5月11日、専門家会議の尾身茂副座長が「実際の感染者数は誰にも分からない」と発言。わからない数字を元に国民は苦しめられていると声をあげるのは、メルマガ『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』著者で中部大学教授の武田邦彦さんです。武田教授は、感染者数を把握するのは不可能で、例年のインフルエンザや風邪は「患者数」でしか語られないと、「感染者数」と「患者数」の違いも解説。感染者数のインチキを尾身副座長が認めてもなお、「今日の感染者数」を伝え続け、その数字を元に国民に苦労を強いる行政やNHKを始めとする報道機関を「裸の王様」よりひどいと呆れます。
「裸の王様」よりもひどい政府の対応。ついにバレたインチキとは?
コロナウィルスやそれに伴う自粛、仕事や収入を失ったことはすべて「インチキな数値」がもとになっていた可能性が浮上してきた。それは単に私(著者)の科学的な計算や調査だけではなく、政府当事者からの「白状」で明らかになった。
もともと科学的には、「感染者数」というのは「測定できないものなので、数値はない」はずのものだった。しかし、政府もNHKも「今日の感染者」という発表を行い、それに伴って学校の休校や自粛勧告などを行ってきたので、多くの国民は「感染者数」という数字は確かなものと思っただろう。
さらに「感染の専門家集団」が「感染者数に基づく再生産数」なる専門的数値を出し、それが1.0より大きいか小さいかで今後の日本人の運命を決めるようなことをいうものだから、さらに不安になり、感染者が増えるたびに恐怖に慄き、自分が次の「感染者」になるのではないかと恐れた。
感染者をめぐるインチキは私が2月ごろからたびたび指摘していたが、なにしろ個人だし、感染学の専門家でもないので、テレビでの発言も難しく、かえって多くの人から反撃される始末だった。
ところが、2020年5月11日の参院の予算委員会で、ついにインチキがバレた。隠しきれなくなった政府の「専門家会議」の副座長が「症状が軽い、ない人が多くいる。(実際の人数について)10倍か15倍か20倍というのは誰も分からない」と発言したからである。なにしろ参院の予算委員会の席上で政府の専門家会議の副座長が白状したのだから、大変なことだ。
でも、その後も政府、自治体の首長などが相変わらず「感染者数」や「再生産数」を説明に使い、NHKも何も訂正せずに報道を続けた。まるでアンデルセンの「裸の王様」のようだが、それよりひどい。「裸の王様」の物語では、少年が王様が裸であることを言ってそれでケリがついたが、今回は「感染者数」がデタラメであると参院の予算委員会で明らかになったのに、それも認めないというのだから。
政府の仮定で生まれた無茶苦茶な「感染者数」が苦しめた国民の生活
少し解説をしてみたい。ウィルスが人間の喉の細胞にとりつくと、まず第一段の防御細胞が反応してウィルスの撃退に向かう。でも、これは毎日のようにいろいろなばい菌やウィルス、化学物質と戦うので、それほど強力ではない。ウィルスはノドの抵抗を排するとさらに奥に入り、増殖を続ける。コロナウィルスの場合はインフルエンザより数が少なく、100万個(1ml当たり)ぐらいで発症し始める。
当の本人はウィルスが体内に入ってもまったくわからず、増殖して鼻水がでるとか、咳、倦怠感などが出ないと感染したということはわからない。普通は、家にいて「カゼを引いたな」と思っても、しばらくは普通の生活をしているが、熱がでたり頭がひどく痛くなると病院に行く。それでもまだ「患者」ではない。
病院では医師が診察し、時には検査もして病名を決め、それをカルテに書く。そうなると「何々の患者」ということになる。毎年1千万人もかかる「インフルエンザの患者」というのは、医師がカルテに書いた人の数である。
もし、カゼの「感染者」を明らかにしようとすると、冬のカゼ(インフルエンザ、コロナ、アデノ、ライノ、RSなど多数のウィルス)を毎年、すべての日本人について検査が必要であり、そんなことは非現実的であって1回もしたことがない。これまでスペイン風邪(日本で40万人死亡)、ソ連風邪など日本人も大きな影響を受けたカゼがあったが、「感染者」が問題になったことも検査に注目されたこともなかった。政府も自治体も、NHKも誠意があって「患者」しか報道しなかったからである。(メルマガ『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』より一部抜粋)
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