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1番へのこだわりが強い子に母親がかけてあげるべき魔法のひと言

 

毎回子育てに悩む親御さんからの相談に真摯に対応し解決に導いてきた、無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』著者のパピーいしがみさん。今回届いたのは、「5歳の長男が1番や勝ちにこだわりすぎる。幼稚園の先生からは、プライドが高いのかもしれないと言われた」というお悩みです。さてパピーさん、今回はどんなアドバイスを送ったのでしょうか。

一番になりたがる

こんばんは。パピーいしがみです。今日は「一番になりたがる」お子さんについて、ご紹介したいと思います。

ようこさんは、5歳と3歳の男の子のお母さんで、長男さんの「一番になりたがる」事に悩んでおられました。幼稚園の先生に聞いてみると「プライドが高いのでは?」との事。ようこさんからはこんなメールを頂いていました。

パピーさん、いつもお世話になっています。今日は5歳の長男の事で相談させてください。

 

これは以前から気になっていたのですが、長男はとても「1番」や「勝ち」にこだわります。例えば幼稚園でも「はい、みんなで取りに来て~」と先生が言えば、一目散に突進します。その為、ぶつかっておでこをぶつけたり、1番を巡ってケンカになったりする事が多いそうです。その他にも、家族でトランプなどゲームをしていると、自分が負けそうになると「やりたくない」とか「もうやめた」と言ってゲームから勝手に抜けたり、ふくれっ面をして投げ出したります。

 

このようにお話しすると、とてもワガママでトラブルメーカーだと思われるかもしれませんが、競争や勝負事以外では特に問題もなく、幼稚園での縦割り授業でも小さい子にも優しくできると聞いていますし、家でもいろんなお手伝いをしてくれて、おどけて場を明るくしてくれたり、友達とも普通に遊べています。

 

でも勝負事になると目つきが変わり、何かと1番になろうとするのがとても気になって、幼稚園の先生にも聞いてみました。すると担任の先生は「○君は、情緒的にも問題はないと思うのですが、確かに1番へのこだわりは強いです。プライドが高いのかもしれません」と言われ、凹んでしまいました。

 

と言いますのは、私も過去「君はプライドが高いようだね。もう少し回りの意見を聞くようにしなさい」と上司に注意された事があったからでした。厳しい言葉ではなかったのですが、言われた時にはとてもショックで「私ってプライドが高いの?そんな風に見られていたんだ…」とかなり落ち込み、しばらくの間、不安定になってしまいました。

 

それからは人の声に耳を傾けたり、自分の発言に気を付けたりするようになって「プライドが高い」とは言われないように気を付けていたのですが、自分の子供が「プライドが高い」と言われて、私の悪いところが似ちゃったんだ…と思うと長男にも申し訳ないし、何とか改善させてあげたいと思っています。

 

又、先生にそう言われてから、長男の1番になりたがったり、勝負に勝てないと分かるとへそを曲げたりするその態度が気になって「1番にこだわるな!」とか「負けそうだからってふて腐れたら周りの人が嫌な思いするよ!」と、きつく叱ってしまいます。そうすると長男はさらに癇癪を起したり、不機嫌になって意固地になってしまい、長男との間柄がぎくしゃくしています。

 

高いプライドを下げてあげたいけれど、指摘してばかりでは素直に受け取らないでしょうし、良い関係を保ちながら、上手に教えてあげるにはどうしたら良いか、アドバイス頂けないでしょうか。よろしくお願いします。

プライドが高い…幼稚園の先生に言われた言葉が、ご自分がかつて注意された事と重なって、ようこさんはかなり気になってしまったようです。

でも「1番になりたい」は、多くの子供が通る道ですし、ゲームやトランプで負けそうになると投げ出す…という子も発展途上の幼少期には少なくありません。なので、ようこさんにはこんな風にお返事しました。

ようこさん、こんにちは。パピーいしがみです。

 

