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モノづくり強国復活なるか。5G移行で日本にも巡ってきたチャンス

第5世代の移動通信システムがいよいよ2019年から運用開始となります。スマホなどで馴染みのある現在の4Gから一体なにが変わるのでしょうか。その特徴と5Gがもたらす経済効果、今後の焦点となる覇権争いなどについて、今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で著者の嶌さんが解説しています。

5Gの登場で変わる業界図

2019年から移動通信システムがいよいよ第5世代5G=ジェネレーションに突入する。移動通信システムは1980年代に商用化された第1世代(1G)から、90年代には音声とショートメールが送れる2G、2000年代に音声とデータ通信が可能となった3G、10年代には大容量のデータ通信が可能となった4G時代に入り、5Gには人とモノモノ同士で情報をやり取りできるようになる。

4G時代には画像や映像をアップできるSNS(交流サイト)が可能となったが、5G時代になると4K、8Kなどの超高精細映像やVR(仮想現実)映像などを受信しながら同時に再生もできるようになる。自動運転には数センチ単位で表示する高精密地図や車が乗り越えにくい段差縁石などの情報をリアルタイムで送信できるようになるというのだ。

また車、道路、歩行者の双方向通信で1,000分の1秒以下の時間(現在は10分の1秒)に短縮しロボットの遠隔操作もできる。従来は送信者が情報を送っても機械側の受信が遅いと、その速度の違いが実用化を妨げていたが、それが解消できるのだ。

総務省では5Gの経済効果を、eスポーツの観戦なども可能となるため35年までに1,350兆円となり2,200万人の新規雇用が生まれるとみている。

今後の焦点は、5Gに向けたインフラを巡る覇権争いとなろう。

アジアでは日・中・韓の3カ国が商用化に向けて協力、19~20年に向けサービスを開始する。アメリカではAT&Tとベライゾン・コミュニケーションズが18年末に5Gのサービスを開始し、EUでは英ボーダフォンや仏オランジュなどが18年中に5Gのテスト運用を開始する方針だ。

5Gの標準化は、第1が4Gを利用して5Gを展開する方式で第2は1から新しく作る5G方式

いずれも18年中に明確になるといい、今後は5G関連機器の開発が本格化することになるといわれている。米のクアルコム社インテル社、中国の通信設備メーカーの最大手であるファーウェイ、それと中国のZTEが四強といわれる。

日本では大手通信キャリアのNTTドコモKDDIソフトバンク、端末メーカーのNEC富士通アンリツ、それに部品メーカーの村田製作所パナソニック太陽誘電などだ。

こうした競争の中でスマホがどう生きてゆくか、5Gの登場はさまざまな分野で大きな影響を与えそうだ。

モノづくり強国として世界を席巻した日本は今後、モノとネットをつなぐ競争の中で勝ち抜く道を探さなければならないわけだ。

(財界 2018年10月23日号 第481回)

image by: Shutterstock.com

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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