北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督は昨年、新人選手全員に思想や道徳、人生学などが綴られた一冊の本を渡したそうです。監督はこの本を通して、彼らに何を学んで欲しいと願っているのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、栗山監督と建築家の隈研吾さんとの対談を通して、「栗山英樹流の選手育成に対する哲学」を紹介しています。
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野球以外のところに選手が育つヒントがある
栗山英樹さん。言わずと知れた日ハム監督です。
『致知』の読者でもある栗山さんは、選手たちに人間的に成長してもらいたいという思いを強く胸に抱かれています。そんな思いを対談中にもお話しいただきました。
運と徳 隈研吾(建築家) × 栗山英樹(北海道日本ハムファイターズ監督)
隈 「栗山さんも来シーズンに向けて何かとお忙しいでしょう?」
栗山 「おかげで話題のスター選手が何人も入団してくれましたので、チームを優勝に導くことは当然なのですが、それと同時に僕が次の時代の日本にどうしても伝えたいのが、野球という競技の面白さなんです。
そのためにも若い選手たちが、誰もが憧れる選手として人間的にも大きく成長してもらわなくてはいけない。
そういう願いから僕は致知出版社から出版された『小さな人生論』を昨年の入団発表の時に新人全員に配りました。人間学の根本が書かれたこの本をしっかり読んだ上で、両親と高校時代の監督に一生の約束事を本に書いてもらうよう指示しました。
その後、今度は僕が自主トレの時に一人ひとりとの約束事を書きました。ささやかながら、このような形で僕が学ばせてもらった人間学の教えを選手たちにも残してあげたいと思ったんです」
隈 「それは、いいことですね」
栗山 「これまでの新しい選手には渋沢栄一の『論語と算盤』を配って『オフの間にまず読みなさい』と伝えていました。
『商売でも野球でも人間としての徳がなかったら発展させることができない』ということをこの本を通して伝えようとしたのですが、なかなか思うように伝えられなかったものですから、僕が愛読していた『小さな人生論』を必読書として渡しました。
プロ生活に慣れた頃に、選手たちがこの本を読み返して自分の原点を見つめてくれたら嬉しいですね。
僕は野球以外のところに選手が育つヒントがあると思っていて、特に我われが先人から授かったものを若者に橋渡ししていきたいという思いがとても強いんです。
隈 「栗山さんは監督というよりも、教育者ですね(笑)」
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