アメリカ人は自分の子どもに何かを教える時、徹底的にほめまくるそうです。「叱る文化」のわれわれ日本人は違和感を覚えますが、結果として「ほめる文化」は子供の自立心を育みます。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では著者で漫画『ドラゴン桜』の指南役としても知られる親野智可等さんが、「登校前に子どもをほめる効用」を紹介しています。
朝から叱られてから登校すると危険なことがある
みなさんのお子さんは、朝、登校するとき、どんな精神状態で家を出ますか?中には、朝から叱られて、暗い気持ちで家を出る子もたくさんいます。親たちは朝から子どもを叱っても、その後は別行動になりますので、その後の子どもの様子を知りません。
朝から叱られた子は、もやもやした気持ちを引きずりながら道を歩くことになります。すると、うつむき加減になって視野が狭くなり、周りがよく見えなくなります。登校時間は通勤ラッシュの時間でもありますから、これはたいへん危険です。統計があるわけではないので断言はできませんが、私は朝叱られて家を出ると交通事故に遭う確率が高まるのではないかと思います。
学校に着いてからも、暗い気持ちを引きずったままでいる子もたくさんいます。実際、注意深い先生なら、登校した子どもたちの様子を見て「あ、この子は朝から叱られたな」と気づくことがよくあります。
こういう時は、友達の何気ないひと言にカッとなってけんかになる可能性が高まります。授業が始まってからも、「あ~あ、また叱られちゃった。弟も悪いのになんでオレばっかり…」などと考えていると勉強にも集中できません。先生に叱られることも増えますし、学力にもまずい影響が出ます。このように、朝から子どもを叱るといいことは一つもありません。
大人でも家を出る前に何か嫌なことがあると、しばらくは引きずるものです。子どもではなおさらです。このようなわけで、朝から子どもを叱るのはやめて、逆にほめてあげてほしいと思います。ほめられると、子どもはうれしくなって明るい気持ちになります。
すると、自然に顔を上げて歩くので視野が広くなり、周りがよく見えるので交通面でもより安全になります。気持ちが明るいので友達とも仲よくできますし、困っている子に優しい声をかけることもできます。授業にも集中できて、積極的に取り組むことができます。先生にほめられることも増えますし、学力にもいい影響が出ます。
初出『聖教新聞』(2012年3月23日から連載)
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