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今こそ話そう。青春18きっぷを使ったらどこまで乗れば得なのか

夏といえば旅、せっかくならば鉄道で旅情を味わいたい、という方から圧倒的な支持を得ているのが、「青春18きっぷ」。今回の無料メルマガ『Magazine de Station』では著者のM.Gさんが、そんな青春18きっぷの使用方法や注意点を詳しく解説しています。

令和初の「青春18きっぷ」・夏の陣を前に…ちょっとした指南書

今年もまた「青春18きっぷ」の夏のシーズンが近づいてきました。

この「青春18きっぷ」といえば春と冬のシーズンも発行されていますが、夏の期間が一番利用期間が長いからということで、当メールマガジンにおける「指南書」もこの時期に出しております。ビギナーの方はもちろんのことベテランの方も「復習」的な意味合いでお付き合いください。

この切符で利用できる列車は原則として「JRの路線上を走る普通列車のみ」に限られます。ただし普通列車と言っても「快速」や「新快速」「特別快速」「ホームライナー(別途ライナー券なり乗車整理券は必要だが)」といった類の「速達のための料金を一切必要としない列車」も含まれます。要は交通新聞社の「JR時刻表」の本文ページ内において「黒い字での表記になっている列車」、JTBパブリッシングの「JTB時刻表」や交通新聞社の「コンパス時刻表」「小型全国時刻表」において「細い字での表記になっている列車」であれば乗車可能ということです。

ただし「原則として」と書いた通り「例外となる区間」もいくつかあります。まず、特急列車乗車可能になる特例区間は次の通りです。

  1. JR北海道の石勝線の新夕張駅~新得駅間
  2. JR東日本の奥羽本線の新青森駅~青森駅間
  3. JR九州の宮崎空港線の宮崎空港駅~宮崎駅間
  4. 同じく佐世保線の早岐駅~佐世保駅間

1.は「該当区間には特急列車しか走っていないこと」による例外措置区間です。2.~4.は別に普通列車も走っているけれど「該当区間内のみを利用するときは特急料金不要」という設定がされているための例外措置区間、となります。1.3.4.の区間は普通車自由席のみの利用となりますが2.の区間は指定席車でも空いている席に限って利用可能です。また該当区間を超えて特急列車に乗車するときは全乗車区間の乗車券及び特急券が必要となってしまいますのでご注意ください。

次に、元はJRの路線だったが現在はJRの路線ではなくなった(=別の会社の路線になった)路線に乗車可能になる特例区間は次の通りです。但し「無償で途中下車できる駅」は後方に掲げる駅のみだけで他の駅だと当該駅までの運賃が別途で必要になりますのでご注意ください。

  1. 青い森鉄道(=元東北本線の一部)の八戸駅~青森駅間 八戸駅と青森駅以外では野辺地駅のみで無償での途中下車が可能
  2. あいの風とやま鉄道(=元北陸本線の一部)の高岡駅~富山駅間 特例区間両端の駅のみで無償での途中下車が可能
  3. IRいしかわ鉄道(=元北陸本線の一部)の金沢駅~津幡駅間 2.と同じく特例区間両端の駅のみで無償での途中下車が可能

なぜこのような措置が取られているかと言うと…1.は八戸線及び大湊線に対する救済措置(絡むJR側の路線は奥羽本線)、2.は城端線及び氷見線に対する救済措置(絡むJR側の路線は高山本線)、3.は七尾線に対する救済措置(絡むJR側の路線は北陸本線の残存線区)、となります。

時刻表の索引地図を見ればわかるかと思うのですが、大湊線と城端線と氷見線は片方の駅が他社の路線に接しているもののもう片方の駅がそこで行き止まり、つまりいわゆる盲腸線です。

※城端線は新高岡駅を通じて北陸新幹線には接していますが在来線には接していません。

また、八戸線と七尾線は両端の駅でJRの路線に連絡していません。八戸線は青い森鉄道と三陸鉄道に、七尾線はIRいしかわ鉄道とのと鉄道にそれぞれ挟まれた形になっています。それなのにJRの路線だからということからの救済措置です。東北新幹線と北陸新幹線開通に伴いそれまで東北本線及び北陸本線だった区間第三セクター鉄道会社による経営になったことからこうなったわけですけどね。

