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絶好調の台湾・圓山大飯店の再生劇の影に見える、中国の自業自得

中国当局の報復的政策により、たびたび打撃を受けるという台湾の観光業。しかし近年は日本からの訪台客の増加もあり、快進撃を続けるホテルもあるそうです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で台湾出身の評論家の黄さんが紹介しているのも、台北のランドマークでやはり快進撃が伝えられる圓山大飯店。折しも6日深夜には台北から160キロの距離にある花蓮県がマグニチュード6.4の地震に見舞われ多数の死傷者を出す事態となっています。度重なる我が国の震災時にいつもいち早く手を差し伸べてくれた台湾の方々への恩返しに、「訪ねて応援」という手もあるのではないでしょうか。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年2月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め1月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】中国人観光客が減少して復活した台湾の名門ホテル

円山大飯店、収益が過去15年で最高に 背景には日本人客の増加

台湾の圓山円山大飯店が快進撃を続けているようです。1995年、最上階の工事中に出火し、大きな火事となったときは、台北のランドマークのひとつがこのまま朽ちていくのかと思ったりもしましたが、なんと挽回しているようです。以下、記事の一部を引用しましょう。

昨年の営業収益は過去15年で最高となる12億8,612万台湾元(約48億3,000万円)に達した。同ホテルの張学舜董事長(会長)はこのほど、中央社の取材に応じ、個人客や日本人旅行客の利用の増加が収益拡大に寄与したと明かした。

昨年の同ホテル宿泊客全体のうち、中国大陸からの旅行客が占めた割合は34.9%で、前年比3.7ポイント減。一方、日本人旅行客は前年を3.9ポイント上回る31.6%となった。中でも、高校生の修学旅行による宿泊が最も多かったという。

最新の記事によると、日本の高校の海外修学旅行先のナンバーワンは台湾となっています。

高校生の海外修学旅行、1位「台湾」…4万人超が訪問

その高校生たちが宿泊していることで圓山ホテルに再び活気を呼んでいるというのです。この事実と歴史の流れに、私は時の流れを感じるとともに、なんとも言えない感慨を覚えるのです。

ここで、少し歴史をおさらいしましょう。圓山大飯店のある場所は、かつての日本統治時代に台湾で最も重要な神社とされた台湾神宮」がありました。皇族でありながら陸軍軍人であった北白川宮能久親王などが祀られ、後に昭和天皇となった当時の皇太子も参拝したことがありました。

しかし、終戦直前の1944年に旅客機が墜落し、社殿などが焼失したところで終戦となり、戦後は台湾大飯店という名前のホテルが建てられました。その後、1952年に圓山大飯店と改名され、時の権力者であった蒋介石の妻である宋美齢がオーナーとなったのです。

宋美齢は、このホテルに贅の限りを尽くし、英語が堪能だった彼女は、このホテルを舞台に華麗な外交を繰り広げました。彼女が健在だった頃の全盛期にはアメリカのアイゼンハワー大統領も滞在したことがありました。

圓山大飯店の地下には二本の長い地下通路があることも有名です。これは、万が一の有事に備えて蒋介石と宋美齢が脱出するために造られたとの説もあります。また、宋美齢がアメリカへ渡った後も、彼女の隠し財産はすべてこのホテルのどこかに保管されているとの噂もありました。今でも地下通路はあり、ホテル内見学ツアーの料金を払えば見られるようです。

かつては、中華民国のプライドをかけて日本語や英語などの外国語によるサービスは全く行わなかったのですが、それでも台湾内外の富裕層が競って足を運んでいたものです。しかし、その名声も時代の変化とともに薄れると同時に、ホテルも老朽化が進みました。

また、台北市内に新しいホテルが次々と建設されたこともあり、旅行客はキレイで新しいホテルを選ぶようになり、圓山ホテルは時代の遺物として取り残されたような感さえありました。

オーナーが変ったことにより、ホテルの内部改修が進められ、前述したように工事中に火事を起こしたりもしましたが、客室、レストラン、最上階の大広間など、館内の設備を順次新しくしたことで旅行客が徐々に戻りはじめました。さらに、ここ数年、日台間における相互訪問ブームの波に乗って、圓山大飯店は再び話題となり、修学旅行の高校生が利用するまでとなったのです。

確かに、中国色を全面に押し出した建築物である上に、収容人数も多い圓山大飯店は、修学旅行の高校生にはもってこいかもしれません。館内のレストランの前には、台湾神宮から持ってきたという龍の置物もあり、「百年の金龍」と名付けられています。派手に金ピカに塗られた龍に、百年の重みはあまり感じられませんが……。

圓山大飯店 建築の美

とにかく、そういうわけで、日本人旅行者に今や大人気の圓山大飯店。宋美齢時代とはまた違った、新たな役割を担って、台北のランドマークとしてまだしばらく存在感を示してくれるようです。

中国は、台湾に対して気に食わないことがあると、中国人観光客を台湾に行かせないようにして、台湾の観光業に打撃を与えようとするのが常套手段です。しかし、中国人観光客が減ったことにより、その他の諸外国からの観光客が台湾に来るようになりました

もちろん、台湾人としてもマナーの悪い中国人よりも、その他の国からの客のほうが有り難いため、災い転じて福となった感じです。たとえ欧米や日本などからの観光客が、中国人のような爆買をしなくても、宿泊や買い物をすることで経済効果はあるし、それ以上にマナーがいいので大歓迎です。

また、習近平は中国人の爆買による国内資金流出を恐れており、海外で購入した商品に関税を課すなどで、爆買規制をしています。行き先を規制され、海外で使うお金も規制された中国人観光客は、フラストレーションがたまるばかりです。

「爆買い」に赤信号? 中国が関税引き上げの強行策

先に述べた世界各国での中国人観光客の暴力的行為も、そうしたフラストレーションが関係しているのかもしれません。

激動の歴史を乗り越え復活した圓山大飯店の再生劇の影には、中国の自業自得によるほころびも垣間見えるのです。

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※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年2月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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