「プライドが高い」という言葉。過去に仕事をされていた時の上司に言われた文言と、幼稚園の先生からのご指摘が同じだったことに「ご自分の嫌なところが似てしまった」と思われたようですが、実はこの「1番になりたい」という気持ちは、多くの子供が持っているものですし、たまたま掛けられた言葉が同じだっただけで、先生の言われた「プライドが高い」についてはあまり気にすることは無いのでは?と私は思います。

 

今、自分の気持ちを抑えてしまう子が多い中、こうやってストレートに表す子は少数派で、ちょっと異質に感じるかもしれませんが、ちゃんと自分の気持ちを出せる事はとても大事で、今後いろんな場面でも強くいられる基礎になりますし、負けず嫌いという意味でも「悔しい」気持を良い方に向かわせられたら、すごい力になると思います。

 

それにある程度のプライドは持つべきで、私は長男さんのプライドは決して高すぎるわけではなく、持っていて良い範囲の高さだと思うのですね。

 

ただご心配のように、注意しても素直に聞かなかったり、負けそうになると投げ出す…という事は、確かに減らして行きたい部分でもあります。それでようこさんにご提案したいことがいくつかあるのですが、まずは“「1番になりたい」気持を否定しない事”だと思うのです。

 

今、ようこさんは息子さんの「1番になりたい」思いをあまり良くは思っておられませんよね?どちらかと言えば“「1番になりたい」をやめてくれ!”ぐらいのお気持ちではないかな?と思うのです。

 

ですが、そうお考えですと、どうしても子供が1番を望んだ時に叱りたくなってしまいますし、頂いたメールにもありましたが、叱れば叱るほど、子供は頑なになってしまいます。ですから子供の「1番になりたい」という思いを認めてあげながら“(スピードや結果だけでなく)「丁寧さ」で1番になって欲しいんだ”とか“優しさで1番になって欲しい”など、「1番にもいろいろあるんだよ」という事を教えてあげて欲しいんですね。

 

今後、スピードで1番になれない事は沢山あると思います。きっと本人も落胆していたり、しょげてしまう事があると思うのです。そんな時に「でも1番頑張っていたよ。お母さん嬉しかった」と言ったり「一生懸命さは1番だったね。かっこよかったよ」と言ってあげることで、“1番”の認識が変わってくると思うのです。

 

又、ゲームなどでは「勝つことも負ける事もある。それを楽しむのがゲームなんだから、負けそうになっても途中でやめるのは無しだよ」とか「負けそうになっても投げ出さない事」を先に約束してから始めるのも良いと思います。そうは言っても約束を守れない事もあるでしょうから、「負けそうになったらやめてしまう」が続く様でしたら「ルールが守れないならまだゲームはできないね」と“約束ができないのならやらない”という姿勢を貫かれてもよいと思います。ルールが守れない事を叱るのではなく「まだルールを守って楽しめる段階にない」とご認識頂いて、できるようになるまで待つ姿勢でいてほしいのですね。

 

又、勝ち負けだけで勝敗が決まらない遊びをするのも良いと思います。たとえばジャンケンですと、その結果が勝敗に結びつきます。でも(階段を上る時の遊びで)グーで勝つと「グリコ」の3文字分が進めたり、チョキで勝つと「チョコレート」の6文字進めたりする遊びがありますよね。この時の勝敗は「誰が先に最上段に到達するか?」で、ジャンケンの結果で決まるわけではありません。そんな遊びを家族でやってみても良いと思います。

 

でも、私がようこさんにお伝えしたいことは、子供の「1番になりたい」「勝ちたい」という気持を抑え込むのではなく、

 

  1. 「子供は成長の中で1番や勝ちにこだわる時期がある」と知って頂く事
  2. そしてそれは「プライドが高いこととは無関係である」という事
  3. 気になる事だけを見て、それを治そうと叱責や小言を言い過ぎず、良いところも見て褒める事を増やしてほしい事

の3つなんですね。特に“勝ちにこだわる”のはあまり負けたことがない子に多いケースで、経験値として負ける事も増えていくと「勝つときもあれば、負ける時もある」と分かって行きます。

 

