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開幕間近のJリーグ。新型コロナウイルスにサッカー界の対応は?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、サッカー界にも及んでいます。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)のグループステージは、前半の3節までの中国ホームの試合がすべてアウェイに振り替えられました。2月8日のゼロックススーパーカップで開幕するJリーグへの影響はあるのでしょうか?サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』では、過去の感染症騒動時を振り返って比較しつつ、事態の動向を注視しています。

SARSを超える勢い。広がり続ける感染

日本ならびに世界は新型コロナウイルスの話題で持ち切りである。特に中国と距離的に近くて人々の移動も激しい日本では、連日、コロナウイルスが大きく報道されている。当たり前の話になるが、日々、死亡数と感染者数は増えており、1月30日(木)時点では「7,000人感染、170人死亡」と報道されている。

ただ、死亡数はともかくとして、感染者数の正確な数字が分かっているとは考えにくい。特に中国国内での感染者を正確に把握するのは(現状は)ほぼ無理なので「感染者数に関する数字はあてにならない。」と言える。

こういう騒動は定期的に起こるが記憶に残っているのは「SARS(2002年11月~2003年7月)」と「新型インフルエンザ(2009年春~2010年3月頃)」の2つになる。SARSも中国が中心になったが様々なイベントが中止になるなど大きな騒動になった。

改めて調べてみるとSARSは「香港を中心に8,096人が感染。37ヶ国で774人が死亡した」という。致命率9.6%なので相当に高いが「大きく騒がれた割には感染者数や死亡者数は意外と少なかった」ということが分かる。(※死亡数や感染者数の人数に関しては諸説ある)

2009年の新型インフルエンザの死亡者数は全世界で14,286人と言われている。こちらはかなりの数になる。発生源は「豚の間で流行していた豚インフルエンザウイルス」で農場などで豚から人に感染して新型ウイルスとして人間にも広まったという。メキシコとアメリカで最初に確認された。

記憶している限りでは今回の新型コロナウイルスの騒動は「2009年の新型インフルエンザ以来の大きな騒動」だと思うが日本国内での感染者数は徐々に増えていくだろう。亡くなる人が発生した場合は大きく取り上げられるだろう。

個人的に記憶している騒動に限定すると「今回が3回目」になるがパニックになるのが一番良くない。連日、メディアはコロナウイルスを大きく取り上げるが不確かな情報もたくさんある。

しかも、SARSや2009年の新型インフルエンザの時とは違ってほとんどの人がスマホを持つ時代になっており、誰もが気軽に情報を発信できるようになっているので「ガセネタ」や「デマ」が広まる確率ははるかに高まっている。TVや新聞などの情報も完全には信用できないがツイッターなどで流れている情報の信憑性や信頼度はさらに低い。

2009年の新型インフルエンザのときは…

過去の経験を踏まえても「騒ぎすぎるのは良くない」と思う。過去2回のときも1年ほどで事態は収束しており、いずれは新薬も開発されると思うが、サッカー界にも影響が出始めている。ACLは「GLの1節・2節・3節に予定されていた中国開催の試合は全て同一相手のアウェイ戦になる」と決まった。

日本勢では横浜FMの日程が変更になった。3節で上海上港とアウェイで対戦する予定だったがこれがホーム戦に変更になった。4節のホーム戦がアウェイ戦になるが事態が収束していないようだと新たな対応が必要になる。

神戸とFC東京の日程は変わらなかったが中国勢は全て「1節~3節がアウェイ戦」になるので小さくない影響をもたらすだろう。2020年の中国スーパーリーグが予定通りに開催できるのか?も微妙になっているが仮に今のような状況が、しばらくの間、続いた場合は開幕まで1か月を切ったJリーグも大きな影響を受けるだろう。

「人への感染力がどのくらい強いのか?」はまだはっきりとしたことは分かっていないとは思うが数万人が集まるイベントとなると「普通に開催しても大丈夫なのか?」という心配の声は出てくるだろう。

記憶している人は少ないと思うが2009年に新型インフルエンザが流行したときも「サッカーの試合を開催しても大丈夫なのか?」という声は小さくなかった。この年の5月に初めて日本人への感染が判明して、今現在のコロナウイルスの騒動と似たようなパニックが起こった。

その最中の2009年5月23日に行われたC大阪 vs 福岡の試合を長居スタジアムで観戦しており、当時の記録や記事などを改めて見返してみたが「新型インフルエンザの影響で試合の延期も考えられた」と記述してある。延期の話はあったようだ。

10年以上前の出来事を思い出してみたが「厳戒態勢だったこと」は記憶している。この日の観衆は6,237人。長居スタジアムは4万人以上を収容できるので空席が目立ったがこの年のC大阪のホーム戦の平均は9,912人。なので平均よりもかなり少なかった。人数的にはこの年のC大阪のホーム戦の中では下から8番目の動員数。新型インフルエンザを警戒してスタジアムに行くことを諦めた人は少なくなかったと思われる。(※ちなみにこの試合は20歳だったMF乾が4ゴールを挙げる大活躍。C大阪が4対1で大勝している)

当面は静観?開幕間近のJリーグへの影響は?

Jリーグの開幕はまだ少し先なので「当面は静観して見守るだけ」だと思うがこういう時期にたくさんの人を集めるイベントを開催して感染者数の増大に関係してしまうとJリーグならびにサッカー界が大きな批判を浴びることになる。

現在進行中のスポーツイベントの中ではラグビーのトップリーグが結構な数のお客さんを集めており、先週末は普通にリーグ戦が開催されているが、「ラグビーの試合を開催していても大丈夫なのか?」という声はこれから出てくるだろう。Jリーグはトップリーグの動き方が参考になるだろう。

「ここからの数日間でどこまで感染者数や死亡者数が増えるのか?」で世論も変わってくると思うがJリーグの日程もカツカツなのでそう簡単には日程を動かすことはできない。金銭的なマイナスも大きくなるので「中止をする」、「延期をする」といった対応はギリギリまで下せないと思うが判断が遅れると大変なことになる。

村井チェアマンが全てを決断することになると思うが、今、現在、頭を悩ませているだろう。2009年の新型インフルエンザの時と違って「リーグ戦の開幕前」なので時間的な猶予がある分、マシではあるが…。

いずれにしてもコロナウイルスを軽く考えて過度に楽観視するのは良くないが過剰に心配しすぎてパニックになるのも良くない。不確実な情報に振り回されるのは全く良くない話である。報道されているとおり、「死亡率=2~3%」であればSARSなどと比べるとかなり低い。

「不特定多数の人が集まる場所にはうかつに行かない」や「手洗い・うがい・アルコール消毒などをこまめに行う」など基本的なことを心がけていたらある程度は大丈夫だろう。この騒動が早く収束して平穏な日々が一刻でも早く訪れることを期待する。

image by: shutterstock

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