MAG2 NEWS MENU

なぜ日本には街のいたるところに自動販売機があるのだろうか?

日本ではいたるところで見かける自動販売機。かつては便利さをウリにしていましたが、最近はその活用法が変化してきていると、無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタント佐藤きよあきさんは指摘します。果たして、どんな方向に向かい突き進んでいるのでしょうか。

経費を掛けない「無人店舗」をオープンしろ!

外国人が日本に来て、驚くことのひとつ。それは、どこにでもある自動販売機です。どこにいても、飲み物を買うことができます。いつでもアルコールが手に入ります。街中の、しかも道端に自販機がたくさん並んでいる国は他にありません。その便利さに感嘆します。

もちろん、海外にも自販機はありますが、道端ではなく、商業施設や建物の中にあります。なぜ日本では、街中いたるところに自販機があるのでしょうか。消費者の利便性を考えてのことでしょうか。

確かに昔はそうでした。早朝や深夜など、店の開いていない時間帯でも、“必要なものが買えるようにしたのです。電器店の横には、乾電池の自販機がありました。幹線道路沿いには、カップラーメン・うどん・そばの自販機。薬局の横には、コンドーム。書店の横には、エロ本。いまでは見かけなくなりましたが、必要とされていた自販機です。

24時間営業の店が増えてくると、“必要性で置かれていた自販機は不要となります。しかし、自販機はいまも増え続けています。道端に少しでも隙間があると、すぐに自販機が占拠します。

飲み物が圧倒的に多いのですが、新しい活用法としての自販機を見かけるようになりました。「売りたいものを売るための無人店舗」としての自販機です。そこでは、想定外のものが売られ始めているのです。

自販機の設置には2通りあり、メーカーが自社商品を売るために場所を借りて設置するものと、自販機を買ったオーナーが、自分の土地や借りた土地で、売りたい商品を売るものがあります。最近、後者が増えているのですが、ほとんどの場合は、一番売りやすいドリンク類です。

しかし、「無人店舗」としての機能性を見込んで、自店の商品を自販機に並べるケースが増えています。それがなかなかユニークで、自販機の可能性を感じさせてくれます。

「だし醤油」「焼肉のタレ」「豆腐」「納豆」「玉子」「米」「バナナ」「クレープ」「わさび漬け」「竹ちくわ」「しょうゆ・もろみ」「ポップコーン」「トートバッグ」「Tシャツ」「小さな仏像」などなど。

自販機である必要性は感じないのですが、よく売れているものもあります。マーケティングを専門とする私にも、買う人の心理が読めない分野です。

他にも面白い活用法があります。自動車の運転免許試験場の近くでは、「運転免許試験問題集」の自販機が。落ちた人は買ってしまうのではないでしょうか。瀬戸内海の「しまなみ海道」にある自販機では、「自転車用チューブ」が売られています。この場所は、サイクリングの聖地として知られ、当然パンクする人もいます。「賞味期限切れ」と正直に書かれたドリンクを50円で販売している自販機もあります。したたかですが、気にしない人は買うでしょう。

海外にもユニークな自販機があります。アメリカなら、「プリペイド携帯」「キャビア」「サッカーボール」「カップケーキ」「生きたロブスター」など。ドイツなら、「ハム・ソーセージ」「焼きたてパン」。中国は、「生きた上海蟹」。シンガポールは、「マッシュポテト」。国によって、“ウケる”ものがあるのでしょう。自販機に入る大きさのものなら、売れないものはないのではないでしょうか。

小さなスペースと電気さえあれば、簡単にすばやくお店が持てるのです。投資額もリスクも少なくて済みます。これは、個人でもできるビジネスチャンスです。可能性は無限大。売れなければ、すぐさま別の商品に切り替えることもできます。「無人店舗」は、小さなビジネスかもしれませんが、楽しいビジネスであることは間違いありません。

 

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け