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スーツしか着ていなかった会社員は、定年退職の翌朝に愕然とする

仕事、仕事で日々過ごしてきたお父さんも、いつかは迎える定年退職。その際に直面しがちなのが、“スーツ以外で何を着ればイイのか全然わからない”という問題ではないでしょうか。ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、そのようなお悩みに対するとりあえずの対応策を、自らのメルマガ『j-fashion journal』で取りあげています。

1.リタイヤカジュアルの提案

大学生が就職活動時に着ていくのがリクルートスーツ。なぜか、入社するとフレッシュマンスーツとなる。

それから、年齢と立場が上がるにつれ、スーツも変化していく。大手企業になると、「部長になったらAテーラーでオーダー」「役員になったらSテーラー」のように決まっているケースもあるとか。

サラリーマンにとって、スーツはビジネスユニフォームであり、会社のステイタスを表す看板であり、自分のアイデンティティを表現する名刺でもある。

こうしたビジネススーツについては、それなりに勉強を重ねているのだが、定年後のファッションには無防備な人が多い。

ある日、とつぜん定年となり、送別会が行われ、花束と共に帰宅する。

翌朝、起きると愕然とする人が多いという。私は何を着て、何をすればいいのか。何日か何もしないと、奥さんに邪魔にされ、「何かすることないの?」「どこかに行ってくれば?」と言われる。

私は、定年後こそファッションが重要になると思っている。そして、ファッションに気を使うことが、定年後の人生の方向を決めることになる。

定年になってもスーツ以外に着る服がないという人もいるだろう。持っているのは、スーツとゴルフウェア、ジャージーだけ。仕方ないから、「ユニクロにでも行って、何か見繕うか」ということになるが、行ってみると、何をどのように選んでいいのか分からない。

私は、スーツからいきなりジーンズカジュアルに移行するのは難しいと考えている。落差が大きすぎるのだ。できれば、スーツから少しずつドレスダウンしていくことを勧めたい。

まず、基本となるパンツを決める。学生時代を思い出して、いきなりジーンズを選ぶのは危険だ。といって、ゴルフパンツを街ではくのもおかしい。

私が勧めたいのは、まず、ドレスカジュアルビジネスカジュアル等と呼ばれているスタイルに移行することだ。とりあえず、「ランズエンド」「エディバウアー」から選べば間違いないと思う。

最初にパンツから選ぼう。ノーアイロン(リンクルフリー加工)・チノパンツがお勧め。最初だけショップに行って試着し、自分のサイズを確認すれば、その後はネットで購入することもできる。ノータック、ワンタック、ツータックは自分の体型と好みで選べばいいが、販売員に相談するのも良いと思う。

パンツの色はベージュ系を基本にする。そうすれば、靴はブラウン系で良い。

ビジネススーツの時には、黒の革靴が多かったと思うが、思い切ってカジュアルなブラウンの革靴に替えよう。革製のウォーキングシューズも履きやすいものだ。

ソックスは、コットンを基本にする。しかし、学生時代のような真っ白いソックスは避けよう。見える面積が小さいので、キレイな色を選んだ方がお洒落なイメージになる。ボーダーや柄物も楽しいものだ。

これで下半身は決まったので、次は上半身である。わたしはジャケットを着ることを基本にした方が良いと思う。スーツからジーンズカジュアルに行くのではなく、カジュアルなジャケットを合わせるスタイルを基本にする。

デザインは、シングルのテーラードジャケット。春夏から、綿、麻を中心に。秋冬は、コーデュロイ、ツイード、ウール混、起毛した綿など。カラーは、ネイビーを基本として、ブラウンのバリエーション。深みのある赤、グリーンも良い。気をつけるのはグレーだ。グレーはとてもお洒落な色だか、コーディネート次第では年寄り臭くなってしまう。

次にシャツを選ぶ。ビジネススーツの下に着るのは、無地のブロード生地か、白地のストライプのレギュラーカラーが基本だが、ここでもイメージを替えたい。

デザインはボタンダウンを基本にする。ブロード生地ならチェック。厚手のオックスフォードなら、無地、ストライプも良い。

ここで注意したいのは、いきなりデニムやダンガリーに行かないということだ。

以上のコーディネートができれば、ジャケットの代わりにレザージャケットを合わせたり、ニットを合わせるとこで、更にドレスダウンになる。

少し改まったパーティーに行くなら、ZARA、H&Mで、ベルベットのブレザーや、タキシード風のジャケットを探すことをお勧めしたい。

最初基本的なコーディネートを選び、ある程度慣れてから、ジーンズアイテムを加えることは問題ない。大切なことはスーツから少しずつドレスダウンしながら、自分に似合うファッションを選び、コーディネートのトレーニングをすることである。

定年になった直後に、とりあえず対応するファッションということで、ドレスアップカジュアル、ビジネスカジュアルを提案したが、私はこれを「リタイアカジュアル」と呼びたい。アパレル業界には、新しいジャンルを確立してほしいと思う。

image by: Shutterstock

 

『j-fashion journal』 Vol.200より一部抜粋

【Vol.200の目次】
■特集「ファッションは大人を救う!」
1.リタイヤカジュアルの提案
2.どんなキャラクターを演じるか?
3.形から入って、幸せになる
4.孤独から脱するファッション
5.新たな出会いを生み出すイベント
■編集後記「締めの都々逸」

著者/坂口昌章(シナジープランニング代表)
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