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退職代行会社への報酬は初任給で。就活学生たちが考えていること

就職活動に臨む学生たちの希望や思考を把握しておくことは、企業の採用力を高める必須条件ともなっています。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、現在の就職活動の流れや求職のトレンドなどを解説するとともに、学生たちがどのような考えを持ち企業選びにあたっているをかわかりやすく解説しています。

採用力強化セミナー

A社さんもB社さんでも、人材不足だ。うちの事務所にも「採用力強化セミナー」の案内が来た。事務所を代表して、セミナーに参加させてもらった。


大塚 「『採用力セミナー』って、役に立った?どんな内容だったの?報告してよ」

新米 「はい、よくぞ聞いてくれましたぁ~。講師は元マイナビの人事コンサルタントさんでした。最近の就職活動、早く決める人が多い。就職内定率は、7月1日で85.1%にまで達しているそうです。去年に比べて速いペース。来年はオリンピックだから、さらに前倒しになる。でも、売り手市場には陰りも。求人は去年に比べて減っているそうです」

大塚 「え?ホント?どこもかも人材不足って言ってるわよ、」

新米 「でも、統計上はそういうことらしいですよ。求職に対するトレンドも変わってきているそうです」

E子 「トレンド?そんな話もあったの?」

新米 「はい、会社の経営スタイル、貢献と報酬の関係。成長スタイル、ワークスタイル、コミュニケーションスタイルこれらについての自社の傾向をチェックして、今の求職者とあっているのかって確認をしたんです」

深田GL 「へぇ~、そんなこともしたんだね。結構ズレが生じたんじゃないかい?」

新米 「短期で成長できるが体力的・精神的にもストレスがかかる、短期での成長はし難いが体力的・精神的なストレスはかからないのどちらかという設問に対しては、ストレスは敵どこに行っても通用する能力が身に付く会社が好まれているそうです」

E子 「最近の若者は、ストレスには弱いみたいだもんね。ストレス体制が高い人は優れているように見えるけど、ある日突然はじけてしまうこともある。ちょうど、今の吉本興業問題のようにね。ストレス体制に弱い人は、早い段階で他の人に相談できる、どっちが良いのかなぁ…(注:ヤーキーズ・ドットソンの法則)。自分が成長できる会社かは見てるでしょうね。あと、社会への貢献実感も大きなポイントらしいわ」

新米 「他には、やっぱりワークライフバランスを重視する若者は増えているそうです」

大塚 「ワークライフバランスね。仕事漬けで休みも取れないと、それはイヤですよね」

新米 「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる、仕事と私生活は区別なく、一体として働ける、どちらが自分の考えに近いですか?って設問でした。」

深田GL 「アルバイト先から無理なシフトを要求された経験のある学生も増えてるそうだね。誰かが休んだり、辞めたりすると、その分自分にかかるという体験をしている若者たちは、退職するときも残った者にしわ寄せが来ないように示し合わせて同時に退職届を提出するそうだね」

E子 「うーーん、良くない思いをした場合の反動が大きいようね」

新米 「孤立すると問題に巻き込まれるという考え方もあるようですだから、どんな会社なのか知りたくて、単位取得できるインターンシップに参加するのではなくて、現場に触れることができるインターンシップに参加したい人が増えているみたいです」

深田GL 「会社への不信感があるのかな。昨年は、初任給40万円なんて会社もあったそうだけど、高すぎるとなんか裏があると勘ぐってしまうそうだよ」

大塚 「40万円分頑張ります!ってエントリーする若者がなかなかいないってことなんですね。素直に頑張ればいいのに、勿体ない!」

E子 「今年は、くら寿司が新卒初任給に1,000万円出すんですって。もちろん条件に合致した場合に限るし、以降は成果によって昇降給はあるらしいけどね」

深田GL 「去年くらいから、新卒初任給の横並びが大きくくずれてきているみたいだね」

大塚 「うーーん。今って、いろんな面で過渡期なんですね」

新米 「歴史ある会社か若くて元気な会社かという意味では、少し前までは、成人式当日に行方不明となった振袖業者の『はれのひ』などの影響かベンチャーや小さい新しい会社を避ける傾向があったそうですが、最近は大企業の不祥事も相次ぎ、会社への不信感は強くなっているようです」

