「国としてのピークは過ぎ、少子化問題で人口急速減」というようなメディアの論調も手伝って、私達の中に「日本はもう終わっている」という意識が定着してしまった感があります。そんな中、今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、思考停止するのではなく、日本の抱える危機的状況を先ずは3つの課題に絞った上で、粘り強く乗り越えていく方法を探ります。
日本は終わっている???
最近、「日本は終わっている」という話をよく聞きます。理由はいろいろ。
- 少子化で、80年後には人口が5,000万人を切る
- それで、約900の自治体が消滅する
- 日本は技術力で中国や韓国に抜かれつつある
- 財政は破綻する
- 年金制度は崩壊する
- 次の世代はノーベル賞をとれない
- キャッスレスが進まないからもうダメだ
などなど。テレビを見たり、新聞、雑誌をちょっと読んだら、もうわんさか「暗黒キーワード」がでてきます。今日は、「日本終わってる?」について考えてみましょう。
日本が終わっても…
私は、全然「日本は終わっている」とは考えません。しかし、1億分の1そうであったとしても、皆さんに知っておいてほしいことがあります。それは、「たとえ国が破産しても、全員が苦しくなるわけではない」ということ。なぜそんなことがいえるのか?
私は1991年12月、ソ連が崩壊するのを目撃しました。それで、おそらく99%ぐらいの人の生活は超大変になった。しかし、全然影響を受けなかったばかりか、その後数年で超富豪になった人たちもいたのです(陰謀論ではなく、ユダヤ系が多かったのですが)。
というわけで、現在「日本は終わっている」と確信している人も、「それでも俺は終わらない!!!」と決意していただきたいと思います。なぜそれが大事なのか?そう決意してがんばる人が多ければ、国自体が上がっていくからです。
あなたの商売が栄えていれば、取引先も儲かることでしょう。取引先が栄えれば、そのまた取引先も栄えていきます。ですから私たちは、「俺が栄えれば日本も栄えるのだ!」と確信してがんばっていきましょう。
日本は成熟期だから終わっている?
日本の成長期は、ざっくり1950~1990年でした。高度成長、そしてバブルの時代です。その後、約30年間も低成長の時代がつづいている。そう、日本は成熟期なのです。それで、「嗚呼、日本はもう成長しないのだ」と思う人もいることでしょう。
しかし、成熟期でも成長することは可能です。たとえばアメリカ。日本よりずっと前に成熟期に入ったこの国、70年代はだいぶ苦しみました。それで、「ソ連の時代がくる!」と思っていた人も多かったのです。
ところが、80年代はレーガン改革で成長。90年代は、クリントン政権時のIT革命で成長。00年代は、不動産バブルで成長。10年代は、「100年に一度の大不況」を克服し、長期にわたる成長を実現しています。そう、成熟期でもやり方次第で成長できる。
そして、成熟期でもうまくいっている国を研究したらいいですね。たとえば、フィンランド、スイスなど。
というわけで、「日本は成熟期だからもうダメだ」と思わなくてもいいのです。
日本の最重要課題は?
個人的には、「国がどうなっても、自分はサバイバルしてやる!」という決意が必要。一方で、やはり「自分さえよければ」ではまずいですね。国が亡びないように、国政に働きかけていくことも大事です。とりあえず、最重要課題は3つだと思います。
1.「日本に沖縄の領有権はない!」と宣言している中国の侵略を阻止すること
そのやり方は、『中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う』(北野幸伯 著/扶桑社)に詳述してあります。
2.3K移民を入れすぎないこと
欧州でもアメリカでもロシアでも、3K移民を大量に入れた国で、大問題が起こっています。トランプさんが勝てた大きな要因の一つは、「移民制限」を掲げていたから。欧州では、テロが頻発して大変。それで、欧米では、「移民規制」の方向に舵をきっている。それなのに、日本は、「さあ!移民をバンバンいれるぞ!」とはりきっています。失敗例が山のようにあるのに、「失敗政策をマネするぞ!」というのだから、愚かです。
3.少子化問題
世界最強の戦略家ルトワックさんも、「中国問題」と「少子化問題」を日本の最重要課題にあげました。このまま放置しておけば、日本の人口は、2050年には1億人をきり、2100年には5,000万人以下になってしまいます。
この問題の深刻度、私も、実家町内の惨状を見るまで認識できませんでした。私の実家は、長野県第2の都市松本市駅から徒歩圏にあります。そして、私の実家の町内には、50歳以下が一人しかいないのです(!)。
人がうじゃうじゃいる東京圏の人は、この問題の深刻さを認識するのが難しい。しかし地方の人達は、生まれた場所から人が消え、スカスカになっていくのを実感しています。
「日本の人口を2億人にしましょう」とはいいません。そこまで行かなくても、政府が約束しているように、「出生率を1.8まで引き上げる」ことは必要です。これは安倍総理が約束されたことですから、是非実現して欲しいと思います。
出生率を劇的に、簡単に上げる方法は、『日本の生き筋―家族大切主義が日本を救う』(北野幸伯 著/扶桑社)に記しておきました。是非総理に教えてあげてください。
というわけで、「日本は終わっている」のか?要は、今を生きる私たち次第ということですね。そして、私は信じます。日本の明るい未来を。
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