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金メダリストに報奨金4000万、でも半分近くが税金に取られる場合も

先日閉幕となった「平昌オリンピック」での日本のメダル獲得数は、金4個、銀5個、銅4個の合計13個と、過去最高という快挙を成し遂げました。メダルを獲得した選手にはそれぞれ報奨金が送られますが、この報奨金に「税金」はかかるのでしょうか? 元国税調査官の大村大次郎さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、「メダル報奨金」の税金にまつわる面白い話を明かしています。

企業からのメダルの報奨金にはいくら税金はかかるのか?

オリンピックが終わりましたね。

今回のオリンピックは面白かったですね~、特にカーリング。

ちょっと自慢をさせていただければ、前回のメルマガでは、まだオリンピックが始まったばかりでしたが、「今回のカーリングは男女ともに面白いことになりそうです」と記述しています。←テレビばかり見ている暇なオヤジは、よくこういうことを言いたがるのです、ご勘弁を。

さてさて、オリンピックが終わったときによく話題になるのが、メダルの報奨金の税金ですね。最近、雑誌や新聞でも取り上げられておりますが、今回はその話をちょっと掘り下げてご説明したいと思います。

日本オリンピック委員会JOCから払われたメダルの報奨金には税金はかからないことになっています。本来、こういう臨時的な収入は一時所得として税金が課せられるのですが、オリンピック選手の特例として税金は課せられないということになっているのです。

日本オリンピック委員会(JOC)は、金メダル500万円銀メダル200万円銅メダル100万円の報奨金を払うことにしています。だから、この報奨金は、丸々もらえるということです。

そして、日本オリンピック委員会JOC以外の団体から報奨金をもらった場合は、団体の性質によって課税関係が異なってきます

JOCの加盟団体から報奨金が支払われた場合、たとえば日本スケート連盟などの場合、金メダルは300万円まで、銀メダルは200万円まで、銅メダルは100万円までが非課税となっています。それ以上もらった場合は、一時所得として税金を払わなければなりません

日本スケート連盟の場合、金メダルの報奨金は500万円です。このうち300万円は非課税ですが、残りの200万円には一時所得として税金がかかります

一時所得の税金の計算方法は、大まかにいうと

(収入-50万円)×50%×その人の税率

です。

だから日本スケート連盟からの500万円の報奨金に対しては、

(200万円-50万円)×50%×税率

となり、税率がだいたい20%程度なので、15万円程度になります。15万円くらいの税金ならば、いっそ取らずに「非課税」ということにしてしまえば、政府の株も上がると思いますがねえ。

で、競技団体以外から報奨金をもらうケースもあります。

たとえば、金メダルを二つとったスケートの高木菜那選手は、所属先の日本電産サンキョーから4000万円の報奨金をもらえるとも言われています(確定しているわけではないようです)。

所属先の企業から報奨金をもらった場合、それは普通のサラリーマンがボーナスをもらったときと同様の税金がかかってきます。つまり、普通に所得税がかかってくるわけです。4000万円ともなると、所得税の税率はかなり高くなります。他の収入の状況にもよりますが、住民税と合わせれば40%以上はかかることになるでしょう。つまり、1600万円以上は税金でとられるということになります。

金メダルを二つも取るのは、今後なかなかないだろうし、歴史的にも稀なことなのに、40%も税金を取られるのは気の毒ですね。スピードスケートなどは、それほどいい待遇で選手生活を送ってきたわけではないでしょうし。

所属企業が報奨を出す場合、一時金ではなく、給料に加算するか退職金に加算したほうが、税金的には得になります。たとえば、4000万円の報奨金を出す代わりに、給料を倍にするとか、4000万円をプールしておいて、退職するときに退職金として払うのです。そうすれば、税金は数分の一になるはずです。

でも、やっぱりご褒美は、すぐにもらいたいものですよねー。

税金の計算でややこしいのが羽生選手のケースです。

羽生選手は、所属先のANAから行先は自由のファーストクラスのチケットを4往復分もらったそうです。

ヨーロッパなどに行く場合は、ファーストクラスでは200万円以上することもありますので、1千万円近い報償だと言えます。この褒賞も、所属先からもらったものなので、ボーナスと同様に課税されるのですが、問題はその金額です。

このチケットをすぐに(今年中)使えば、今年分の申告の際には金額が確定していますから、その金額をボーナスとして計算すればいいのです。

が、問題はもし今年中に使わなかった場合です。所得の申告というのは、経済的利益を受けた時点ではなく、経済的利益の「権利」を受けた時点で申告しなければなりません。だから、今回のファーストクラスのチケットは、今年分の申告に反映させなければならないのです。しかし、今年使わなければまだ金額が確定されていませんので申告することはできなくなります。こういう場合、そういう課税をするのか、法的には決まっていないはずです。税務署はどう判断するんでしょうかねえ。

 image by: Andrew Makedonski / Shutterstock.com

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