多くの企業が、「10年以上勤務しているベテラン社員が新人教育係として最適」と考えているのではないでしょうか。しかし、それは逆に新入社員を萎縮させる可能性がある、とするのは人気コンサルタントの中久保浩平さん。中久保さんは自身の無料メルマガ『ビジネス真実践』でその理由を記すとともに、無理なく社員の力を伸ばす新人教育法を紹介しています。
新人教育は若手に任せよう
1つの会社に10年以上も勤めると知識も経験も膨大に蓄積され部下を指導したり、教育を任せられたり…というケースがあるかと思います。
このようなベテランの人が新人教育を行うと新人は圧倒され、「自分はこんな風になれない」「この仕事はやっぱり自分には向かない」などというネガティブな感情がわきあがってしまう…。
ちょっと強引かもしれませんが、こいうようなことも往々にしてあるのです。
入社したての最初の時期にドバァァーーーと知識を詰め込もうとされると、拒絶反応を起こします。それではせっかくの新人教育も台無しに…。
名プレーヤー、名将に非ず、という言葉もあるように必ずしも、知識も蓄え実績もそれなりに積んできたベテランが、教育という仕事に向いているかと言われればそうではありません。自らがプレーヤーとなって結果を出すのと、人を指導・教育してその人に結果を出してもらうのとでは性質が違うからです。
「自分のころは朝駆け闇討ちの営業が当たり前だったよ。だからお前もそれで頑張れ」とか、「このマニュアルをよく読んで、そのとおりにやってね」というのは指導でも教育でもありません。つまり、自分にとって「当たり前のこと」は新人にとっては、当然ながら「当たり前のことではない」のです。この感覚、意識を持っていなければ育つものも育ちません。
経験上ですが、新人教育はベテランではなく2年目~3年目の人に任せるのが一番です。2年目、3年目くらいの若手はちょうど仕事の楽しさや辛さなどがわかってくる時期です。それくらいのキャリアの人が新人教育という仕事を通じて、さらに自信を深めたり、自分ではまだ分かっていなかったというところを発見したりするなど、数年の自分の取り組みを再確認し改善することが出来ます。また、後輩にアドバイスや指導を行うといことで自分で自分にプレッシャーをかけることになります。
つまり、新人教育という仕事で、2年目~3年目の人間が成長できるのです。そして、その中で育った新人が次に2年目、3年目になった時に同じく、また新人教育を行っていく。この繰り返しで人材が人財に育っていくのです。これが底上げ共育です。
いつまでも新人教育はベテランがやるもの、と思っていれば人は育ちません。教育係と決められた人だけが毎回行っても意味がありません。御社では人材育成をどのように取り組んでいますか?新人教育が単なる押し付けの指導になっていませんか?
■今日のまとめ
「新人教育は2~3年目の人に任せる」
- 明日から新人教育すると仮定して自分ならどのように教育していくか?プランを考えノートにまとめてみる
- 自社の人材教育について、社内でディスカッションしてみる
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