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営業成績は「相対価値」で上がり子どもは「絶対価値」で伸びる訳

組織や社員、子どもたちを成長させたい場合、「何かとの比較を提示する方法」をとる場合があります。しかし、その成長させたい相手によって、比較する対象を使い分ける必要があるとするのは、無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』の著者の石丸智信さん。石丸さんは、比較対象として「相対価値」と「絶対価値」をバランスよく登場させるべき、と記しています。

2つの価値とは

価値には、「絶対価値相対価値」があると言われています。個人としても、組織としても、それぞれに、絶対価値、相対価値があるように思います。本号では、絶対価値、相対価値とは、どういったものなのかについて考察していきたいと思います。

まず、相対価値について考えていきます。

相対価値とは、競合する人、企業等と比較することや優劣を競うことによって生じる価値だと捉えます。例えば、「○○ちゃんと比べて足が速い」「○○クンと比べてカッコいい」「自社は競合先と比べて売上・利益・シェアが高い」などといったものが挙げられます。

相対価値は、誰かと競うことや比較することでしか価値は生み出されないので、常に誰かと比較したり、競争したりすることによって、その比較対象や競争相手などよりも上回ることが必要だと言えます。

切磋琢磨という言葉がありますが、自分と他者とがお互いに競い合うことによって、お互いに今あるところから向上させていくことで、お互いに価値を高めることができるのであれば、誰かと比較したり競争したりすることは悪いことではないと言えるのではないでしょうか。

しかし、自分が成長、向上することなく、他者の足を引っ張る、相手を蹴落とす、他者を貶めることによって、自分の価値を高めるというのは、本当の意味で価値が高まっているとは言えないのではないでしょうか。

自分の価値は現状維持なのに、相手を低めることによって、自分の相対価値を高めても、自分自身は成長、向上していないわけですから、いずれ行き詰まることになると思います。また、常に誰かと比較、競争を強いられると不安感を持ったり、焦燥感を抱いたりするなど、自分、自組織においても、消耗してしまうことにもつながると思うので、注意が必要ですね。

次は、絶対価値について考えていきます。

絶対価値とは、自分自身、自組織の想いや理想理念ビジョンなどといったものを追求することによって生み出される価値だと捉えます。すなわち、自分や自組織にしか生み出すことができない価値だと言えるでしょう。

例えば、自分の中で、「こうありたい、こうしたい」などといった理想像やビジョンなどに基づく活動によって生み出す価値、自組織における理念やビジョンなどに基づく商品やサービスなどを開発し、お客様、社会に提供することによって生み出される価値、などが絶対価値になるのではないでしょうか。

過日、ノーベルウィークとして、各受賞者が発表されましたね。ノーベル化学賞では、吉野彰氏が受賞されました。今までの受賞者それぞれだとは思うのですが、きっと、何らかの想いなどを持ってその分野において様々な価値を生み出したのではないかと思います。まさに、絶対価値を生み出してきた方々なのでしょうね。

では、子どもたちにおける相対価値や絶対価値について考えてみます。

子どもたちの笑顔を例にすると、○○クン、○○ちゃんよりも笑顔がいいね、などといった場合は、誰かと比べることによって、子どもの笑顔に価値が生まれます。そして、○○ちゃん、○○クンの笑顔を見ると、私は、とてもうれしい、といった場合には、その子どもの笑顔そのものに価値が生まれることになるでしょう。前者は、相対価値であり、後者は絶対価値になるでしょうね。

子どもたち一人ひとりの持ち味など、その価値を伸ばすことを考えた場合には、私たちは、相対価値で見るよりも絶対価値で見るほうが子どもたちを伸ばすという考えにあった見方、捉え方ではないでしょうか。

また、子どもたち本人が、自分の価値を見つめて、伸ばしていく場合においては、相対価値と絶対価値の両方をバランスよく見ていくことが大切だと思います。

他者から自分の価値が認められるとしても、「あなたは○○と比べて○○だね」と言われた場合と、「あなたの○○は素晴らしい」と言ってもらった場合では、受け取る印象が違ってくるのではないでしょうか。

前者の場合、自分の良い面を指摘されたとしても、少し複雑な気持ちになって、素直に受け取ることができないこともあるのではないでしょうか。後者の場合ですと、自分の持っている良い面そのものを認められて、それを自分の価値としてもっと伸ばそうと考えるのではないでしょうか。

自分が自らの価値を高めるには、比較対象を設定して、その人などと競うことによって、自らの価値を高めていくという相対価値の視点があります。また、自分にしか生み出すことができない価値や、自分が決めた理想像やビジョン想いを追求する行動をとっていくことで価値を生み出し、高めていくという絶対価値の視点があり、その両面を併せ持って、自らの価値を見ていくことが必要だと感じます。

個人だけではなく、企業などの組織においても、相対価値と絶対価値のバランスは重要になってくるように思います。

短期的な視点では、競合企業と比べて差別化された商品やサービスなどを生み出し、お客様に提供し、お客様に満足していただく価値を高めていくことは必要です。加えて、長期的な視点で見ると、その企業のビジョンや想いなどを表現した商品開発や、自社にしか生み出すことができない商品開発などの様々な活動を通じて、絶対的な価値を高めていくことも重要になってくるでしょうね。

以前聴講した研修の中で、講師の先生が、褒める時と叱る時は特に他者と比較してはいけないと、講義の中で述べられていました。

その人自身の価値を見る時に、誰かと比較することによって、その人の価値を見てしまいがちです。子どもたちの持っている良い面については、他の人と比べるのではなく、その良い面そのものを絶対価値としてみていくことが大切になってくると思います。そして、子どもたち自身も、誰かと比べて自分の価値を相対的に見出し伸ばすだけではなく自分自身の持ち味などを絶対価値として伸ばしていくことが重要になってくるのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 いしまるとものぶ 【発行周期】 週刊

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