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米を裏切り中国側につく日本が見舞われる「二度目の敗戦」の悲惨

今年勃発した米中貿易戦争は、経済戦争のため実態把握がしにくい状況ですが、「世界史80年周期説」に当てはめてみると、その規模は世界大戦に匹敵するそうです。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、80年前と現在では戦争の形態が変化したことを解説するとともに、「今後日本がどの国と手を組むのかが重要」と記しています。

80年ぶりの大変革せまる~日本は???

皆さん、「80年周期で歴史は繰り返す」という話を聞いたことがあるでしょうか?一番有名なのは、これでしょう。

●『フォースターニング
ウイリアム・ストラウス ニール・ハウ 著/ビジネス社

これ、トランプさんの最側近だったバノン元首席戦略官のバイブルだそうです。フォースターニングの著者ウイリアム・ストラウスとニール・ハウは、この本の内容をベースに数々の予測を的中させてきた

これ、どうなんでしょうか?私には、どうなのかわかりません。しかし、2008年にアメリカ発100年に一度の大不況」がおこった時、誰もが1929年の世界恐慌」を思いだしました。正確にいうと「79年前」ですが、「だいたい80年」といっても誰も文句をいわないでしょう。

しかし、その後の歴史は違ってみえました。オバマさんは、きちんと歴史の教訓から学んでいた。即座に大規模な金融緩和を行い、毎年200兆円という莫大な財政赤字を出しながら、経済を救済していきました。それで、1929年の世界恐慌時のように、悲劇は長引かなかった。アメリカはその後、ずいぶん長い好況がつづいています。「オバマさんは80年前の教訓に学んだので、歴史は変わったのかな?」と思えた。

しかし2018年はどうでしょうか?今年はどんな年???そう、【米中戦争が勃発した年】です。79年ひいてみましょう。

第2次世界大戦が勃発したのは?そう、1939年です!もちろん、こんな突っ込みが入るでしょう。「ていっても、米中貿易戦争でしょ?米中、戦闘してないし…」。そのとおり。

しかし、大国が核兵器を大量保有する時代。戦争の形態は80年前と変わっていることに留意する必要があります。つまり、アメリカ、中国は、両国だけでなく地球自体を破滅させることのできる核を保有している。だから、米中大戦争大戦闘は起こりにくい(可能性は、ゼロではないが)。それで、戦争の形態は、「情報戦」「外交戦」「経済戦」中心にシフトしているのです。

そういう意味で、米中関係は戦闘していなくても、「戦争」といえる。「覇権争奪戦争」です。結局、「80年周期説」の方向に、人類歴史は進んでいくのでしょうか?

役者は誰?

歴史は繰り返す」といいます。しかし、80年前の戦争初期の主役はイギリスとドイツでした。ところが今、イギリスとドイツは戦争していません。確かにEU離脱問題でもめていますが、争いは文化的です。ですから主人公は、「移動した」といえるでしょう。

1929年も2008年も、「アメリカ発で危機が起こりました。1929年世界恐慌の影響をまったく受けなかった国、比較的迅速に危機を脱出した国がありました。まったく影響を受けなかったのはソ連です。迅速に危機を脱出したのはナチスドイツです。

08年100年に一度の大不況でもプラス成長をつづけた大国が二つありました。一つは中国で、もう一国はインドです。中国は、危機後も9~10%の成長をつづけていた。皆さんご存知ですね。ですから、今回は、

なのではないでしょうか?ナチスドイツといえばユダヤ人大虐殺ですね。今中国は、「ウイグル人100万人を捕まえて強制収容所にとじこめている」と非難されています。

今後の予定(?)

歴史は80年79年で繰り返しているという仮定で未来を想像してみましょう。どうなるのでしょうか?皆さんご存知のように1945年に第2次大戦は終わっています。79年足すと2024年ですね。この年あたりに中国は没落し、強制的に民主化されるのでしょうか???

現状、全然ありえないシナリオに思えます。しかし、思いだしてください。1985年にゴルバチョフが書記長になったとき、「6年後の1991年にソ連は崩壊する」と考えた人はいるでしょうか(中には、ラビ・バトラさん、エマニュエル・トッドさん、小室直樹さんなど、ソ連崩壊を予言したはいたが…)?こう考えると、「6年後に何が起こるかなんてわからない」のです。「80年周期説によれば、「2024~2025年頃から新しい世界秩序が出てくる」といえるでしょう。

日本は同盟国を間違うな!

ところで、80年前日本は敗戦の道を疾走していました。1937年に日中戦争がはじまった時、中国はアメリカ、イギリス、ソ連から支援を受けていた。つまり、この戦争は、日本 対 米英中ソ の戦いだった。こんなもん勝てるはずありません。そして、日本はこの後、なんと「ナチスドイツの同盟国になるという決定的な過ちを犯しました。

これ今風にいえば、「日本は中国を同盟国に選ぶ」ということになります。現状あり得ないように思えますが、世の中何が起こるかわかりません。米中戦争がはじまった途端に財界の大物たちがこぞって訪中し、関係改善を進める。こんなのを見ていると、RPE読者以外の皆さんは、かなり大物でも、世界で起こっていることが全然見えていないことがわかります。ですから皆さん、日本が80年前の過ちを繰り返さないようしっかり監視していきましょう。

80年前の過ちは、「ナチスドイツを同盟国にしたこと」。今後起こり得る過ちは、「アメリカを裏切って中国側につくこと」です。これをやれば日本は「二度目の敗戦」となり、永遠に自虐史観から抜け出せなくなるでしょう

image by: vector_brothers / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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