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カルディの失敗。なぜ「KALDI」印の商品は買う気を無くすのか?

珍しい輸入食品が並び、見ているだけでワクワク楽しいカルディ(KALDI)。日本全国で400店舗超を展開している急成長企業ですが、最近購買意欲をそがれる状況が出てきていると指摘するのは、無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさん。佐藤さんが考える、カルディの販売戦略の「失敗」とは?

急成長「KALDI」に学ぶ、“販売戦略の間違い”  

珈琲豆を喫茶店に卸す焙煎業として創業した「KALDI COFFEE FARM」。いまでは、幅広い輸入食材を扱うお店として、人気急成長しています。1986年に1号店をオープンして以来、順調に業績を伸ばし、全国400店舗にまで拡大しています。店頭で珈琲が無料サービスされることで話題となり、珈琲を飲みながら店内を見てまわるのが、ここのスタイルとなっています。

カルディは、「眺めているだけで好奇心が湧いてくるような活気あるお店」を目指していますが、まさにその通り、店内には珍しい海外の食材が並び、お客さまは初めての“出逢い”にワクワクします。

私もその中のひとり。陳列棚の端から端まで、じっくりと見てまわり、気づけばカゴの中には数々の商品が。見ていて楽しい食べてみたいと思うつい買ってしまう。それが、カルディです。

グローバル化の時代と言っても、日常生活で出会う食材は、それほど変化に富むわけではありません。まだまだ知らないものばかりです。知らないものは、もっと知りたい。カルディは、そんな欲望を叶えてくれる、他にあまり存在しないお店です。人気が出るのは当然。成長拡大も容易に予想できました。

しかし、何度も足を運ぶ私は、最近、自身が購入する量が減っていることに気がつきました。店内を楽しく見てまわっているつもりですが、なぜかカゴの中は少ないのです。私が飽きてしまったのでしょうか。陳列棚には、相変わらず海外の面白い食材が並んでいるのですが、どうやら、その食材を手に取って、説明文を読んだ時に興味を失っているようです。

最近のカルディ商品には、「KALDIのマークの入ったものが増えています。カルディがオリジナル商品として開発したものですが、その説明文に“買わない秘密”がありました。

たとえば、チュニジアやモロッコで使われる調味料「ハリッサ」。パプリカをベースにしたペースト状の調味料で、甘酸っぱい風味で香辛料が効いています。クスクスや煮込み料理に使われるものです。非常に珍しいので、興味がそそられるのですが、日本のメーカーで作られています。日本で作るとなると、原料が違い味も日本人が食べやすいように変えてしまいます。これでは、本当の味を知ることはできません。製造元が日本のメーカーだとわかった時点で棚に戻してしまうのです。

カルディには、最近この手の商品が増えています。イタリアの○○フランスの○○タイの○○というラベルをつけていても、裏には製造:株式会社××商店」とあります。日本人が食べやすい商品を作る、という姿勢は理解できるのですが、初めて見る商品は本来の味を知りたいものです。

食べやすい方が良いと考えるお客さまもいるでしょうが、「面白い食材を探しに来ているマニア」は、それをカルディに求めてはいません。どちらかと言えば、“マニア客”の方が多いはずです。もし、オリジナルを作るのであれば、現地のメーカーに頼むべきなのです。

バイヤーとしては、日本のメーカーに依頼する方が、商品化は楽かもしれませんが、それでは“似た商品ができるだけです。「海外輸入食材」が売りのはずです。日本のメーカーに偽物を作らせるのは戦略の間違いだと考えます。

お客さまがカルディに求めているものは何か。それが「輸入食材」であることを思い出して欲しいものです。

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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