インターネットショップの普及や少子化の影響で大きな曲がり角を迎えているスポーツショップ。そんな中、無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者・梅本泰則さんが提案するのは、ある「新規事業」です。梅本さんは今回、日本のスポーツ指導の問題点を指摘するとともに、そんな状況をうまく商売に組み込む戦略を紹介しています。
新規事業を考えませんか
東京オリンピックを迎えるにあたりスポーツ業界は大きな曲がり角に来ています。何もスポーツ用品業界だけではありません。スポーツ選手を育成する世界も変革を求められています。スポーツ選手に近いところにいるスポーツショップにとって、チャンスはありそうです。
スポーツショップの活路
スポーツショップも、少子化に頭を痛めています。学生の数が減ってしまっているので、大変です。
そんな中で、小売店さんは様々なところに活路を見出そうとしています。ネット販売に活路を見出そうとするお店。取り扱い種目を絞って活路を見出そうとするお店。用具のメンテナンス、シューズのインソール加工、マーク加工などの技術に活路を求めるお店。そしてまた、学校などへの外商活動一本に商売を絞っていくお店。その手はいろいろです。
これらの方向は、それなりの成果をもたらしてはいます。しかし、大きな飛躍に結びついているお店はそれほど多くはありません。そこで私は、あなたに新しい事業を考えてはどうかという提案をしたいと思います。といっても、スポーツと全く関係のない事業をお勧めするつもりはありません。その新しい事業のアイデアはいくつかあるのですが、今回は「スポーツ指導者育成ビジネス」をご紹介します。
今、スポーツ界は、パワハラ問題で世間を騒がすことが多くなってきました。トップ選手に対するものばかりでなく、無名の学校でのスポーツ選手へのパワハラが新聞に取り上げられています。しっかりと調べれば、日本中ほとんどのスポーツ組織で起きていることなのではないでしょうか。それは、日本のスポーツの教え方に問題があるからです。
日本のスポーツ指導法
日本のスポーツ指導の現場では、叩かれたり、罵声を浴びせられたりすることは当たり前のことになっています。指導をする人も、そうして教えられてきたので、それが正しい方法だと思っているからです。
しかし、時代は変わっています。今までならば、閉ざされた世界から情報が外に出ることはありませんでした。ところが、今はSNSで簡単に情報が外に出ます。それによって、スポーツ指導のあり方が問題となっているのは良いことです。実は、ここに大きなビジネスチャンスがあります。どういうことでしょう。
あなたのお店のお客様の多くが、学校の部活やスポーツ少年団でスポーツをしています。その指導者は、スポーツ経験のない先生だったり、地元の熱心なスポーツ好き父さんだったりすることでしょう。これらの人たちは、スポーツ指導者としての教育しっかりと受けているわけではありません。ですから、皆さん教え方は我流です。
いえ、スポーツの強い学校やクラブの指導者だって、スポーツ指導者としての教育を受けている人は少ないでしょう。ここにビジネスチャンスがあります。部活の生徒にしても、少年団のメンバーにしても、どうせなら優秀な監督やコーチに指導してもらいたいはずです。選手の父兄も、きっとそう思っています。そうであれば、優秀な監督やコーチを養成する塾やスクールをあなたが作って経営をしてはどうでしょう。
先日、「コーチング」の関係者と話をしました。すると、意外なことが分かったのです。
スポーツ指導者養成機関
彼らは、スポーツの指導者の多くが「コーチング」をしっかりと学んでいると思っているようでした。ですから、「コーチング」の専門家が出る幕はないと考えているようです。大きな誤解ですね。
確かに、青山学院大学の原監督のようにコーチングの理論を駆使してチームを強くした方もいます。しかし、そうした例はまだまだ少ないです。地方の無名のチームならば、なおさらだと思います。指導者の皆さんにとっては、自分の経験が頼りです。そんな状況を不安に思っていることでしょう。
そこで、あなたのお店の出番となります。現役のスポーツ指導者や指導者を目指す人を集め、「スポーツ指導技術」を習得させてはいかがでしょう。もちろん有料です。今まで、そうした技術をしっかりと学べる機関がたいしてありませんでした。しかし、世の中は優秀な指導者を求めているのです。
この養成機関では、コーチング、スポーツ心理学、メンタルトレーニングなどスポーツ技術以外のことを学びます。同時に、トレーナー技術、栄養学、コンディショニング法などもカリキュラムに入れなければいけません。技術向上や戦略構築のためのデータ分析法が学べればなお良いです。
そして、この養成機関を卒業した指導者を、有料で各地のスポーツチームに派遣します。その紹介窓口は全国のスポーツショップです。スポーツショップは、それぞれ地元のスポーツチームとつながっています。優秀な指導者が紹介できるならば、商売にも役立つことでしょう。
ついでに言えば、スポーツ指導者の資格には、良い名称をつけることです。そのうえ、体育協会とかスポーツ庁とか、どこかのお墨付きがもらえれば、言うことありません。資格には、1級とか上級とか、レベルを設けるのも良いです。
いかがでしょうか。こんな新規事業が出来れば面白いとは思いませんか。スポーツショップとしては、まだどこも手を付けていない事業です。検討されてみてはどうでしょう。
■今日のツボ■
- ビジネスの成長のためには、新規事業も必要である
- スポーツ店が「スポーツ指導者養成機関」を経営してはどうか
- スポーツ店は優秀な指導者を紹介して地元のチームに貢献する
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