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なぜ人々は「小京都」より「小江戸」に行きたくなるのか?

日本の観光地によく使われる「小京都」や「小江戸」というキャッチコピー。多くの観光地が謳うこの2つのワードですが、 無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんは、観光地としては「小江戸」に軍配があがるとしています。その根拠はどこにあるのでしょうか

「小京都」VS「小江戸」。集客力が高いのはどっち?

全国京都会議」という組織をご存知ですか。全国各地の小京都が集まり、「小京都」としてのあり方などを話し合う会合です。年会費も納める正式な組織です。

秋田県湯沢市、栃木県佐野市、岐阜県郡上市、兵庫県豊岡市など、全国で45以上の都市が加盟しています。「以上」という曖昧な表現をしているのは、加盟や脱退による増減が繰り返されているからです。

この組織に加盟するには、条件があります。

この3つの内、どれか1つに合致しており、年1回の総会で承認された都市だけが、加盟を許されるのです。

加盟しなければ、「小京都」を名乗れないというわけではありませんが、一応の“お墨つきのようなものです。堂々と「小京都」を名乗り、「小京都」連合でPRすることもできます。承認制や年会費を取るあたりに、やや権威主義を感じますが、それでも「小京都」を名乗ることに集客力があると見込んで、加盟するのでしょう。女性は「京都」が好きです。

「小京都」と同じような表現で「小江戸」があります。ご存知のように、江戸に似た町並みに風情がある観光地に使われる名称です。

埼玉県川越市が代表的であり、栃木県栃木市、千葉県香取市、神奈川県厚木市、滋賀県彦根市などがあります。「江戸との関わりが深い町」であったり、「江戸の風情を残す古い町並み」が、「小江戸」と呼ばれています。この「小江戸」たちに、正式な組織はないものの、「小江戸サミット」という会議を開き、PR方法などを話し合っています。

「小京都」と「小江戸」。どちらも観光地としてのPR活動にその名称を用いていますが、はたして、その効果はあるのでしょうか。

「小京都」と呼ばれるところが、いま現在賑わっているのかというと、疑問です。数十年前なら、若い女性が憧れを抱き、たくさん訪れているニュースも流れていました。しかし、最近はほとんど聞かなくなりました

いまだ賑わっているところもありますが、それは独自の観光資源を開発したことが功を奏しているだけで、「小京都」という名称は表に出ていません。「小京都という存在がもう古くさくなってしまったのではないでしょうか。

遠い京都に行くのが大変だった時代の代替地でしかないのです。交通機関の発達で、本家の京都が近くなり、すぐにでも行けるのです。「小京都」は、不要な存在になってしまったのでは?

一方、「小江戸」はどうでしょうか。いま、江戸時代の生活が注目され町並みや食文化に興味を持つ人が増えています。しかし、本家の江戸は消滅しています。よって、「小江戸」に足を運ぶ人が増えているのです。江戸を体験するには、「小江戸」に行くしかないのです。この集客力は大きいのではないでしょうか。今後ますます、観光地としての人気は高まるでしょう。

存在意義を失った「小京都」。本家のいない代替地「小江戸」。この勝負は、圧倒的な差をつけ、「小江戸の勝ちだと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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