世にコンサルタントを名乗る人間は数多いますが、「彼らが主導する公式や方程式を用い成功したと見えても、その大半は一過性で終わる」と断言するのは、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者・中久保浩平さん。今回の記事では中久保さんがそう判断する理由を記してくださっています。
型通りにはめるコンサルタント
数年前、婦人雑貨販売経営のクライアントが、ポロっと言った言葉がいまでも耳に残っています。
社長 「中久保さん、実はね、うちは以前○○総研にコンサルタントを依頼したことがあるんですよ」
私 「へぇ~そうなんですね。で、どうでした?」
社長 「それがね、資料やらマニュアルやらは、やたらと立派なものを持ってくるんですけど…で、それに当てはめて色々とアドバイスくれるんですけど…。その資料やマニュアルを見るだけでも正直疲れてしまうんですよ。なので、実践するまでに腰が重くなるというかなんというか…まぁ今更愚痴っても仕方が無いことなんですけどね」
コンサルタントによって様々な型があります。○○の法則、方程式などをまとめたマニュアルやレポートの類がそうです。
このクライアントの話を聞いて、「コンサルタントって自社の型に当てはめて結果をだすのが仕事なの?ほんとにそんなものに当てはめる必要があるの?」なんてことを随分と考えたことがあります。
確かにコンサルタント主導の下、公式や方程式に則った方が上手くいく場合があります。ですが、それは一過性のもので終わるケースが大半です。なぜなら、そうした公式や方程式に頼る体質になるからです。また、その公式や方程式に当てはまらない場合、無理に当てはめようと難しく考えすぎてしまい空回りするからです。あるいは、疲れ果てて続かなくなるからです。
つまり、公式や方程式だけでは自社で課題や困難に向かい、乗り切っていく自力を養うことができなくなるのです。答えを導く方程式を教えてもらい、成績が良くなったけど、真の学力が身に付かない小学生と同じことなのです。テストで良い点を取るためのテクニックを学んでも意味が無いのです。
型に当てはめることは、ある意味、楽です。
僕も以前は「このとおりにすれば上手く行きますよ」というようなことをアドバイスさせて頂いたことがたくさんあります。WEBサイトの文章はこのようなリズムで…とか、営業トークはこのような切り口でといってはスクリプトを作るとか、チラシはキャッチコピーとリード文をこうして…など。
でもそういう類の型とおりのことをやってもらって結果が出てもそれは表面的に数字が良くなるというだけで全く意味がありませんでした。
どういうことかというと…目の前の課題を解決することはできてもその型通りのことだけで、応用が効かないのです。もっというと応用を効かす思考と行動が止まってしまうのです。
たとえば、今月の売上をなんとかしようと躍起になって起爆剤のような営業法をとります。
「お客さん、もう今決めてくれないと来月には入荷できませんよ」
「今、契約していただかないとこの価格ではもう無理ですよ」
「特典を受け取れるのは今月末まで」
などと煽り、駆け込み需要を創りだし売上にします。そして、上手く行けば、また来月も売上に困り同じようなことを手を変え、品を変えやるのです。毎月毎月、自社都合で行われるキャンペーン。お客さんも段々と慣れていき、キャンペーンはもう通用しなくなります。
これが型通り…の結末です。
これでは、いつまで経っても課題に当たるたびに「それに当てはめる公式は…」なんて探すだけで、自力を養うことになりません。会社としてのたくましさが養われることはありません。型通りにことを進めるのは敷かれたレールに乗って進んでいき「虚弱体質」という終着駅に向かっていることになります。
そうして結局また同じことでぶつかり、同じように悩み、同じような手段を取らざるを得ないということを繰り返すのです。そして、お客様からは「あ~またか」と飽きられるか、「また例の売り込みかよ」などと思われるだけなのです。
型はあくまで基本のものであり、応用力を自ら培っていかなければ意味がありません。あなたはコンサルタントの言われるがままその通りに実行しているだけで終わっていませんか?ビジネス本やセミナーで聞いたことをその通りにやるだけで終わっていませんか?
■今日のまとめ
「型通りのことは、あくまで基本的なこと。そこで終わってはダメ」
- 課題や問題を解決するために必要な力とは?社内で話し合ってみる
- 話し合ってまとめたこと、あるいは必要な力を得るために計画し実行する
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