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妊娠した部下の女性社員に「胸が大きくなったね」はセクハラか?

日大アメフト部の現状のように、「言った」「言わない」が問題になることはよくありますよね。職場ではセクハラなどもそのひとつです。今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、「ハラスメントの意図なく発した言葉はセクハラに該当しないのか」という事例をとりあげています。

妊娠した女性社員に「胸が大きくなった」発言はセクハラになるのか

また、「言った」「言ってない」が問題になっています。某大学のアメフト問題です。当人以外は事実を知ることはできないので私がどうこう言える立場ではありませんがニュースなどで見る限りはいろいろと問題発言はあったのではないかと思ってしまいます。

この問題に限らず発言が問題になるのは割と頻繁にありますよね。私が特に多いと感じるのが政治家の失言です。そしてその際に多いのがほぼ決まって「そのような意図はなかった」です。

ただ、私だけかも知れませんがそのほとんどが発言した後に大炎上し、問題になってからとってつけたような言い訳になっているように感じます(みなさんはいかがでしょうか?)。

これはセクハラでも同じことが言えます。それについて裁判があります。あるファイナンス会社で妊娠した部下の女性社員に「胸が大きくなった」などのセクハラ発言をしたとして懲戒処分を受けた社員が、「その処分は納得できない!」として会社を訴えました。その社員は「セクハラの意図はなかった」と主張をしたのです。

ではこの裁判はどうなったか?

なんと、その裁判の結果は「セクハラを意図的に行ったとは認められない」でした。その発言は「妊娠による体の変化を指摘したにすぎない」としたのです。

ここで「えっ???!」と、思われた人もいるかも知れません。ただし、です。セクハラを意図的に行ったとは認められませんでしたが結論としては「セクハラに該当する」として会社が裁判に勝ちました。

どういうことか。裁判所は次のように判断しました。

つまり「セクハラの意図はなくても相手がセクハラと感じることはやってはダメですよ(セクハラに該当しますよ)」ということです。

いかがでしょうか。これは実務的にも非常に気を付けるべきポイントです。「その意図はなかった」「そういうつもりで言ったのではない」は、通用しないことをしっかりと社員全員に伝えていきましょう。

中には意図してやっても「その意図はなかった」と言い張れば大丈夫と考えている人もいるかも知れません。また、男性の感覚ではセクハラに感じなくても女性からはセクハラに感じることもありますしその逆もあります(女性から男性に対するセクハラ問題も最近は増えてきています)。

問題が起こる前に起こらない環境を作っていきたいですね。

image by: Shutterstock.com

特定社会保険労務士 小林一石この著者の記事一覧

【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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