1番や勝ちにばかりこだわっていると、ご心配にもなるとは思いますが、成長し経験を増やす事で許容範囲が広がって行きますから、長い目で見守るようにしてみてください。きっと改善して行くと思います(^^)

このようにお返事したところ、ようこさんからすぐにメールを頂いたのですが、長男さんの中には「なるほど、そう感じていたんだね♪」と思える1番に固執していた理由が分かりました。

ようこさんからのメールにはこう書かれていました。

パピーさん、早速のお返事をありがとうございました。パピーさんからのお返事に「1番になりたい気持ちは誰でも持っている」「プライドという言葉は偶然で、気にすることは無い」と書かれていて、背負っていた荷物を下ろしたかのように楽になりました。

 

そして「1番は『スピードや結果』だけでなく『丁寧さ』や『頑張り』などいろいろある事を教えてあげる」と教えて頂いたのも目からうろこでした。ちょうど今、長男がひらがなを習い始めだったので「1番ゆっくりで書いてみよう」と言ったら「1番ゆっくりって、おかしいよ。1番は早いから1番でしょ」と言っていました。やっぱり子供の頭の中では「1番=早い=良い事」「1番以外=遅い=悪い事」という式が出来上がってしまっていたようでした。

 

なのでパピーさんが言われたように「1番は早いってだけじゃなくて、いろいろあるんだよ。丁寧さで1番だったり、頑張りで1番だったり。一生懸命で1番だったりね。だから急ぐばっかりが良いんじゃないんだよ」と話してみたところ、子供は首を傾げ、すぐに理解はできなかったみたいですが「ふーん、じゃあ1番ゆっくりで書いてみるよ」と、ゆっくり丁寧にお手本をなぞり、とても上手に書けました。

 

それは今までで1番上手で、きれいに描けていましたので「そうだよ。これだよ。今までで1番上手。1番きれい。1番丁寧に書けたね」と言って、マルたくさんつけて「1ばんじょうず」「1ばんきれい」「1ばんていねい」と花丸をつけたところ、ここのところのギスギスした関係が嘘のように、とても素直に喜んで「1番ゆっくりっていいね♪」と笑ってくれました。

 

今まで、叱っていても全然通じなかった事が、今回、すんなり伝わったようで、これが「認める・褒める・包む」のすごさなんだな~、とちょっと感動!でした。もちろん、これでガラッと変わるとは思っていませんが、私も焦りを捨てて「1番にはいろいろある事」や「負ける事があってもいい事」を時間を掛けて伝えていきたいと思います。ありがとうございました。

“1番”や“勝つ事”にこだわっていた長男さん、それ以外にも価値がある、って事を感じてくれたみたいでよかったです。ご報告にも「1ばんじょうず」「1ばんきれい」「1ばんていねい」と花丸を付けてくださって、長男さんも素直に喜んでくれた…とあって、良かった♪と胸をなでおろしました。

今回、メルマガに掲載するに当たり、ようこさんにメールをして「あれからどうですか?」と聞いてみましたら、あれからまだ数か月ですが、長男さんにも変化が見られているそうです。ご家庭でも「1番ゆっくりでやろう」や「1番ていねいで…」と違った1番を目指すことで、勝負へのこだわりや(スピード)1番へのこだわりもかなり和らいでいるとの事でした。

何より、ようこさん自身が子供にガミガミ言わなくなったことが大きな収穫で、ギクシャクした関係が改善できた事が最もよい影響を与えていると思う…と言っておられました。

「プライド」から始まった今回のご相談。

あまり良くない事として捉えがちな「プライド」ではありますが、私は誰にでも必要なもので、特に子供の場合、上手に育ててほしいなと思っています。と言うのは、プライドこそが「負けないぞ!と頑張る根本となりますし目標に向かって努力する源になるからです。褒める事だってプライドがあるからこそ、喜びにもつながるんですね♪

時には羽目を外すことがあっても良いと思います。じっくり時間を掛けてコントロールできるようになってくれれば…と思います(^^)。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

 

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