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財布の中身を整理してわかった、レジの受け皿にカードを置く習慣

時代はキャッシュレスへと向かっているようですが、入れておくお金は減っても、財布の分厚さは変わっていないという人も多くいるようです。メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんもそんな一人のようで、せっかく美しい財布を買っても「豚のように」太ってしまう財布に辟易し、ついに持ち歩くカード類の整理を断行したようです。そうして、財布がスッキリしたのとは裏腹に、買い物のたびにモヤっとした感覚が沸いてくるのだとか…。その理由とは?

財布のこと

私の財布は分厚い。と言っても、金などはほとんど入っていない。店ごとにある、何たらカードやかんたらカードでパンパンなのである。このおかげで、買ったばかりの頃は美しかった財布のシルエットも忽ち台無しになり、牛革、ワニ革、ヘビ革の別なく豚になる。柔らかくて使い易い豚革もやっぱり豚になる。

そもそも所有しているカードに対して財布のカードポケットが圧倒的に少ない。そこに無理矢理あるだけのカードを突っ込むのだから、財布の方も堪ったものではないだろう。この状態は明らかに問題である。解決の必要がある。

とは言え、種々のカードたちも勝手に増えた訳ではない。それなりの理由があってそうなったのだから、問題の解消にもそれなりの理由が当然必要となる。取捨選択はその間の事情を酌み取って厳格に実行されなければならない。

しかしながら、この作業は相当にシビアである。と言うのも、私の財布にはカードポケットが左5口に右5口の都合10口しかないからだ。その上、既に優先度の高い数枚のカードによって相当数は占拠済みである。

これで既に5枚、左側ポケットは終わりである。セカンドラインアップとしては、

といったところであろう。微妙なのがエマージェンシー系のカードであるが、これも自動車関係は車のグローブボックスに、バイク関係はバイクのタンデムシート下のボックスに入れて置いて、さらにカードの裏表の写真をスマホに収めて置けば万一車輌が燃えても関係各所に連絡はできる。

残るはあと2つである。つまり店ごとのポイントカードは2枚に絞らなければならないということである。ルールは一つ「ポイント還元率の高いものを残す」である。そうしたら、10%還元のカードが2枚残った

或いはスマホのアプリに変えるという方法を採れば、まだ多くのカードを残せたのかもしれないが、不用意にこれをやると連日のメール攻めに会う。ここは心を鬼にして、他は一切破棄することにした。

これは私にとって十分合理的な行為であった。そもそも1万円の買い物をして500円、300円の割引など、カードを持ち歩く面倒の方が遙かに大きい。とにかく太った財布を持ち歩くのは嫌なのである。

かくして私の財布はスマートになった。気分はいい。カードの取り出しもスムーズだ。それなのに「当店のカードはお持ちですか?」の質問に「いえ、結構です」と答えるたびに何か言いしれないモヤっと感が湧き起こって来るのはどういう訳か?

どうやら知らぬ間にレジの受け皿にカードを置くことが、買い物という行為の一部になっていたようである。習慣になっている以上、それを止めれば幾ばくかの喪失感があるのは当然のことである。

これに慣れるには一定期間の訓練が必要である。油断はできない。絶妙なタイミングで「よろしければお客様、新しくカードをお作りいたしましょうか?」が来るからだ。

という訳で「当店のカード…」「いえ、結構です」と、やや食い気味に言葉にしては、やせ我慢をする日々である。

image by: Africa Studio, shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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