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【書評】朝鮮半島統一に日本がカネを出さねばならない呆れた理由

実現すれば歴史的快挙である米朝首脳会談が大きく報じられていますが、北朝鮮に対して「全面的に信用していいものか」という論調も見受けられます。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが取り上げているのは、「朝鮮半島に関する2人のプロ」による一冊。日本を襲う「韓国リスク」が綴られた震撼の書です。

韓国リスク 半島危機に日本を襲う隣の現実
室谷克美、加藤達也・著 産経新聞出版

室谷克美・加藤達也『韓国リスク 半島危機に日本を襲う隣の現実』を読んだ。元時事通信ソウル特派員の室谷さんは、国外退去処分となったことがある。産経新聞ソウル支局長で、500日の法廷闘争に勝った加藤さん。ここで語られるのは、謙韓論ではない。ほぼ韓国国内で報道され、問題点が指摘され、韓国人自身が批判し嘆いている事柄ばかりである。

韓国人は本当に南北統一したいのだろうか。統一を反対とは言えない社会的雰囲気が韓国を支配している。韓国人は日本人と話すとき、ほとんどが愛国者になり、統一を心から願う人になる。しかし、著者らの実感としては、その大部分の人は統一したくないと思っているのではないか、ということだ。

社会的な地位の高い人は、建前か本音かわからないが、しきりに統一すべきだという。財閥の幹部は統一が金儲けになると考え、知識人は統一の際は日本から金が引き出せると考える。えっ、なぜ日本が何兆円も出すわけ? 彼らの理論からすれば「責任があるから」なんだという。彼らの統一シンポジウムは、「金が必要だったら日本から何兆円ということを話し合う場であった。

統一に至る過程で財布は一つ、政治体制は二つという、一国二制度がしばらく続くだろう。その後、南も北も機が熟したとして、いよいよ大統領あるいは国家元首を選ぶような民主的な選挙が開かれるに違いない。もしそうなったら、北は人口が約2,500万人と言われているが投票率は100%、もし有権者数が2,000万人としたら北の候補に2,000万票入る。

 

一方、南は人口約5,000万人、有権者数4,300万人、投票率75%として約3,200万票。そのうち半数は韓国の独自候補に投票するだろうが、残り50%は北の候補に回るだろう。つまり、統一して大統領選挙をすると、北の国家指導者が全体の指導者として当選する可能性が高く、安定的かつ平和的に北の政権になる。

あ、これは専門家の間でよく言われる冗談である。北は大統領制に賛成しない。金王朝でなければならないのだから。朝鮮戦争の開戦の経緯について、2013年に高校生を対象に調査した結果、「韓国が北朝鮮を攻撃して始まった」が69%(笑)。韓国人は、同胞である北が攻めて来るはずがないと思い込んでいる。

共産陣営平和勢力という信仰が、とりわけ若い層に行き渡っている。核攻撃なんて想定外。いろんな理屈を総動員して、北も失うものが大きい状態の中で、戦争など仕掛けられるわけがないんだと考えている。さらに、そもそもどうにかなるしかないんだという発想、ケンチャナヨ(大丈夫)精神がある。

龍谷大学の李相哲教授が講演で、北朝鮮の行動思考を理解するための3原則をあげた。

  1. 信じるものは力のみである
  2. 人命価値は低い
  3. 約束とは時間稼ぎである

すべてが金正恩の自己都合だが、これは韓国にも共通するキーワードではないか。この本の結論:韓国リスクとは、端的に言えば厄介な隣人を持つ日本の宿命である。韓国とはまさにそこにある危機である。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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