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【書評】マニア、マストバイ…実は通じない日本人のカタカナ英語

「がんばって!」の意味で使われる「ファイト!」やアパレル雑誌などでよく使われる「マストアイテム」など、私たちが当たり前のように使っているカタカナ英語。しかし、こういった言葉の中にはネイティブな方々には通じない和製英語が多いのも現実です。では、なんという言葉で話せば伝わるのか? 今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、通じないカタカナ英語を自然な英語に置き換える良書をレビューしています。

偏屈BOOK案内:『日本人が勘違いしているカタカナ英語120』

日本人が勘違いしているカタカナ英語120

キャサリン・クラフト 著 里中哲彦 翻訳/中央公論新社

若い頃に米国西海岸、イギリス、韓国、中国そのほか、一人ウロウロしていた時は、仕事ではないから重要な会話などなく、いい加減英語で済んだ。ソウルは取材も一部あったが、相手がみんな日本語で応じてくれた。もはや会話としての英語は絶望だ。でも、変な英語的表現、和製英語には文句をつけたい。

いまや世の中には、変なカタカナ英語が蔓延している。知らずに自分でも使っているが。そのカタカナ英語は英語でなんというのか、それを知りたい。正しい表現をしたいからだが、他人が使っているとき、それおかしい表現だよ、どこがおかしいかっつうと云々、正しくはこうだよと講釈を垂れたいからである。

じっさい日本には「つうじないカタカナ語」がたくさんある。この本の狙いは、日常よく使われているカタカナ語を取り上げ、それを場面に即した英語に言い換え、その意図したところが確実にネイティブ・スピーカーに伝わるようにすることにある。誰もが普通に使っているカタカナ語、以下はすべて通じない。

モーニングサービス、ペットボトル、ガッツポーズ、リアクション、マンツーマンで、ノルマ、ライフライン、ポリシー、アットホームな……。こうした英語風カタカナ語を、著者はただ“正しい英単語”に置き換えるだけではなく、「関係」と「文脈」を考えて、場面に応じた“自然な英語”を教えてくれる。

ミスする、ミスったI missed. I mistook. は×。I made a mistake. が○。日本人は声に出すが、アメリカ人は Oops! / Oh! no! / Uh-Oh! と声を上げるだけ。反射的に「あ、間違えた」とはまず言わない。他人に問われてはじめて、具体的になにをどの程度のミスしたのかをいう。日本人がよくやるミスで「タイプミス」は a type miss とはならず、a typo になる、んだそうだ。

ファイト!:大きな誤解を生む表現だ。Fight!はケンカである。Go!という。

オーバー:「彼は話がオーバーだ」をそのまま He is over.としてしまうと「彼はもう終わりだ」になってしまう。クビになった、ふられた、殺された。He tends to embellish his stories. 彼は話を脚色する傾向がある

マストアイテム:ネイティブ・スピーカーは a must-have(item)という。must-see(必見の)must-read(必読の)must-buy(買わなければならない商品)

ハードスケジュール:いかにも英語っぽいが自然な英語ではない。busy schedule /tight schedule という。

ポジティブ:積極的、肯定的なという意味においては正しい使い方だが、使い過ぎるため何をいいたいのか不明に。

彼女にアタックする:I attacked her.としたら、「襲いかかった」犯罪者。I hit on her. あるいは I made a pass at her. とする。

トラブる:名詞を動詞化した日本人の発想に感心。英語で言いたければ have trouble が最適。

その他おもしろかったのは、「オールマイティである」「プロポーズ」「イメージチェンジ」「マニア」「ムードのある」「マイペースで」など要注意。

また、文法的には正しくてもネイティブ・スピーカーは絶対口にしないような英文がゾロゾロ出てくる。非常に面白く役に立つ本だった。夕方のテレビニュースショーの、バカ者揃いの進行役たちに無理やりでも読ませたい。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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