怒りを感情に任せて表してしまう人は何かとトラブルを起こしがちですが、「怒りに対する正しい対処法」を知っていれば、そんなことも回避できるかもしれません。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、怒りに対する正しい対処法「アンガーマネジメント」について記してくださっています。
自分の怒りの傾向を把握してみよう
突然ですが、「最近、怒りを感じたことはありませんか?そして、その怒りを言動として表してしまったことはありませんか?」
以前聴講した研修の講義の中で、近年の若手社員の怒りの主な源泉となるものとして、「認めてもらえない」「なめられた」「バカにされた」などといった項目が挙げられていました。怒りを感じるのは、周りの人、物事などを原因とするものだけではなく、自分自身を原因として怒りを感じてしまうこともあるように思います。
本号では、聴講した研修の中で取り上げられていた「アンガーマネジメント」を踏まえて、怒りについて考察していきたいと思います。
「アンガーマネジメント」は、1970年代に米国で生まれました。この理論が、脚光を浴びるようになったのは、皮肉にも、米国で起きた9.11同時多発テロ以降だそうです。
このマネジメントの目的は、「怒ってしまった後の対処(行動の修正)」と「そもそも怒らない気質する(認識の修正)」になります。怒りを言動として表に出してしまったことで、失敗してしまったという経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
「言わなければ良かった、しなければ良かった」「そんなつもりで言ったんじゃないのに…」などといったように、良好な家族関係や職場内での人間関係、友人関係など、自分とかかわりのある人間関係が、険悪な雰囲気になってしまったということもあるかもしれません。
このようにマイナスの結果を引き起こすことが多い「怒り」という感情ですが、この怒りに正しく対処することで、健全な人間関係を作り上げる知識や技術が、アンガーマネジメントと言われます。
聴講した研修の中で、「自分の怒りの癖を知ろう!」ということで、自分の怒りに関することを紙に書き出すという演習がありました。怒りを感じたことを紙に書き出すことによって、自分の感情を認識することにつながります。
紙に書き出す内容として、
- 怒った年月日
- どんな出来事か
- 思ったこと
- その時の感情とその強さ(10段階で何段階か)
- どんな行動を取ったか
- その行動によって、どんな結果になったか
といった内容が挙げられていました。このように自分の怒りについて紙に書き出し、それを繰り返し、記録し続けていくことによって、自分の怒りの傾向を把握することにつながるのでしょうね。また、自分の怒りの傾向を知り、現在の状態を把握することができれば、何らかの対策を考えることにもつながるのではないでしょうか。
怒りを感じる一例として、自分の中にある「こうあるべき」という意見や考えなどがあり、それが、相手から受け止められない時などに、怒りを持ってしまうことがあるように思います。
例えば、ある経験によって「人を見下すべきではない」という考えが身に付いたAさんがいたとします。Aさんに対して、BさんがAとさんを見下す態度を取ったとすると、Aさんにとって、Bさんの態度は、自分の「こうあるべき」という考えに反しているので、Bさんに対して怒りが込み上げてしまうことにつながってしまいます。
「こうあるべき」というのは、一見すると正しいことのように思います。しかし、実は、これまでの自分の体験や経験などから養われ、それが自分の欲求、欲望などになったものも多くあるのではないでしょうか。そこで、自分とは違う意見や考え方、見方などもあるということを頭に入れておくことも必要になってくるのでしょうね。
自分が抱える怒りによって、イライラしたり、ムカムカしたりして、その怒りに振り回されてしまいます。そうすると、通常の状態であれば、しっかりとできることができなくなるということもあります。私自身もこれまでに、怒りから冷静な判断ができなかったという経験があります。
自分が怒りに振り回されないためにも、自分の怒りの傾向を把握するとともに、多様な意見や考え方を受け止めることも大切になるのではないでしょうか。
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