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木村花さんを中傷した人を中傷する人も出たネット社会の地獄絵図

恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中、22歳という若さで自ら命を絶ってしまった人気女子プロレスラーの木村花さん。SNSによる誹謗中傷に悩まされていた木村さんですが、その死後「誹謗中傷した側」が弁護士に相談するケースが急増するなど、「どこまでが誹謗中傷になるのか?」という議論がネット上で毎日のように交わされています。サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』では今回、木村花さん死去のニュースを取り上げ、過去にダルビッシュ投手らスポーツ選手に向けられた中傷などを例に出しながら、SNSによる誹謗中傷の問題点を論じています。

【関連記事】木村花さん死去で「中傷した側」から弁護士へ相談急増に怒りの声

どこからが誹謗中傷なのか? どこまでがOKなのか?

フジテレビ系列で放送されている「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんがネット上の誹謗中傷が原因で亡くなったとされるニュースは衝撃度が大きかった。韓国ではネット上の誹謗中傷が原因で有名人が自殺をするケースがたびたび発生して、その都度、日本でも話題になった。そのときは「韓国のネット社会の異常性」や「韓国社会が抱える闇」を指摘する声が多かったがついに日本でも同じような痛ましいことが発生してしまった。この1週間、木村花さんのニュースが大きく取り上げられた。

「テラスハウス」という番組をちゃんと視聴したことはないので詳しいことは分からないが若い男女が共同生活を送って恋愛に発展していく様子を外野があれこれ言いながら観るという番組は昔からある。1999年から2009年まで放送された「あいのり」が世代的にはドンピシャになる。Every Little Thingが歌った主題歌の「fragile」が大ヒットになるなど当時は社会現象になったがそういう番組が若い女性を中心に人気があるのはよく分かる。「テラスハウス」は世界的にも人気だったというが収録と放送の中止が発表された。

「誹謗中傷」というワードがクローズアップされており、いろいろな人がいろいろな立場からものを申している。メジャーリーガーのダルビッシュ有投手が「著名人への誹謗中傷はこんな感じです。」とバッタの大群の写真を添付したことも話題になったがダルビッシュ有投手も離婚経験があって元・妻の紗栄子さんを含めて相当な誹謗中傷を浴びている有名人である。最近はツイッターを活用して「ご意見番」のような立ち位置になっているが現在はアメリカでプレーしているのでアメリカ人からの誹謗中傷も少なくないだろう。

最近のサッカー選手で最も誹謗中傷を受けたと思われるのはやはりMF本田圭である。ロシアW杯の本大会で1ゴール1アシスト。初戦のコロンビア戦では決勝ゴールをアシストして、GLの2戦目のセネガル戦では価値ある同点ゴールを記録した。本大会での活躍によって彼の価値が見直されて現在はネット上の評価はかなりポジティブなものになっているがハリルホジッチ監督の解任騒動からコロンビア戦までの期間のMF本田圭へのバッシングは物凄いものがあった。誹謗中傷と言われても仕方がないコメントも多かった。

無法地帯になりつつあるネット社会

MF本田圭は「批判的な声や叱咤激励する声のみならず、バッシングや誹謗中傷や理不尽な批判の声」でさえ、エネルギーに変えることが出来るパワーを持っているが、「普通の選手」や「普通の芸能人」や「普通の一般人」では難しい。自らがコメントしている通りで「MF本田圭は特殊」である。あれほどの状況になりながらロシアW杯のときに周囲を見返したのはさすがだったがメンタル的にやられてしまって潰れてしまうのが普通である。特異な例としなければいけない。

木村花さんに心ない言葉を浴びせた人は当然のことながら反省すべきであり、場合によっては何かしらの罰を受ける必要がある。「スマイリーキクチ中傷被害事件」のときは中傷した人が一斉に検挙されているが今回は自殺という形になった。関係者によって訴えられる可能性も出てきたので行方を見守りたいが「木村花さんを誹謗中傷した人を誹謗中傷する人」も出てきており、地獄絵図になってきた。「木村花さんを中傷するツイート(or 中傷した人)」をピックアップする記事(まとめサイト)もたくさん生まれている。

この件で政府も、早速、対策に乗り出している。これだけ大きな騒動に発展したので政府レベルで何かしらの有効な対応を立てないといけない状況になっているがこういう事態になってしまうと「言論の自由」や「発言の自由」がある程度のレベルで制限されてしまうのは致し方ない。政府が法整備などを行おうとする動きに対して強く反発する人はたくさん出てくると思うがツイッターを含めたネット社会は無法地帯になりつつある。政治家が主導して何かしらの手を打たいないと同じような悲しい事件が次々に生まれるだろう。

どこまでが誹謗中傷でどこからが正当な批判なのか?

やはり、難しいのは「どこまでが誹謗中傷でどこからが正当な批判なのか?」である。線引きは難しい。もっと言うと不可能に近い。今回の騒動を受けて「政治家への誹謗中傷(厳しい批判や批評)はある程度は認められるべき」であったり、「顔を出して実名での誹謗中傷(厳しい批判や批評)はある程度は認められるべき」と主張する人も出てきたがそれぞれがマイ・ルールを設定して「自分はOK」、「自分には関係ない」、「これまでの自分の発言や書き込みはOK」などと主張し始めているのは滑稽に感じる。

セクハラ問題やパワハラ問題と同じで言われた側が誹謗中傷と感じたら誹謗中傷とせざる得ないのでは?」と思うが個人的な話をすると何かあるいは誰かに対して「これは誹謗中傷なのでは?」と言われても仕方がないような記事やコメントやツイートを全くしていないか?というと「NO」である。誹謗中傷をするつもりはなかったが傍から見ると一定以上の割合の人が「これは誹謗中傷なのでは?」と感じる記事やコメントやツイートはたくさんあると思う。「自分は過去に全く誹謗中傷をしていない」と言い切れる方が不自然である。

もちろん、言い過ぎないように常に気を付けているつもりではあるが完璧に対応するのは難しい。ただ、今後は「正当な批判」に対しても「これは誹謗中傷だ!」、「誹謗中傷は良くない」と返す人が多くなるはず。すでに何人かの芸能人は自分への誹謗中傷に対してはそれ相応の対応を取ること」を表明しているが「それは本当に誹謗中傷なのか?」と思うケースもいくつかある。「調子に乗ってやりすぎてしまう人が出てきて問題が発生した結果、法律などで強く規制されてしまう」というのは世の常であるがスマホの普及によってネット上のリテラシーが一気に低下したのは間違いない。

image by: 木村花Twitter

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