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かんぽ生命と吉本がいい例。令和の世は嘘や隠しごとが命取り

引退した芸人までもが登場するなど、ますます混迷を極める吉本興業を巡る問題。会社・タレント双方に非はあるにしても、なぜここまでこじれてしまったのでしょうか。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さんは、「うそや隠しごとで言い逃れようとすることが、墓穴を掘る時代になってきたからでは?」とし、令和時代に求められる「問題解決に対する姿勢」について考察しています。

「うそ」や「隠しごと」が命取りになる時代に

こんにちは!廣田信子です。

闇営業問題に端を発して、吉本興業が揺れています。問題の芸人さんと吉本興業の対応と、それに対する社会の反応を見ていて、人も企業も失敗することはあるけど、「うそ隠しごとで言い逃れようとすることが墓穴を掘る時代になってきたことは確かです。

時代は大きく変わってきています。吉本興業の社長の会見を聞いていて、本当に世の中の状況がわかっていないな…と。社会は、権力で不当に押さえつけようとすることや誤魔化して乗り切ろうとすることを許さなくなっているのです。参議院選挙でも、以前なら、「選挙でみそぎが終わりました」が通用していただろう、失言議員が落選しました。当たり前の社会の反応だと思います。

ビートたけしさんが、番組の中で、一般大衆は、自分たちのような芸人にも品行方正を求めるのに、まじめにやっていると、危険な感じがなくて面白くないという。どっちなんだ…と。

確かに、過去の有名な作家や芸人のハチャメチャな生き方を、魅力的だと感じる部分が私たちにはあります。そんなことを言えば、多くのファンを持つ戦国時代の武将など、どれだけ多くの人を殺したか…。

何が良くて、何が悪いかは、時代とともに変わります。SNSの世界やマスコミが、過剰に正義を振りかざすことには、怖さを感じますが、不当な力による誤魔化しが通用しなくなることには一定の役割を果たしていると思います。

「令和」になって、次々と「平成」でし切れなかった「昭和」の最後の膿出しが始まっているように思います。「かんぽ生命」の問題もそうです。これまで、いろいろ言われていても、その責任を認めなかったのに、金融庁が乗り出したことで、ようやく動き出しました。行政も政治も世の中の空気を読んでいるのです。

権力を持っていれば、「うそ」や「隠しごと」で、どうにでも乗り切れると思う時代は終わりにしたいです。

マンションでも、そうです。ディベロッパーの施工不良が、いい加減な対応で済まされてきた現状がありました。その中の一つに、マンションの構造スリットの施工不良問題があります。この問題についても、ようやく国交省が動き出しましたと新聞報道がありました。

構造スリットとは、地震の揺れで建物が破損しないよう、柱と壁等を構造的に切り離すために設ける2~5センチの隙間のことで、そこに、緩衝材が充填されます。

構造スリットについては「今さらですが、耐震スリットって何?」でも書きましたが、一部の専門家が、構造スリットの施工不良を問題視し、その現状については、雑誌等でも取り上げられてきましたが、なかなか国が動きませんでした。

構造スリットは、施工が難しく、構造スリットが接する柱や壁の型枠にコンクリートを打ち込むときの圧力で、スリットの設置位置がずれてしまうことが多々あるのです。そのことに施工業者も気づかずにいるケースも多く、外観からはわからないので、施工不良が、マンションの中に眠っている危険があるのです。不良個所が発見されても、ディべロッパーは問題をなかなか認めず、認めても、そこだけの問題で済ませようして、全点検をしようとしなかったのです。

点検すると、施行不良はもちろん、図面上ではあるはずのスリットが抜け落ちているものも発見されています。施工不良が発見されたマンションと同じ時期に同じディベロッパー、同じ施工業者が施工していたら同様の施工不良があることは、十分想像できます。点検をすべきだと、この問題にくわしい専門家は前々から言っていましたが、問題が大きくなるまで腰を上げないのがディベロッパーです。

地震の被害を少なくするために設けられた構造スリットが、施工不良で、かえって危険を招いてしまうこともあるのです。外から目視ではわからないので、震災で崩れて、初めて発見されるものもありました。

国交省は、不備が明らかな物件で、なぜ設計通りに施工されていないのか、その原因について情報取集し、自治体に改修方法などを指導する方針だといいます。国交省が動いたことでようやくこの問題が表に出た感があります。ディベロッパーには、真摯に対応してもらいたいと思います。

失敗はだれにでもありますが、それが発覚したときに、力で誤魔化して乗り切ろうとするのではなく、誠意を持って当たることが唯一人や企業を守ることになる…「令和」がそういう時代になるよう、それに気づかない人や企業には、厳しい目をもって臨みたいです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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