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すべては親の接し方次第。子どもが「いじめる側」になる3つの訳

子どもの人権問題として多くの親を悩ませる「いじめ」。家庭教育のプロ、柳川由紀さんが発行するメルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』では今回、「いじめさせない」ために「自尊感情」と「思いやりの心」を育てるために親はどう子どもに接するべきか、について教えてくれています。

いじめさせないためには?

前号では、子どもがいじめ行為をする理由として、以下の3つをお伝えしました。

いじめを根本的に解決するには、いじめを行う子どもの存在感や自尊感情を満足させること、感情をコントロールする力をつけること、他者を思いやる気持ちを持たせること、が必要です。

そのために親がすることは何か、順を追ってお伝えします。

1.自尊感情を育てるために

自尊感情とは、自己肯定感、自尊心、などとも言われますが全て同じことで「自分のありのままを価値あるものと認めて大切にする」ということです。「自分はすごい」と自信満々でいるということではなく、「自分には弱いところもダメなところもあるけれど、良い面もあるから全体的には良しとしよう」と、自分にOKを出せることです。

自分にOKを出すためには、そのための基本となるものが必要です。それは、「自分は自分のままで、ここに居ていい」という「存在への自信」です。これこそが自尊感情の基本です。

ですから親や祖父母、先生などが、まずその子どもを丸ごと受け止めることです。個性を認め、あるがままを受け入れ、条件なしの愛情を注ぐことが大切なのです。

Q. 子どもとの約束を守っていますか?

Q. 子どもの話に、きちんと目を見て耳を傾け向き合っていますか?

Q. 子どもを大人の都合で叱ってませんか?

Q. 子どもを誰かと比較していませんか?

Q. 子どもが何を好きか、何が苦手か知っていますか?

Q. 子どもの友達を複数知っていますか?

Q. 子どもを一人の人間として尊重していますか?

Q. 子どもだから親の言うことは聞いて当たり前、と言う態度でいませんか?

Q. 子どもに感謝の気持ちを伝えていますか?

Q. 子どもと共感できるもの、共有できる時間を持っていますか?

Q. 子どもを信頼していますか?

子どもに対する態度一つひとつの積み重ねが、その子どもの自尊感情に影響します。これまでの自分自身の子どもに対する態度を振り返ってみて下さい。

2.思いやりの心を育てるには

欲求不満がたまり、そのはけ口として、自分よりも「弱い」者に八つ当たりする理由は、自分の方が強いからであり、相手の気持ちを思いやることができないからです。思いやりの心は、自分が受け入れられた、優しくされた、という経験を重ねることで育ちます

優しくされたことのない子どもは、言葉でどんなに「優しくしようね」と言われても、優しさの示し方を知りません。言葉だけで教えられるものではないからです。

だからこそ、親をはじめとした身近な大人がモデルになる必要があります。まずは親が子どもを思いやり、尊敬する姿を見せ、「ありがとう」「ごめんね」などの言葉をかけることです。日々忙しい中でも、子どもに対して感謝の気持ちと思いやりの心を常に意識しながら接しましょう。

3.ネガティブ感情を受け止める

普段から、「嬉しい」「楽しい」と言う前向きな感情は周りの人からしっかり承認されますが、「怒っている」「嫌だ」「悲しい」などのネガティブ感情は「そんなに怒らないの!」「泣かない!」などと否定されがちです。けれどもこうした「怒っている」「嫌だ」などのネガティブ感情もしっかり受け止めることが非常に重要です。

「相手を思いやる心」を育てるために「自分がされて嫌なことは人にもしない」と教えますが、そもそも「嫌である」という感情を受け止めてもらっていないと「何が嫌なのか」わかりません。「相手の感情をくみ取る」には、基本となる自分の感情をしっかり理解していなければできません。そのために、ネガティブな感情も周囲からしっかりと受け止めてもらいながら育つ必要があります。

「今、あなたは悲しいね、辛いね」と誰かに言葉で認めてもらい、共感されることを「感情の社会化」と言います。感情の社会化をし、「今の自分のこの気持ちは悲しいんだ、辛いんだ」と自分の気持ちを理解することが、「他者の気持ちをくみ取る」「相手を思いやる」ことに繋がります。

家庭教育アドバイス……「困る子どもを作るのは親」

子どもは、いつも叱る親に対して「ありのままの自分ではだめだ」と思うから、親の「理想の子ども」、つまり「叱られない子どもになるために嘘をつく」ようになります。

また、親にお願い事をしても後回しにされたり、聞き入れてもらえなかったりすることが続くと、「いつも自分のことは後回しで、聞き入れてもらえない、自分に注目してもらうにはこのままじゃだめだ」と思うから、「自分に注意を向けさせよう」と親にとって困ることをします。 どちらの例も親にとっては「困る子ども」です。けれども共通しているのは、「自分を受け入れてほしい、見てほしい」という思いです。「親にとって困る子供」は、親自身の子どもに対する態度が作り出しているようなものなのです。ご自身のお子様が、「困る子ども」になるときがあるならば、子どもに対する接し方を見直しましょう。

image by: shutterstock.com

家庭教育アドバイザー 柳川由紀この著者の記事一覧

家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

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【著者】 家庭教育アドバイザー 柳川由紀 【月額】 初月無料!月額508円(税込) 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日(年末年始を除く) 発行予定

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