安倍首相が1月24日に出した春節の祝辞で「春節に際して更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしている」と述べたことについて、批判の声があがっている。中国・湖北省の武漢市で発生した新型コロナウイルス による肺炎が問題視されるなか、すでに同ウイルスによる死亡者が出ている報道があったにもかかわらず、1月24日に発表したものだ。以下に、在中国日本国大使館の公式HPに掲載された「安倍晋三内閣総理大臣春節(旧正月)祝辞(2020年1月23日)」を転載する。
春節祝辞全文
日本で活躍されている華僑・華人の皆様、謹んで2020年の春節の御挨拶を申し上げます。
今春、桜の咲く頃に、習近平国家主席が国賓として訪日される予定です。日本と中国は、アジアや世界の平和、安定、繁栄に共に大きな責任を有しています。習主席の訪日を、日中両国がその責任を果たしていくとの意思を明確に示す機会にしたいと思います。
本年夏には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。日中両国の選手が大活躍することを心から祈念します。両国は本年を、「日中文化・スポーツ交流推進年」として、人的・文化交流を一層推進していくことで一致しています。著名なアイドルグループ「嵐」に、この推進年の親善大使を務めてもらいます。国民間の交流が、相互理解・信頼を更に深める役割を果たすことを期待しています。
春節に際して、そしてまた、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、その土地ならではの日本らしさを感じて頂ければ幸いです。同時に、更に多くの日本国民が中国を訪問し、中国への理解を深めて頂きたいと思います。
日中関係の発展のため、華僑・華人の皆様に、日頃から両国の間の架け橋として貢献して頂いていることに感謝申し上げると共に、新年が皆様にとり素晴らしい年となりますことを、そして皆様のお力添えのもと日中関係が更に発展することを心より祈念し、新年の御挨拶とさせて頂きます。
2020年1月
内閣総理大臣
安倍晋三
掲載されたのは1月24日
今回批判の声があがっているのは「春節に際して更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしている」といった部分。というのも、この祝辞が掲載されたのは、すでに新型コロナウイルスによる肺炎が騒がれていた1月24日だ。この時点で、新型肺炎の感染者は中国国内で883人、死者は26人にも達しており、日本国内でも2人目の発症者が出たと発表されていた日である。新型肺炎の脅威が発覚する前に作られた祝辞であり、春節というタイミングで掲載したとしても、日本国内に不安が広がる中、このような文章を掲載し続けることに異論はなかったのだろうか。この祝辞は1月30日午後1時現在、まだ掲載されている。
中国人観光客に短期ビザ認める
出入国在留管理庁が、武漢周辺に帰国できない複数の中国人観光客に短期滞在ビザの更新を認めているとわかった。帰国不可能な武漢周辺の中国人更新申請は28日以降急増しており、担当者は「帰国が困難との合理的理由があれば、柔軟に対応していく」と説明している。しかし、武漢の閉鎖がいつ終了するかは不明。また、ウイルス感染後の潜伏期間は2週間にもおよぶことから、ビザ更新を認めた中国人の中に感染者がいる可能性もあり、さまざまな問題も残っている。日本にも不安の色が広がる中、安倍首相の対応に注目したい。
Twitterの反応
安倍晋三内閣総理大臣春節(旧正月)祝辞(2020年1月23日)
削除したほうがよろしいのでは? https://t.co/MsjrMQO8rd
— fusion (@__fusion) January 28, 2020
狂っとる
安倍晋三内閣総理大臣春節(旧正月)祝辞(2020年1月23日) : 在中国日本国大使館 https://t.co/lCMSbrrSIP
— しゅー (@Emla_Rmgn) January 29, 2020
安倍首相「春節に際して、そしてまた、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています」
ここまで絶望的に空気を読めない人が7年以上もこの国のトップって、本当に誇らしいですよね() https://t.co/ciosEOP8p1 pic.twitter.com/4xCBcg9DuA
— Yamashi Tyler (@yamashi0645) January 29, 2020
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source:在中国日本大使館
image by:首相官邸