大塚 「大企業の不祥事って…」

新米 「レオパレスや大和ハウスがあがってましたね。不動産業界には行きたくないと言っている人が多く、この業界ではコンサルタント会社に求職者が集まっているそうです。『大人の命令で悪事に染まることは避けたい』。ちょうどお笑いの吉本興業の問題さなかですが、パワハラにも敏感なようです」

E子 「パワハラねぇ…、この会社に入ったら得するのか?損するのか?の『損勘定』が今の若者は大きく働くそうよ」

新米 「講師さんがおっしゃってましたが、就職セミナーに来る若者は全員『退職代行会社』の存在は知っていて、退職代行の金額もほとんどの人が知っている、終身雇用という感覚はすでになく、嫌なら辞めればいい。退職代行会社への報酬、3~5万円は初任給をもらえたら払えるって考えているそうですよ。悲しいですね~」

大塚 「えぇ~!入社前から退職代行会社のことを頼りにしてるの?なんかイヤね…」

深田GL 「そういう時代になったってことだな。内定受諾が『損比べ』になってるとか…」

E子 「採用面接でもそうみたいよ。会社側は『騙されたくない、嘘を見抜いてやろう!』求職者は『落ちたくない』、のお互い『損したくない』で、合意してはダメ!本来は、お互いが採用後のイメージで握手できるのか?なのに、どうも違う採用行動になってしまうケースが多いそうよ!

大塚 「それって、もうちょっと詳しく教えてください」

新米 「あ、それに関する演習をセミナーもありましたよ」

E子 「どんなの?ちょうど良い例があったら話してよ」

新米 「はい、人件費の関係で6人の求職者のうち、4人を採用するとします。皆さんは誰を採用しますか?って演習です」

大塚 「どんな人が応募した設定?」

新米 「1.日本一周自転車旅行を成し遂げた冒険家
    2.コンピューターの知識が豊富なプログラマー
    3.クイズ大会で優勝したものしり博士
    4.弱小チームを甲子園に導いたキャプテン
    5.人気上昇中のお笑い芸人
    6.厳しい修業で伝統工芸を見に付けた職人
の6人です。さて、誰を採用しますか?5分差し上げますから、誰にするのか、その理由も考えてください」

E子 「きっと4番目の『弱小チームを甲子園に導いたキャプテン』が一番人気でしょうね」

新米 「皆さんは、どの人を選びました?4人選び終わる前に、『この人は採用しないでおこう』はありませんでしたか?応募者の強みをしっかり見出して、入社したら終わりでなくて、頑張るぞ!所属集団から与えられた役割を全うできるか、自らの主体性において、集団の中で役割を能動的に獲得していけるのか?を見極めて、将来に向かってお互いに握手できますか?が大事だって講師さんはおっしゃってました」

大塚 「なかなか良いセミナーだったわね」


■ヤーキーズ・ドットソンの法則とは? ~Wikipediaから

ヤーキーズ・ドットソンの法則(英: Yerkes-Dodson’s law)は、生理心理学の基本法則である。心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソンがネズミを用いた実験で発見した。学習活動に対する動機づけは適切なレベルにあることが必要であるとする理論。

 

ソーンダイクやポストマンの実験で、学習作業等を行う際、罰を与えなかったグループよりも、罰を与えられたグループの方が作業効率が高いということが判明した。ネズミを用いた実験を行うことで、動機づけには、罰やストレスなどの不快なものが一定量あったほうが、効率が上昇するという法則が判明した。動機づけの強さ(覚醒レベル)が最適水準の一定量を超えると、学習効果が低下する傾向がある。一般に覚醒レベルが高くなるに従ってほぼ比例的に効率(パフォーマンス)は増す。しかし最適なレベルを越えて、強い情動が喚起されるような状態になると、パフォーマンスは逆に低下する。すなわち、覚醒レベルとパフォーマンスには逆U字型の関数関係が成立する。またこの最適な覚醒レベルは同一個人に対しても、行為の難易度、与えられる作業の段階によって変化する。また、比較的強い罰は、白黒の弁別のような簡単で単純な習慣の作業において最も効果的であり、比較的軽い罰は、困難な作業の場合に効果的であるという結果も出ている。

 

ヤーキーズ・ドットソンの法則 

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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