他社と比較した自社の優れた点をプレゼンしているのに、結局は値段で判断され、価格競争に巻き込まれてしまうといった「悲劇」、よく耳にしますよね。なぜこのような状況が起きてしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では、著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんがその原因をズバリと指摘。さらに価格競争から抜け出すためにするべきたったひとつのことを紹介しています。
価格競争から抜け出す
「当社は、他社に比べてここが優れている」
「当社は、価格でも決して他社に負けません」
どの営業マンもお客様や市場に対して競合他社と比べて自社の良い所をアピールします。細かい内容はさておき、いかに自社のものが優れているかという強みばかりをついついプレゼンするのです。
一方で、プレゼンを受けているお客様にしてみれば「またかよ」となります。結局、競合他社との違いがなんとなく分かるだけでどこも似たりよったりの同じような内容のため、決定打に欠けるのです。
つまり、営業マンからすると他社との差別化を訴求しているつもりが、お客様からしてみれば、それが差別化とは映っていない、ということです。そして、詰まるところ「価格で決める」といったことになります。
こうなると悲劇でしかありません。強みを打ち出して、他社との差別化を図っているつもりが、結局は価格競争の中に飛び込んでいくということなんですから。
このようなことはどのような業界でもあることです。お客様や市場に対して価格でしか判断してもらえないというのは差別化でもなんでもないのです。もっというと、企業努力が足りません。お客様のことをわかっているようで全然分かっていない。商品やサービスのことをわかっているようで全然分かっていないのです。
「いや! そんなことはない!」
と反論したくなる人もいるでしょうが、結局、価格でしか勝負できないというのは、商品、サービスに対する価値そのものをお客様が理解していないということ。即ち、自社の商品やサービスの価値がどういうものなのか? どこにあるのか? なぜその価格なのか? をきちんと伝えきれていないということです。あるいは、売れりゃいい、くらいの意識しかないということです。つまりは、お客様のことを分かっているようでわかっていない、ということになるのです。
こうした姿勢のまま商売、ビジネスをやっていくとどうなるか? もう分かりますよね。そう、自分で自分の首を絞めていくのです。
では、お客様や市場に価格ではないところで判断をどのようにしてもらえば良いのか? ということですが、これはもうお客様から選ばれる理由をたくさん聞くのが一番です。そこに答えがあります。
なぜ、商品やサービスは同じものなのになぜA社ではなくうちなのか? A社よりも価格は高いのになぜうちを選んでくれたのか? 数いる営業マンのうち、なぜ僕を指名くださったのか? などなど色々と質問をしてみることです。
それら質問に対する答えから自社や商品、サービス、あるいは、自分自身の存在価値というものが客観的に分かってきます。それこそが、売上以上の価値あるものであり、これからも売上を生み続けるものなのです。また、自社、自分にしか得ることの出来ない財産でもあります。
そして、それらを得とくしつ続けていくためにもお客様や市場とのコミュニケーションを継続し、存在価値がどこにあるのか? を常に把握し、価格以外の判断材料を常備しておきます。そうすると、価格に説得力が出て来ます。そして、他社が安かろうが高かろうが関係なく、あなたのことを選んでくれるお客様だけが集まりだします。
さらに、競合他社が価格破壊的な安価で勝負してきたとしてもバックボーン(裏付け)のある価格戦略を打ち出していくことが出来るようになります。傍から見れば、一見すると価格競争に見えても芯のある価格を持ったあなたの会社は淘汰される可能性は極めて低くなります。それどころか市場、顧客があなたの会社を支持していくことでしょう。
これが結果的に、差別化になるということです。
■今日のまとめ
『価格に頼った差別化をしない。』
- 顧客が価格以外に何を理由として自社や商品サービスを選んでいるか?知るための工夫をみんなで考える。
- 上記で出た意見をまとめ実践する。
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