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コロナ後の意識の変化で、死者が少ない日本が取り残される可能性

PCR検査数が少ないことから、新型コロナウイルスに由来する東京の死者数ははるかに多いとする欧米メディアの疑念は、3月までの全死者数が過去4年の平均値を下回ったというデータにより、下火となっているようです。ニューヨーク在住『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者のりばてぃさんは、死者数が少ないのは喜ばしいことでも、多くの死者が出た欧米とは意識の違いが生じると指摘。世界的なビジネスのあり方の変化から取り残されないよう、注意すべきと伝えています。

データが裏付け。東京の死者数の少なさ

今週あたりから、世界的に新型コロナウィルス感染拡大防止のための営業自粛やリモート・ワークを徐々に解除する、しないという話題が飛び交っているが、そこを論じる前に知っておくべき極めて重要な情報を1つお伝えしよう。

それは、以下のブルームバーグ紙の5月12日付のニュース。日本でも同じ内容を和訳したものが5月14日付で報じらている。

【オリジナル】
Tokyo Mortality Data Shows No Jump in Deaths During Pandemic
【内容は同じ、日本語訳】
東京都内の死亡者数、新型コロナ感染症拡大局面でも急増見られず

これまでのところ日本は諸外国と比較するとPCR検査の実施率が低いということで、主に海外メディアなどから、「日本の低い検査率は疑問を生む」(Japan’s low testing rate raises questions、4月30日付BBC)とか、極端に言うと、「本当は新型コロナで亡くなってる人が増えているのに、日本ではPCR検査を徹底せず、隠蔽してるんじゃないの?」みたいな根拠のない批判も出ていた。「大丈夫なの?日本?」という論調が多め。

でも、このブルームバーグの一報では、「新型コロナウイルス感染症が拡大していても東京都の全体の死亡数は急増していない。それどころか、1-3月の死亡数は3万3106人と過去4年の同じ時期の平均を0.4%下回った」という事実を、ちゃんと英語圏の人々に向け、わかりやすいグラフも加え、東京都のデータに基づき証明している。

4月分のデータはまだ不明だが、3月分まで明らかになったことで諸外国からの、「3月に延期を発表するまで、東京五輪・パラリンピックの開催を実現するため感染者数を隠そうとしたのではないかとの説も取り沙汰された」などの指摘もこれで払拭されている。素晴らしい。

あと、この記事では「死亡数」の重要性に関する説明の中で、「超過死亡」という指標をこのように説明してくれているので、知識として覚えておくと良いと思う。

「新型コロナの発生による真の死亡数を把握する手法として超過死亡という指標が広く提唱されている。この数字には、ウイルス検査を受けずに亡くなった人や、別の原因で死亡した可能性があるが医療提供体制への負荷が高まり治療を受けることがでなかった人も含まれている。ある研究によれば、米ニューヨーク市内の死亡数は新型コロナ感染症が流行する中で想定の4倍に達した」

衝撃の事実。なんと、米ニューヨーク市内の死亡数は想定(=例年通りの平均値のこと?)の4倍にも増えている?!うーむ…。

なぜ日本での死者が少ないかの理由は清潔だからなどなど諸説でているが、感染者死亡者の多いニューヨークでもアジア人の感染や死亡者数は他の人種と比較しても非常に少ない。(前回のメルマガでお伝えしたように日本人医師で感染している人もいるし、一般人の方で亡くなっている人もいるので、悪化しないというわけではないしので、油断はできない)。

以上にように、日本での新型コロナによる死亡者数が極めて少ないのは、大変喜ばしいことなのだが、その反面、日本と諸外国で様々な違いは今後、出てくるかもしれない。

コロナ後もリモートワーク継続意向の多いアメリカ

多数の死者という感情を揺さぶる事柄は、大きな変化を生みやすい。今後、新型コロナが世界的に流行する中だからこそ生まれたこれまでなかった新しい取り組み、社会現象、テクノロジーやイノベーションなどに対する受け止め方、反響、普及の速さや程度において、日本と諸外国の間に、少なからぬ差や違いをもたらすかもしれない。

その結果、コロナ後の世界の進化に日本だけが取り残されてしまうかもしれず、また、その変化に鈍くなってしまうかも?これまで以上に海外の変化に注目するときなのかなと思う。

コロナ後、まず変化するのは、リモート・ワークを中心とした働き方の変化。死者数の少ない日本では、再開すればコロナ前とさほど変わらず会社への通勤が多くの企業で再開するだろう。リモートワークを継続すると宣言している日本の企業もあるが数は少ない。

でも、アメリカでは、特にテック系大手のツイッター社は今後ずっとリモート・ワークでも良いと宣言。グーグルやフェイスブックも少なくとも年内いっぱいは大部分の従業員を自宅勤務にすると発表している。

他にはニューヨークに巨大なオフィスを持つ金融機関、例えば、バークレイズやJPモルガン・チェイスでも従業員を同じ時期に一度に戻すことはないとのこと。さらに、コンピューター・メーカーのDellも同社の全社員の50%超となる16万人がオフィスのデスクに戻ることはないかもしれないという。

NBC Nightly News

確立された治療法やワクチンができるまでは慎重なのである(訴訟大国アメリカなので勤務環境の問題から訴訟リスクもある)。そして、リモート・ワークがこのまま成り立つなら、これまで雇用を考えていなかった遠隔に住む人材を雇用したり、オフィス自体を利便性の高い都心部から従業員がより多く住む郊外に引っ越すのも選択肢にあるね、なんて話もでていたりする。

そうなると、オフィスで働く人が減るためこれまで都心部に集中していた商業用不動産はもちろんのこと、その周辺のレストラン、飲み屋などの飲食店での昼食、ハッピー・アワー、夕食、オフィス向けバンケット(祝宴、パーティ用の食事)などの需要が減少する。

ただでさえ、今、まさにコロナ対策で厳しい状況にある飲食店。オフィス街で主にビジネスマンを相手にしていた飲食店はさらに厳しい状況になるかもしれないのだ。この他、駐車場なども同様に厳しい状況となるだろう。

ただし、エッセンシャル・ワーカーのようにそもそも在宅勤務ができないお仕事の方々も大勢いるので、今の時点で予想を決めつけず、実際、どうなるかを今後も引き続き観察していく必要があるだろう。

コロナ後のもっともわかりやすい変化としてリモート・ワークという働き方の変化を今回は考えましたが、実は、このリモート・ワークを中心に他業種への影響を考えるとどのように変化するのか見えてくる気がします。進捗状況は要チェックですね。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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