※これらの路線は「並行路線」ではないが故にJRからの経営の分離を認められなかった。

青森駅まで来て北海道へ渡りたい、逆に函館駅まで来て本州に渡りたいという場合はどうするかと言うと、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の出番と相成ります。奥津軽いまべつ駅(津軽線の津軽二股駅が隣接しています)から木古内駅までの間を北海道新幹線(空いている席の利用となる)に、木古内駅から五稜郭駅までの間を道南いさりび鉄道に乗車可能になる乗車券です。五稜郭駅と木古内駅以外の道南いさりび鉄道の駅での下車は一切できません。

※「奥津軽いまべつ駅と木古内駅の両方に止まる列車」および「それに接続する列車」を見つけ出すのが一苦労なので、いっそのこと青森駅から新函館北斗駅までの運賃と特急料金を払って北海道新幹線でワープした方が早いんじゃないかという気もしなくもないですけどね。

乗車券としての効力を持つ券片に「JRバスを除く」と書いてある通りJRバスには乗れません。但し「何らかの要因で鉄道での運行が不可能に陥った区間」の代行輸送をJRバス(その他の会社でも可ですが)がやっている場合は「鉄道の路線」とみなされることになるため乗車可能です。あと気仙沼線及び大船渡線のBRTも鉄道の路線の一部とみなされるため乗車は可能です。

現在、唯一のJR系の鉄道連絡船となった宮島航路は乗船可能ですが「JR西日本宮島フェリーの担当する便に限り乗船可能です。

※同じような場所にある宮島松大汽船(=広島電鉄の子会社)と間違えないようにしてください。

JRバスは国鉄バス時代から独立採算=鉄道とのキロ程の通算が出来ない(ただし鉄道→バス→鉄道という行き方ではバスを挟む区間で前後のキロ程を通算して出した運賃にバスの運賃を足すという計算方法だった)=だったのに対して、鉄道連絡船は鉄道路線の一部として扱われる、つまり鉄道とのキロ程の通算が可能だったという点があるからではないかと思います。

どこまで乗ったら得か、ということについてですが、5回分で11,850円ですので一回当たりの金額は2,370円ということになります。つまり元取りの目安は単純往復利用ならJR本州3社(=JR東日本・JR東海・JR西日本)の幹線の小数点以下切上げで71キロ以上/片道で同じくJR本州3社の幹線の小数点以下切上げで141キロ以上ということになります。

念の為に…61キロ~70キロの本州3社の幹線の運賃は1140円。2,370円÷2=1,185円なので往復で90円の損という計算になります。また120キロ~140キロの本州3社の幹線の運賃は2,270円なので同じく100円損という計算になります。

これに対して71キロ~80キロの本州3社の幹線だと1,320円なので往復で270円得という計算になります。また141キロ~160キロの本州3社の幹線の運賃はこれ以上の距離で利用すればお得感がかなり増すのは言うまでもありません。青春18きっぷに限らずどの特定範囲内乗降フリータイプの特別企画乗車券にも言えることなのですが、「普通運賃と照らし合わせることが肝心ということですね、

全く使用したことがない人によく誤解されているようですが「5枚で1組ではありませんのでご注意。1995年冬季以前は本当に「JR全線の普通列車の類が一日乗り放題の乗車券としての効力がある券片」を5枚セットにする形で売られていたんですが、現在は「乗車券としての効力がある券片」に「改札印を押印する箇所が5回分ある」「その時現在で最後となっている改札印欄(例えば2回既に使用して3回目の使用であれば3回目の改札印欄)に押印された改札印の日付なら翌日0時を過ぎて最初の駅(東京や大阪の電車特定区間では終電)まで有効となる」というものです。

※現在でも確かに「取扱説明書の券片」を足すと5枚になるんですがね。

何故この形式にしたかと言うと一説では「金券ショップでのばら売りを防止するため」だと言われてはいます…が…肝心のJR各社の見解は闇の中…なので「複数の人数で使用する場合」についてですが、

  1. 集合する駅が最寄り駅の人に青春18きっぷを持ってもらってそれ以外の人は各自で運賃を払って集合してその駅から利用する。解散時も集合した駅=解散する駅から自宅最寄り駅までの運賃を別途で払う
  2. 一番遠くからくる人が青春18きっぷを持って待っている人がいる駅に到着するたびに改札を出て合流して改札から入る、を繰り返す。解散時も改札から出て見送って改札から入る、を繰り返す

この二通りの解釈があります。だが1.の方法はともかく2.の方法だと(本数が多い区間ならそれでいいかも知れませんが)一回改札から出て乗っていた列車を見送ると次の列車まで1時間待ちという区間だったら何処で暇をつぶすか考える必要がありますね。

では、この辺で(^^)/~~~

image by: Shutterstock.com

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【著者】 M.G 【発行周期】 不定期(ほぼ月刊)

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