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なぜ、京都の教育熱心な家庭は「御所南小学校」に入れたがるのか

京都で最も栄えている地域、「田の字地区」。四条烏丸の交差点を中心とする百貨店やブランドショップなどがひしめき合っている人気エリアです。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英学(はなぶさ がく)さんが、この地区周辺の土地についての豆知識等を紹介しています。

田の字地区

今回は京都の人気エリア「田の字地区」についてです。京都は昔から場所に強いこだわりを持つ人が多いようです。どこを京都と呼ぶかで揉めることもあるとか。そんな京都の中心部の人気エリアをご案内します。

田の字地区は京都市内中心部、四条烏丸の交差点を中心とする京都で最も栄えたエリアと言っていいでしょう。

四条烏丸は、昔から京都の商業・ビジネスの中心地として繁栄してきました。南北に走る烏丸通は、1,200年前の平安京開設当時の烏丸小路にあたる通りです。その通りは京都のど真ん中を走るメインストリートとして現在に至ります。京都の南北を御池通から五条通、東西を河原町通から堀川通で囲んだ約2キロ四方ぐらいの地区を「田の字地区」と言います。位置関係がわからない全国のみなさんはインターネットなどで地図を検索してみて下さい。

この地区は、平安時代には公家の邸宅や呉服問屋などが建ち並び、住宅地としても商業の拠点としても重要な場所となりました。また、祇園祭の山や鉾を出す33の鉾町がすっぽりとおさまる地区でもあります。室町通や新町通などには今でも暖簾を守り続ける老舗も少なくありません。そして現在もおしゃれなレストランやブランドショップ、百貨店などがひしめくエリアとなっています。

御所南小学校学区

田の字地区の南北の境に関しては最近まで四条通から丸太町通までだと思っていました。京都の不動産のチラシなどを見ていると「御所南小学校学区内」というのをよく見ます。ターミナル駅から「駅近」とかいうよりも、京都中心部では御所南小学校に通える地区がとても人気なのです。御所南小学校は御所のすぐ南、丸太町通から御池通の間にあります。

御所南小学校は、2002年に文科省が最初のコミュニティ・スクールに指定した学校です。その頃から徐々に人気が高まり、御所南小学校→御池中学→堀川高校→東大というのが京都のエリートコースになっているようです。御所南小学校は近隣地域の小学校を統廃合して1995年に開校された比較的新しい小学校ですが、人気化して生徒数が急増しています。開校時から児童の数は約2倍に増えたといいます。

御所南小学校から御池中学校に進学して9年間、公立の小中一貫教育が行われます。優秀な学生はその後、堀川高校へ流れるというのが公立のエリートコースとなりました。このエリアに住んでいれば小学校から堀川高校まで全て徒歩圏内です。京大に行けば大学までずっと歩いて通えます。学部にもよりますが百万遍までは自転車かな? いずれにせよ、学区にあった呉服店などが衰退し廃業する中で、跡地にマンションが建つようになり、教育熱心な若い世帯が住む住宅地に変わっていったようです。

そのぐらい人気化したエリアだったので、すっかりこのエリアも田の字地区に含まれているものだと勘違いしていました。

土地の価格は東京23区並み

田の字地区の実勢価格は公示地価の3~4倍とのことです。信じられないような状況ですが、田の字地区にあるマンションの価格などは東京23区の一等地のものとあまり変わりません。

固定資産税は公示地価を基準に算定される評価額で決まります。このため、公示地価と実勢地価との差があると、保有している資産の価値に比べて、支払う税金が安くなります。田の字地区に代々土地を持っていて上手に活用している人などは相当な資産家でしょうね。

京都は土地にかなりこだわりを持った人達がいます。昔から京都と呼べるのは秀吉が京都を取り囲むように築いた周囲22キロに及ぶ御土居の中だけでした。これを洛中といいます。

田の字地区ももちろん洛中にあります。田の字地区の東の端である河原町通は洛中の東の端にほぼ重なります。河原町通の程近くに三条通から四条通までを平行に走る京都一の歓楽街・新京極通などはまさにその名に昔の面影を残しています。新京極通は明治時代初期に当時の府知事・槇村正直によって整備されました。しかし、元々は平安時代に築かれた碁盤の目の通りの一つであった東京極大路です。
読んで字の如く、平安時代からこの辺りは「東の極み」とされていたのです。

この洛中、または田の字地区の東の縁からは京都らしい山紫水明の景色を見ることができます。

目の前に鴨川、その向こうに比叡山、大文字の如意ヶ嶽が見えるというのが洛中からの景色です。素晴らしい自然の眺めと商業や流行の中心である百貨店やブランドショップ、全国レベルの小中高がコンパクトに詰まった田の字地区。日本中を探してもなかなかないとても貴重な場所ではないでしょうか。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Googleストリートビュー(御所南小学校)

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毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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