かつては「自由の国」と言われたアメリカですが、その国のマスメディアは既に独立した報道機関ではなくなり、スポンサーの希望するものを配信するだけの機関と化しているという事実をご存知でしょうか。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介する今回の一冊は、元海兵隊の歴史研究家でドイツ系アメリカ人のマックス・フォン・シェラー氏が、左派化する米マスメディアや米軍について語ったもの。アメリカがひた隠す「不都合な真実」とは?
マックス・フォン・シェラー・著 ハート出版
マックス・フォン・シェラー『アメリカ人が語る 日本人に隠しておけないアメリカの“崩壊”』を読んだ。著者は日本在住のドイツ系アメリカ人、元海兵隊の歴史研究家。帯には「アメリカの悪い真似はやめなさい 日本には素晴らしい歴史と知恵があります 姿を変えたマルクス主義ポリティカル・コネクトネス 言葉狩りが国を滅ぼす」とある。
本文は英文のワンセンテンス毎に日本語訳が入る構成で、238ページあるが、日本語だけを読めばその半分。へえ、英語ではこう表現するのかと興味深く読める。現在進行形の動きについては、情報源はほとんどがアメリカの右派的なサイトからで、その内容は別のサイトで二重に確認しているという。
問題はマスメディアが、完全に左派寄りになっていることだ。例えば、2017年11月4日のニューヨーク市のデモ行進者数を、ニューズウィークは「反ファシズム運動の支持者は300人くらいしかいなかった」と報じたが、グーグルで確認すると6列くらいに並んだデモ行進が20分も続き、1万人は超えていたという。
アメリカのマスメディアは、既に独立した報道機関ではなくなっており、一種のプロパガンダ機関である。ニュースではなく、スポンサー企業の「希望」を配信している。利己的で略奪的な資本主義者をGlobalistsと呼ぶ。政治的黒幕Deep Stateも存在する。自分たちの利益のためにアメリカを支配する組織だ。
この本では、反トランプ派と、フェミニストとポリティカル・コレクトネスという二つの側面を中心に見ていく。ポリティカル・コレクトネスは文化の違いを強調し、それを人々に強要することで、実は不調和を作りだし、国を崩壊させている。多様性は少数派を助けるものではなく、大多数の人を強制的に変えること、現在の社会を崩壊させるという意味なのだ。マルクス主義の哲学だ。
左派のポリティカル・コレクトネスは、制御できないモンスターになっている。保守的な人が受け入れられない性的な習慣を強制し、南北戦争で戦った人たちの記念碑を壊し、AntifaやBAMNのような暴力的なグループはあらゆる場面で右派の人たちを攻撃する。フェミニストは社会の基盤や家族制度を、自分たちの好きなように作り直そうとしている。彼らはやがて内乱を起こす可能性が高い。
ポリティカル・コレクトネスの大切なポイントは、様々な困難や問題を抱える人々のために、その問題をなくしてあげるということである。それは大学のようなコントロールされた環境なら可能だろう。軍隊や戦場ではそうはいかないはずだ。しかし、アメリカ軍において、ポリティカル・コレクトネスは軍事より優先されている。軍律を差別だという。アメリカ軍の無能化は深刻度を増す。
戦争という場で、ストレスがありすぎるとか、屈辱的なことをされたとか、何か他にも問題があるとか言っていても意味がない。失敗すれば自国の多くの人々が死ぬ。戦争に負けたら国そのものを失う。アメリカ左派が作りたいのはそういう軍隊なのだ。いまや、「言葉狩り」でアメリカ軍は腑抜けにされている。軍隊としての機能より社会問題を優先では、北朝鮮軍の鎧袖一触だ。
編集長 柴田忠男
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