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プロトレーナーに聞く「ゾーン」に入る確率を高める2つのヒント

心と体が究極的に一体化して、極度に集中力が高まりパフォーマンスが最大近くまで発揮される「ゾーン」という状態。そういった状態を意図的に作り出すことは可能なのでしょうか?メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の桑原弘樹塾長が、読者の質問に答えました。桑原さんは、自身の体験に加え、これまでアスリートを指導してきた経験から、「ゾーン」に入る確率を高める2つのヒントを示しています。

ゾーンの入り方

Question

よくゾーンという言葉を聞きますが、ゾーンの入り方とか作り方ってあるものなのでしょうか。色々なアスリートを指導されている立場から、そういったシーンに遭遇する確率が高いかと思うのですが、ゾーンの作り方のヒントがあれば教えていただきたいです。(36歳、男性)

桑原塾長からの回答

ゾーンとは心と体が究極的に一体化して、極度に集中力が発揮されているような状態の事で、アスリートはゾーンを経験することが多いですが、アスリート以外でもまたスポーツ以外でも経験することはあります。

脳は体の司令塔ですから、様々な情報を脳が判断して体に指令を出しています。情報がなくては指令は出せませんが、情報が多過ぎても指令を出すのに時間がかかってしまいます。

実際、私たちの脳には無意識の情報がお構いなしに浴びせられていて、そこから取捨選択して自分に必要な情報を取り出しています。例えば、部屋の中にいて外で降っている雨の音がしたとします。この雨の音に対してまったく意識はしていなくても、実は、無意識のうちの情報のひとつとして脳は取り入れています。

台所でカレーを煮ていたら、このカレーの匂いも情報として入ってきます。パソコンを使う時にマウスが少し汚れていて、指先に粘り気を感じるとすればそれも情報です。このように、とてつもなく膨大な情報が常に浴びせられている中で、自分にとって必要な情報を選ばなくてはなりません。

こういった状況の中で、集中力が増す事で必要な情報のみに意識がいき、更にはその情報に対してスムースに体が反応するような状況になった時、それがある種のゾーンと言えるのでしょう。

これまで私が接してきたアスリートでいうと、ゴルフやボクシングという競技でゾーンを経験する選手が多かったように記憶しています。

また、阪神タイガースの糸井選手とも以前にゾーンについて話をしたことがありましたが、やはり調子がいい時は投手が投げる球への反応がいいそうで、絶好調の時にはどんなに速い球でもそれほど速いという印象を持たないそうです。

大谷選手がまだ日本で活躍していた頃、確か163km/hの速球を糸井選手が見事に打ち返してヒットにしたことがありましたが、集中出来ている時にはそれが可能となるようで、ある種のゾーンだったのかもしれません(糸井選手本人はたまたまバットを振ったら当たったのだと謙遜していましたが…)。

さて、ではゾーンは自分で作れるものなのでしょうか。これが出来れば何をやっても無敵であるような気さえしますが、実際はなかなかそうはいきません。脳は常に全方位で情報に触れていますから、そういった環境にもっていくのは至難の業なのです。

ただし、ゾーンの確率を高める事は出来そうです。まず大前提があって、ワクワクする事です。これまでゾーンに近い状態を経験したアスリートの話を聞く限り、その目標に向かっていく際に気持ちが非常にポジティブになっているのが共通点です。

目標というのは必ずしも楽しい事とは限りません。予選を通過して決勝に残ることが目標だとすると、予選を落ちたらどうしようとか、ネガティブな気持ちが起こる事も珍しくありません。

応援の声は力になりますが、期待を裏切ったらどうしようというような後ろ向きな気持ちが生まれる事もままあります。ゾーンに向かう時は、その目標のハードルが高くても低くても、いずれにしてもワクワクした気持ちが必要です。

問題はどうしたら、目指すべき目標に向けてワクワクした気持ちになれるかです。ここで一つのヒントは、言霊(ことだま)です。どういった言葉は吐くかです。

私達は言葉を話すようになってから、ずっと自分の言葉を聞き続けてきています。色々な人に影響を受けたりしますが、実は自分の言葉に一番影響をされているのかもしれません。ところが、多くの場合、どうしてもネガティブな言葉の方が多いのです。

それは私達を取り巻く環境に理由があるかもしれません。テレビでも雑誌でも多くのニュースがネガティブだからです。これ自体はニュースとしてやむを得ないのですが、そういった情報の中に身を置けば当然に、ネガティブな発想になりがちですし、下手をすればネガティブな情報にワクワクするような事も起きてしまいます。芸能人のスキャンダルに関心が高いのは、その一例といってもいいかもしれません。

せめて、自分が日常的に発する言葉をポジティブにすることで、小さな出来事にもワクワクする癖みたいなものがついていきます。

例えば雨が降っている時に何て言うかです。無理矢理でもポジティブな言葉を発する癖をつけてみると少しずつ変わっていく自分に気が付くはずです。

最初はきごちなくても、使い続けることで自分用のポジティブワードが幾つか定着してくるのです。私は朝起きた時、TwitterとFacebookに、「さぁ今日もいってみよう~」と書き込みをします。気が乗らない日も、体調がすぐれない日も、ルーティンのようにそれだけは書いています。これも一日の始まりに、自分に向けてのポジティブワードなのです。

もう一つのヒントはリズムです。これはボクシングの八重樫選手からのヒントなのですが、彼が試合の中でゾーンに入る時はリズムに乗った時であって、逆に相手のリズムでは決してゾーンは訪れないというのです。これも比較的応用しやすいかもしれません。

例えば朝起きてから家を出るまでの一連の作業をどれだけスムースにテンポよく進められるかとか、まさに計画と実行のギャップが少ない状態を作れるかです。

私の例で言いますと、出張の際に東京から兵庫県の自宅に帰るにあたって、在来線、新幹線、在来線、バスと乗り継ぎますが、これがスムースに予定通りピッタリと行った時は疲労感が明らかに少ないのです。これはゾーンとはまったく別モノではありますが、この流れの延長線上にゾーンに近いような集中力と高揚感があるような気がします。

自分なりのポジティブワードを探す事と、リズムを作って物事に向かう事は試してみる価値がありそうです。

image by: Shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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