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海外ブランドの財布をネット通販で買うなら大きさに注意すべき理由

何年かに一度はやってくる財布の買い替え。これまでの使い勝手を振り返り、吟味に吟味を重ねて新しいものを選ぶという人が多いのではないでしょうか?メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんも最近、そのようにして検討し、新しい財布に買い替えたようですが、納得できない結末を迎えてしまったと報告しています。さて、いったい何が起こったのでしょうか?

財布と紙幣のこと

最近、財布を買い替えた。ここで改めて言うほどのことでもないとは思うのだが、意外と財布の形態にはバリエーションが少ない。紙幣と硬貨とカードを効率よく収納するのが目的だからこれは当然と言えば当然である。雑貨も機能的収斂進化を遂げるという訳である。

その代わりに、素材や意匠は無限に拡散している。財布の多様性は実にここで担保されていると言っていい。故に各ブランドの個性も自然とそこに現れることになるのである。 さて、先に述べた形態のバリエーションをまとめると、  

1.札を折らないタイプ

2.2つに折るタイプ  

3.3つに折るタイプ というように3大別できる。

そのうち2のタイプには2種類あって、

2a.開いた時にカードが横長になるタイプ

2b.開いた時にカードが縦長になるタイプ

と分けることができ、特に2bのタイプは2つ折れの状態をきっちり保てるようにファスナーやドットボタン(リベットタイプのボタン)で閉じることができるようになっている。

自分の場合、財布は尻のポケットに入れて携行するから自然選択肢は2になる。1だと上半分がポケットから出てしまうし、3だと小さ過ぎて取り出し難いのと3つ折れ分の厚さが出てしまうので都合が悪いからだ。

という訳で、買い替え前は2bのタイプを使っていた。その財布とは結果として長い付き合いにはなったのだが、それでも不満なところが2つあった。

1つ目は、前述のドットボタンが早々にあまくなってしまい、それをきつくしようとしてペンチで形を絞ると一時的には効果があるもののすぐにまたあまくなって、そんなことを繰り返すうちに終には凸部も凹部も原形を留めぬほどに変形してしまい、ただただ邪魔な金属部品に成り果ててしまったところである。

2つ目は、現代人の財布の宿命として、どうしても分厚くなり過ぎてしまうことである。しようがないとはいえ、片尻だけこれはつらい。是非とも何とかしたい問題であったので、新しい財布では機能を札入れと小銭入れの2つに分け、厚さを両尻に分散することにした。

2bのタイプには札入れだけというのは無かったので、新しい財布のラインアップは2aタイプの札入れ兼カード入れと小銭入れに決まった。という訳で、アメリカの有名ファッションブランドの日本公式オンラインストアにて決定通りの買い物をした。

さて心機一転、財布の中身を入れ換えようと思った矢先、ある異変に気付いた。札入れの部分が浅いのである。札が入らぬほどではないが、うっかり気を抜いて入れると札の頭が数ミリ飛び出る。札入れの口をしっかり開き、紙幣に最も強度が生じるような角度でしっかり持って、ポケットの底の部分にグリグリと挟み込むようにして入れないと到底納まらない。それでもギリギリで、財布とお札の縁がほぼ同じ高さである。何故あと5ミリ大きく作れないのか、不思議でならなかった。

そのような次第だから、私のニュー財布から出たお札はもれなく片方の縁がピロピロと波打つようなしわになる。この財布にピン札を入れる時の切なさといったらない。本当に残念な寸足らずぶりである。

その残念財布を使い始めてから一週間くらい経った頃だろうか、ある考えが頭に浮かんだ。「ドル紙幣って小さかったような…」。その啓示に促されるままネットで調べる。

日本の札=幅76mm

米ドル札=幅66mm

何ということか。アメリカならあと1cmも余裕があったのだ。どう考えてもこれが本来であるに決まっている。

となれば、問題はそのブランドの日本法人である。仮にも公式ストアで売るからにはその商品が何の注意喚起も無しに市場投入してもいいものかどうか吟味すべきであろう。然るに、それを怠るからこういう事態が起こる。日本で役に立たぬ以上、日本においてこの商品は不良品である。堂々と不良品を売って傷付くのは自社のブランドイメージである。こうして消費者の信頼は失われていくのであろう。 さらにむかつくことに、製造国を見てみると日本円とも米ドルとも関係のないアジアの国であった。それならいっそのこと、インターナショナルサイズにすればよかろう。

今後、日本の何処かで、ピロピロ縁のお札を見かけたらそれはこの残念な財布を出身とするものかもしれない。上述のような次第である。お札に罪はない。せめて額面通りくらいには可愛がってやってもらいたいと思うのである。

image by: shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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