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そういえば最近見かけぬ「公衆電話」は災害時、本当に有効か?

台風や地震、豪雨など、猛威をふるう自然に試されているような、昨今の日本列島。多くの災害に見舞われ、防災への関心も大きくなってきています。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さんは、今では街中であまり見られなくなってしまった「公衆電話」の災害時の正しい利用方法と災害時の心構えを改めて紹介しています。

「公衆電話」と「東京ラブストーリー」

こんにちは! 廣田信子です。

自然の猛威が続き、防災に関する記事や番組が増えています。その中で、「公衆電話」に関して気なることが…。

「いざというとき公衆電話が使えるよう子供にいつも十円玉を持たせましょう」という防災に関する雑誌の記事を見た後、テレビでは、子供は公衆電話の使い方を知らないから使い方を教えておきましょう…と。でも、そういえば公衆電話ってほんとうに見ないな、いったいどこにあるんだろう…と。

公衆電話は、災害時における有効な通信手段と言われています。なぜかというと、災害時に電話が込み合って通信規制が実施されても、公衆電話は、規制の対象外として優先的にとり扱われ、さらに、電話回線を通じて電力の供給を受けているので、停電時でも電話をかけることができるからです。

公衆電話がどこにあって、今の機器はどうなっているのか気になって外出時に公衆電話を探すのですが、なかなか見当たりません。ネット検索の力も借りて、やっと見つけて電話ボックスの中に入ってみます。いったい何年ぶりでしょうか。

で、HPによると、機種にはデジタル式(ディスプレイ画面があるもの)とアナログ式があるとのことで、私の入った電話ボックスの機器はデジタル式でした。デジタル式は使ったことがない気がします。そのくらい公衆電話は久しぶりなんです。

で、公衆電話を使っていた最後のころ、硬貨が入らずテレホンカードのみの機種があった記憶がありますが(で、今も、財布の中には、10年以上も使っていないテレカが入っています)、今のものは、すべて硬貨もテレホンカードも使えます

で、私たちは、何年使っていなくても、体が、その使い方を覚えていますが、今は、公衆電話をかけたことがない人のために、丁寧に使い方が書いてあります。まず、受話器を上げてから、硬貨又はテレホンカードを投入し、電話番号をダイヤルする…という具合に。で、110番、119番等への緊急連絡は、硬貨等は不要で、そのままダイヤルできます。これも丁寧に書いてあります。

で、停電時は、ディスプレイ画面や赤いランプは消えますが、通常と同じように通話はできます。これは、知っておいた方がいいですね。ただし、停電時は、テレホンカードは使えず、硬貨だけです。だから、十円玉持っていましょう…なんですね。

さらに、大規模災害が発生し、広域停電が発生するなど、被災者の方が通話を確保できない場合は、公衆電話からの通話が無料となります。北海道地震のときも、無料になっていましたね。

でも、これだけ公衆電話が少ないと、子供に十円玉を持たせることが何の役に立つのか、ちょっとそのケースがピンときません。もし、子供が自宅から遠い場所で被災した場合、こんなに少ない公衆電話を探している場合じゃないですよね。もし、その状況になったら長蛇の列だと思いますし…。

しかも、かける相手がお母さんの携帯電話だったら、固定電話と違って、たぶんつながらないでしょう。むしろ、そういった場合、しばらくは連絡が取れないのは覚悟で、その場にいる大人に助けてもらって、とにかく無事生き残ることが何より大事ですから、それを教えておいた方がいい気がするのですが…。

公衆電話は、長く停電が続いた場合などに、心配している親族や友人に連絡をとる場合に有効な手段…そんな気がしました。とにかく、公衆電話の少なさに改めてびっくりです。しかも、商業施設等の中にあるものは、施設が閉鎖中は使えません。

公衆電話が気になっている中、先日、あの名作『東京ラブストーリー』がテレビで再放送されているのを偶然見ました。タイトルバックに流れる『ラブストーリーは突然に』にひかれて思わず画面を見入ると、都会の風景が映し出され、駅の構内に緑色の公衆電話が十数台並んで、皆がその公衆電話で一斉に誰かに連絡をしている場面が。もちろん、その中に、鈴木保奈美さんがいるのですが。

1991年に放映されたものです。何だか懐かしくて、その当時を思い出しました。ちょうど、ポケベルが普及し始めた頃です。ポケベルが鳴ると、電話をするために公衆電話を探したもんです。駅、停留所、公共施設、商店の軒先、どこにも公衆電話はあふれていました。公衆電話を探すのに苦労したことはなかったと思います。

それが、今、ほとんど姿を見なくなりました。携帯電話が普及した今、十円玉を何枚も持って公衆電話に並ぶことも、急いで家に帰って電話器の前で電話を待つことも、待ち合わせに会えなくて、不安な気持ちで待つことも、もうありません。

『東京ラブストーリー』はあの時代だったから成立した物語だったんだと、改めて感慨深く思いました。私たちは、あまりにも常に連絡が取れることに慣れ過ぎて、少しの間でも連絡がとれないと不安になりますが、あの時代は当たり前だったんです(そんな昔じゃないですよ)。

大災害のときには、連絡が取れなくても、それにばかり気を取られずに、それぞれが自分の力で、その場で生き残る覚悟を持つ、そんな心構えも必要じゃないかな…と改めて思いました。

image by: Raihana Asral / Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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