか。それを検討しよう。
地産地消経済とは
復習になるが、今後、エネルギーは再生可能エネルギーになり、どこでも低価格で手に入り、食糧も地場で必要なものができて、安くなり、材料も地場で調達できることになり、生活に必要なものが手近で手に入ることで、生活を送る費用は軽減されることになる。
日本では、太陽光発電の単価が徐々に下がり、蓄電池価格も徐々に下がってきている。水力発電も水が豊富で落差も大きい。樹木も多く間伐材もたくさん出てくる。バイオ発電もよい。エネルギーの需給が中東の石油から日本国内に移ることになる。
食糧生産においては、農村人口の急減で、大規模農家が可能になってきたことで、農産品は安いが、農家は高所得が期待できるようになってきた。日本ではできない農産品や漢方薬原料の植物は、植物工場という手が見えてきている。それに加えて、人口の急減少で食料の輸入が必要なくなる可能性もある。あまりにも急激なので、緩和化が必要であると思っているが。
そして、鉄に代わるセルロース・ナノファイバーが材料・素材として大きな位置を占める方向が明確化してきている。
このため、日本は食料、エネルギー、材料の輸入金額が少なくなる方向である。日本の国際競争力が下がり、かつ財政赤字で通貨円の価値も下がっていることによる輸入金額が高いという問題も、輸入自体ないことでなくなる方向である。日本の急激な先進国脱落が、このような状況を生んでいる。
その上に、北朝鮮は核ミサイルで、日本を壊滅するという脅しもあり、欧米諸国の投資家は、日本売りになってきている。日銀の金融緩和と政府の無策で、日本に魅力を感じなくなってきている。
しかし、すべてが安くなるのかというと、そうではない。嗜好品に対する需要が世界的に高まることになる。本当に良いものを求める富裕階層は世界に多数存在するので、その人向けの商売は盛んになる。
1. 嗜好品市場
マザーハウスのように、発展途上国の優れた素材を見つけてきて、それを加工して買う層がいる世界の都市で売る商売などがある。それも途上国の職人がその国でも高給と思える賃金を出して作り、先進国の商品と同程度の高い価格で売る。その需要がかなりある。お客は、商品の質も満足し、途上国援助という気分も味わえることになる。
このように、嗜好品の味付けは、先進国のブランド物から違う方向に徐々に変わってきているが、嗜好品はいつも富裕層に求められている。
マザーハウス代表の山口絵理子さんの考え方が、他の人とは大きく違うことで、成功しているように感じる。山口さんの人生も波乱に富んでいる。しかし、真に流れている考え方は強烈である。
山口さんのようなユニークな商品コンセプトを作るのも、個人の能力である。個人の自由性が大切な時代になってきている。
汎用品は、低価格で大量生産であるが、この分野は世界市場ではなく、地産地消の世界であり、世界展開する企業の分野である。また、人工知能なども出てきて、汎用的な考え方は機械化されるので、ユニーク性のない世界は機械化されてしまう可能性もある。
このため、人間が行うことは、今までとは違う革新性が必要であり、このことでしか役割をなくすことになる。この分野も機械化される可能性もあるが、その可能性より人間の革新の可能性のほうが大きい。
2. 働き方とは
日本人は、今まで同調性が高いと言われていたが、今後、人生100年時代になり、100歳の寿命を考えると、複線人生を考えておくことが必要のようである。同調性からユニーク性に自分の意識を変えることである。一部のユニーク性でよいので、ほとんどは同調性でよいが、確実にユニーク性を持つことである。
会社で働くことも重要であり、提案書の作り方や部下指導や企業経営の仕方などを実地体験できることは重要である。周りにいる自由業でも企業で管理職になっていない人は、何かが不足している感じがする。指示を受ける立場ではなく、指示を出す立場になることが重要と思う。全然、考え方が違うことになる。
会社で定年まで勤めるもよし、部下を持ち提案書を書く必要になる5~10年程度でやめるもよしであるが、いつも自分の趣味や興味の範囲を広げることが重要である。それが、次の生き方に繋がるようである。
他人のまねのできない自分のユニーク性を作るとか見つけることである。このユニーク性を次の人生を切り開く糧にすることである。
ユニーク性とは、自分の可能性を見つけることでもある。
企業も製品開発には、個人のユニーク性が必要になる。新製品の新しさは、個人の発想によることが大きい。このため、企業も個人のユニーク性を高められるような施策が必要になる。個人の自由性を最大限確保していくことである。このためには、兼業解禁や自由労働範囲の拡大などが必要であろう。特に企画や研究職では重要である。
ということで、企業でも個人のユニーク性を必要としているのである。
3. ユニーク性
私は、祖母から仏教思想を教わり、自分でも研究して独自の方法を見出したように感じる。集中力が座禅で高められ大学受験でも、それが効いたようである。高校では真ん中より下であり、望める大学ではなかったが、勉強の集中力が他の人とは違うようだ。
座禅時に見つけたことは、自己の中での自分ともう一人の自分の2人の会話である。深く考えるときには、前頭葉に気を入れて考えることにしている。問いの形にして聞いている。なぜ、それでよいのかわからなかった。もう一人の自分が回答してくる。
しかし、「具舎論」を読むと、今の脳科学本を読んでいる気分になる。どう人間は目から情報を得て、それによりどう感じ考えるのかということが、論理的に書いてある。その論理から、涅槃の境地に行くための修行方法が示されている。
結局、自分の周囲の環境や遺伝子や友達や仕事から今の自分を作り、その自分が何か趣味や好きなことで、また新しい自分を作り出しているように思う。縁起の世界である。因果応報である。
どうせ、会社を65歳定年になっても、人生は35年もあるということになる。残りの人生を充実させるためにもユニーク性の確保が必要であろう。
ユニーク性があれば、それを必要とする人がいるはずである。
それと目標、使命感などが組み合わされて、自分の人生ができているとみる。
政府も人生100年の働き方を検討し始めたが、どのような社会システムを提案してくるのであろうか?
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