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イノベーションを探し回る日本人が諸外国で「お断り」される理由

世間的にもすっかり定着した観のある「イノベーション」という言葉。企業の経営方針やCMなどのキャッチコピーなどでもよく耳にしますよね。しかし、日本ではこの「イノベーション」のそもそもの意味を誤解していたり、そもそも企業内で新しいアイデアを潰そうとする土壌があったりと、「本来のイノベーション」を起こすのは難しいようです。今回のメルマガ『澤円の「自分バージョンアップ術」』では、著者でビジネスマンに役立つマインドセットを伝授している澤円(さわ まどか)さんが、イノベーションの本来の意味やそれを起こす「近道」などを紹介しています。

イノベーションは探すものではない

皆さんこんにちは、澤円(さわまどか)です。

「イノベーション」という言葉、よく見聞きしますよね。

企業でも「オープンイノベーション」を経営方針に掲げたり、「イノベーション推進室」という組織を作ったりしていますね。

イノベーション、というのは素晴らしいものです。

誰かが何かのイノベーションを起こしてくれたとき世の中は大きく変わるものです。

いまや手放すことのできなくなったスマホも、iPhoneというイノベーティブなデバイスによって爆発的に広まりました

そのルーツをたどれば、ウォークマンの存在も忘れてはなりませんね。

音楽を持ち歩くというイノベーションを、日本の会社が起こしたことは誇りにしたいものです。

さて、最近はこの「イノベーションを探し回る人がいます。

企業の出張でシリコンバレーや深セン、イスラエルやエストニアに「イノベーションの種」を探しに行く人が後を絶ちません。

もちろん、イノベーションを起こそうと思うことは素晴らしいことです。

しかし、それを「どこかに落ちてないかな」と探しに行くのはどうなんだろうなぁ…と思ってしまいます。

また、「ヒントをもらおう」といって、現地の起業家たちに時間を取ってもらってプレゼンを聞くこともあるようです。

そして、聞くだけ聞いて自分たちからは何も提供せず、「ありがとうございました」と言って帰ってしまうパターンが大変に多いようです。

そのため、最近では「日本人の視察旅行はお断り」というスタートアップが増えているようです。

流行り言葉になるとダメになる

日本では、この手の流行り言葉が一定の周期で現れては消えていきます。

ボクが生息するITの世界では、古くは「ダウンサイジング」や「オープンコンピューティング」、「グループウェア」や「経営ダッシュボード」など。

しっかりと自分たちの経営に生かすために実装できている企業もありますが、単に「やったつもり」で終わっている企業も非常に多いと感じています。

何故かといえば、流行り言葉にユーザー側もベンダー側も踊らされすぎるからです。

これは日本に限った話ではないと思うのですが、ベンダーは売りたいものを提案するものですし、ユーザーは世の中ではやっているものが気になります。

そこで、本質的でないものであってもとりあえず入れてみました」というような感じで、必要かどうかわからないシステムが稼働したり、工場に機械が導入されたりするのです。

何かがはやると、流通する情報量が増えすぎてしまって、本質的な部分が見えにくくなります。

いままさにイノベーションという言葉がこの状態なのではないかと感じています。

何をもってイノベーションなのか、という部分の議論を抜きにして、本物のイノベーションが起こせるとは思えません。

イノベーションは、「技術革新」と翻訳されてしまったこともあり、なんとなくテクノロジー領域に目がいきがちですが、実際にはもっと広い意味をもっています。

仕組みの変革」「新しい物事の捉え方」などもイノベーションと定義されています。

つまりは、「今までにないアイディアで変化を起こすこと」は、すべてイノベーションと言ってしまってもよいでしょう。

イノベーティブな人は得をする時代

イノベーティブ人材、という言葉もこれまた巷に満ち溢れています。

新しい発想を次々と思いついたり、今までにないやり方を恐れずに取り入れたりする人は、まさしくイノベーティブ人材ですね。

日本は、「同質性」が求められやすい国民性なので、イノベーティブなことをする人のアイディアをつぶしたり骨抜きにしたりしやすい土壌があります。

ただ、ここまでSNSなどで世界の価値観が入り乱れる時代になり、グローバル競争が激しくなってきた今の時代に、新しい発想をつぶしている暇はありません

そういう保守的な人たちの人材価値は、これから大暴落することは間違いなく、新しいアイディアをとりあえず試す人がどんどん重宝されていきます。

古い価値観だけでは生き残れないことは、世の中の経営者たちはさすがに気づいていますし、どうにか手を打たなくては、とも思っています。

ボクは経営層の人たちと会う機会が多いのですが、危機感を持っておられる人たちはたくさんいます

そして、「どうにかしてイノベーティブな人材を発掘したい」ともおっしゃっています。

ともすると「外部から招き入れる」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、実際にはイノベーティブなことが好きな人材はどの組織にもいるでしょう。

「怒られるかもしれない」「否定されるかもしれない」という不安があると、イノベーティブ人材はその才能を開花させることができません。

「そんなの突破できなきゃイノベーティブ人材とは呼べないだろう」という考え方も一理あります。

ただ、わざわざ対抗勢力とぶつかってまでアイディアを出すのはアホらしい、と考えている人は、そのアイディアを実現するために外の世界に出て行ってしまうかもしれません。

それなら、組織内で心理的安全性を確保してアイディアをどんどん出してもらう環境を用意した方が、イノベーティブ人材を発掘しやすくなります。

「自分はイノベーティブなアイディアを持っている」と感じたら、恐れずに出すことは大事です。

好きなことをすればいい

「自分はアイディアを持っているし、これはきっと世の中をよくする」と思う一方で、「アイディアをつぶそうとする勢力がうっとうしい」という場合にはどうすればよいでしょう。

そんなところからは逃げ出してしまうのも一つの手ですが、「心理的安全を得られる場を自分で作ってしまうという手段もあります。

自分のいる組織内で、有志でコミュニティを作ってみるのもよいでしょう。

その中で、ちょっとしたアイディアソンやハッカソンをやってみて、イノベーティブな活動に時間を使ってみるのです。

気の合う仲間と好きなことをやるだけですから、ストレスはないですね。

そして、そこでの学びを少しずつ組織内に情報発信していって既成事実化していくのも一つの選択肢です。

「そんなのんびりしたやり方でイノベーションは起こせるの?」と思う方もおられるかもしれません。

しかし、イノベーションは「何もかもなげうって取り組まないと生まれないもの」ではないと思います。

ちょっとした日々の生活の中にほんのちょっと隙間を作って、いろんなアイディアに思いを巡らせるのは楽しいものです。

要するに、好きなことをすればいいのです。

仕事はがまん料」という発想は、令和の時代には全く合いません。

仕事は面白いものですし、楽しまないと人生の損です。

徹底的に好きなことに時間を使いましょう

好きなことに打ち込むという考え方が、イノベーションを起こすための近道になります。

最後に

イノベーションというキーワードがあまりにも乱発されていて辟易としている反面、やっぱり仕事はイノベーティブではないと面白くないよな、とも思います。

ボク自身、時間の使い方を工夫してサラリーマンとしてはイノベーティブな暮らし方ができているように感じます。

でも、まだまだです。

もっと違った働き方や、斬新なアイディアの実装を考えてみたいなと思います。

世の中を面白くしていきましょうね。

ご意見やフィードバックは、Twitter(@madoka510)などでお寄せくださいね。

またお会いしましょう、では。

image by: Shutterstock.com

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