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楽天の送料無料が「独禁法違反」のおそれ。出品者からは不満噴出

大手通販サイトを運営する「楽天」の「送料無料」の方針について、公正取引委員会が「独占禁止法違反のおそれがある」と伝えていたことが判明したと朝日新聞読売新聞などが報じた。楽天は、ライバルの「amazon」への対抗策として来春の導入を目指して「送料無料」を進めてきたが、現状のままでの導入は厳しいと見られる。また、出店者からは「送料負担が増える」と批判の声も多くあり、見直しや変更が求められている。


楽天が打ち出していた「送料無料」の方針

今年1月に楽天が打ち出していたのは、税込3980円(沖縄・離島などは税込9800円)を購入すれば「送料無料」とするもの。制度の開始は2020年の3月中旬を予定していた。

送料を自己負担する出品者も

「送料を無料にすることで、楽天市場内での販売価格がわかりやすくなり、集客力が高くなる」という理由から、楽天はこれまでも出店者に送料無料を求めていた。実際に、楽天が行なった実証実験では、送料無料の基準を設けることで、購買金額は約15%、店舗の新規顧客数は約14%アップしたとのこと。かかる送料については、出店者が負担するのではなく、本体価格に上乗せすることで対処できるとしてきた。

しかし、「送料を予想して上乗せするのは難しい」「値上げすると検索順位が下がるため、自己負担できる大手出店者に勝てない」などの声があがっていた。これらの理由から、一部の出店者からは「自己負担することになる」と反発されていたという。

amazonはOKで、楽天はNGな理由

政府は楽天のこれらの方針について、「送料が売上向上に繋がるかどうかは不透明」「売上があがらなかった場合、出店者に負担を強いかねない」とし、「優越的地位の乱用」に当たる可能性があると指摘したようだ。

競合「amazon」にも、通常配送無料の商品はある。しかしこれらの商品は、アマゾンジャパンが自ら販売している2000円以上のもの。有料の「プライム会員」であれば、注文金額に関わらず「日時指定便」なども含めて無料になる。アマゾン以外の業者が出店している場合は、各出店者が独自で送料を決められる。しかし、出店者がアマゾンの物流システムを利用していたら、配送料はアマゾン販売商品と同様の扱いで表示されるシステムだ。

楽天だけではない、規制強化

読売新聞によると、政府は17日午前、「デジタル市場競争会議」を開き、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業に対する規制強化策の5項目をまとめた。ここでいう巨大IT企業は、グーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの「GAFA」と呼ばれるアメリカの4社や、楽天やヤフーなどスマートフォンのアプリ市場やインターネット通販などプラットフォームを運営する企業だ。議長の菅官房長官は、世界的に議論が本格化している点について触れ、「デジタル市場に関する新たなルール整備のあり方を示した」と述べていた。

新法案

新法案「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)」では、取引先企業との契約条件を開示し、契約を変更する場合は事前に通知するなど取引実態について政府への定期的な報告が義務づけられる。情報開示を拒否した際は、企業名を公表して是正を勧告したり、改善を求める命令が可能になる。取引先の中小・個人事業者などに不利益を強いることを防ぐ狙いだ。

あわせて、独占禁止法による取り締まりを強化するための指針も示した。強い立場を利用して相手に不利な取引を強いる「優越的地位の乱用」について、企業間はもちろん、消費者との間にも適用できるようになった。

個人情報保護法も改正される

また、会議では個人情報保護法の改正案も認められた。消費者が個人データの利用停止を求めた際、企業が応じなければならないというものだ。これは、国内だけでなく、海外の企業にも適用される。

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source:朝日新聞読売新聞

image by: Pavel Kapysh / Shutterstock.com

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