電子レンジの中では「電波で水分子を振動させて加熱する」という現象が起きていますが、では「振動させる」とは具体的に何を意味するのでしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、電子レンジでモノが暖まる仕組みを深掘りして解説し、そこから見えてくる科学の面白さ・奥深さについて紹介しています。
電子レンジでモノが暖まる仕組み
アリエナイ理科の前書きとかで「理科の教科書にはレンジでモノが暖まる理屈さえマトモに描いてない…」なんてことを書いているのですが、よく考えたら手前の本でも書いてなかったので、たまにはまともなことも書いておきましょうということで、レンジで暖まる仕組みです。
たぶん多くの人が「電子レンジの中では電波で水分子を振動させて加熱する」というくらいは知識があるかと思います。
電子レンジの中で使われている電波というのはマイクロ波という波で、波長的には赤外線のさらに向こう側の波です。そういう意味では光(可視光だけが光にあらず)なわけですが、非常にエネルギーの強い波なので、分子を揺らすことができるわけです。
この揺らす…というのは何が起きてるかというと、例えば水はH2Oで、その水には電気的にプラスの部分とマイナスの部分があります。このような偏りのある液体を極性溶媒というのですが、極性がある物質にマイクロ波があたると吸収されます。しかもマイクロ波自体は1秒間に24億回も極性が反転します(プラマイが逆になる)。つまり、分子を寄せては突き飛ばすということを行うので、分子自体のエネルギーが蓄積されていき「熱」となるわけです。
「熱」というのは何かというと「分子の振動の度合い」と言えます(やや極論的ですがご容赦を)。
絶対零度がすべての原子の振動が止まった状態であり、そこから「震え度合い」を「温度」として我々が認識しているわけです。
電子レンジと温度…というだけで、これくらいモノが見えてくると、よりいろいろなものが面白く見えてくる…かもしれません。
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