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大企業で広がるレシートのビッグデータ分析。その狙いとは何か?

いま大企業では、さまざまな分野でビッグデータ分析が広がっているようです。中でも、一般消費者にも身近なレシートのビッグデータ分析について、企業の狙いをメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが解説。その目指すところが実は、昔から商売人が意識してきたことと共通することから、中小事業者でもできることがあると示唆しています。

ビッグデータ分析の広がり

買い物をするときに、なにげなくもらうレシートが、企業にとっては宝の山。レシートには買った商品と値段に加えて、日時やそのお店の場所などが記載されています。これらを集めて、ビッグデータ分析に使う、という動きが拡大しています。今号では、なぜこのような動きが活発になってきているのかお伝えします。

これまでにも、消費者がレシートを写メなどでとって、送るとポイントがもらえる、というサービスを実施している企業がありました。

集まったレシートを集計して、お客様を年代層や性別、買った場所などのカテゴリーに分け、どのような人が、何をどれくらい、いつ買う傾向にあるのか、という分析をして、買い方の傾向を導き出し、企業に販売するわけです。

モノや情報が溢れている今、消費者の動き方も複雑になってきています。それにともなって、企業としては、自社の商品に対し、どのような消費者が何に響くのか、いつ仕掛けをすれば売れるのか、という傾向を知りたいという動きが、かなり広がってきているのです。

日経新聞によると、お茶の伊藤園がレシートを集め分析していく中で、「野菜ジュースとゆで卵が一緒に売れている」という“意外な”気づきがあったそうです。

このような“消費者の自然な行動”は、リサーチで聞き出すことができません。顧客を観察するか、データを客観的に分析することで、初めて出てくる気づきです。

レシート集めとその仕組み

仕組みはソニー系の子会社の、フェリカネットワークスが提供しているとのこと。レシートを集め分析をしている企業も増え始め、アサヒビールや森永製菓も実施しているそうです。他にも楽天やCCCのTカードでは、レシートを送るとポイントがもらえるキャンペーンを行なっています。

広がってきている背景には、IT特にAIの浸透があります。レシート紙に書かれているアナログの情報を、データとして読み込むことができるようになったため、集計も容易になったことが拡大の一つの要因です。

ここのところよくデータの時代などと言われ、ビッグデータを分析して、どのように商品開発や販売促進に生かすか、ということがそこここで言われています。このレシート活用の動きもその一つといえます。

ビッグデータ分析は新しいことなのか?

大企業においてはこれまでにも、レジのPOSデータから、お客様の傾向を読み取っていました。また、中小企業においても、お客様の好みをしっかりと覚えていて、次回来店してくれた時に生かす、ということをしている事業主も昔からいました。

つまり、昔ながらの商売では、お客様の傾向を知り、喜んでもらうということは、普通に行なわれていたことだったです。

私が子供の頃に、近くに小さな本屋さんがありました。私が本好きだったこともあり、小学館の『小学3年生』などを配達してくれていました。配達に来るその本屋のおじさんが、サザエさんが好きな私の母に、「新刊が入ったよ」とか、「今度長谷川町子さんの新作で、エプロンおばさんっていうシリーズが発売になるよ」と教えてくれたりしていました。

酒屋さんなんかも同じで、配達に来ると、「そろそろ醤油が切れるんじゃない」とか、「お父さんの好きそうな日本酒が入ったよ」などと教えてくれるのは“当たり前”でした。個人でやっているような和食のお店では、今でも、常連さんの好きなものが市場にあった時には、ちゃんと仕入れてくれたりします。

今回のレシートでの情報収集は、「お客様のために何ができるか」という考え方をベースに、お客様が喜び、欲しがる商品を作るプロセスを、ITを駆使してやっている“だけ”なのです。

ここで大事なことは、「レシートを集めてAIで分析って、大企業しかできないよねと他人事で片付けないことです。中小企業やベンチャー、新規事業の場合や、個人事業主にとって、データを大量に集める、システムをAIとITで組むために、大きなお金をかけることはできませんが、その分お客様一人一人との距離は近いはずです。

データを使うことが目的ではありません。お客様を喜ばせることが目的なのです。まずはそこをもう一度再認識するべきです。お客様は、「今は知らないけれど、教えてもらうと嬉しい情報」を喜びます。

なので、お客様をしっかり観察して、時には忘れないようにメモを取ったり、ノートにまとめたりして、新しいメニューの開発や、ファンの方のためのサービス開発をしてみるべきです。とても参考になる事例ですよね。

image by: IgorGolovniov / Shutterstock.com

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ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

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