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ダメ出ししたいことが多すぎる日本の政府・自治体のコロナ対策

5月25日、緊急事態宣言が全都道府県で解除され、感染の第1波による医療崩壊の危機は免れた日本。時間が稼げるこのタイミングで、ここまでのわが国の感染症対策を振り返り、疑問点修正点要望等をメルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんが伝えます。山崎さんは、「with Corona」などと横文字で煙に巻く指導者を一喝。会見で為政者が胸を張った「日本モデル」には、海外メディアも指摘する全体主義的傾向に警鐘を鳴らし、その為政者が「適材適所」という言葉を知っていると思えない内閣の構成を嘆きます。

コロナ禍に思うこと

今は新型コロナの一時的な寛解期にある。そこで今回はこれまでのことについて思うことを書けるだけ書こうと思う。個々の件に関しては必要があればまた後日改めて詳しく書くつもりである。

「with Corona」(「コロナと一緒に」)
一体どういうことだ。感染症であるなら天然痘同様、一部の研究施設において標本として保管し、あとは悉く根絶やしにするのが常道であろう。横文字を以て国民を煙に巻くのも大概にしてもらいたい。そのうち「コロナは友達」とでも言い出しそうな甘さである。はっきり言っておく。コロナは全人類の敵である。共存の道などない。今すぐ勝てないから時間稼ぎをしているに過ぎない。
「Anti-Corona」(「防コロナ」)
「Counter-Corona」(「対コロナ」)
せめてこれぐらいの言い回しにしてもらいたいものである。

政府のコロナ対策の現場指揮官は、どう見ても西村経済再生担当大臣である。経済再生?どういうことだ。因みに西村氏の今現在の閣僚としての肩書を並べると、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、経済再生担当大臣、全世代型社会保障改革担当大臣そして新型コロナ対策担当大臣である。もう訳が分からない。

そもそも戦後最大の国難とも言える今のコロナの禍を兼任大臣に任せるのはいかがなものか。さらに言えば、経済再生担当大臣の職は現内閣発足時からのものである。つまりコロナによる経済的ダメージコントロールとは無関係なのである。ついでだから言うが、この国にはたしか厚生労働大臣がいた筈だがどこへ行った。

思えば、スマホの操作すらまともにできないような人間がIT政策担当大臣に就いたり、この国の行政府の中枢は一体どうなっているのか。この一事をもってしても台湾とは大違いである。殊、難局においてはこういった差が決定的になる。どうも任命権者は適材適所という言葉を知らないようである。ついでに今の内閣を見てみる。復興大臣に東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣に新型コロナ対策担当大臣。何なんだこれは!

国の借金はコロナ前に既に1100兆円を超えている。この非常事態に、今更100兆200兆の借金がどうだと言うのだ。いずれは国民が返さなければならない借金である。その国民自体が危急存亡の時にあるのにこれを救わずして何とするか。政権も晩期にかかると歴史に汚点が残ることを恐れてか、やることなすこと全てが後手後手である。ここは先手を打って、まず国民を安心させることが肝要である。長期戦に必要なのは何より兵糧である。

コロナ専門家会議の議事録がないとはどういうことか。これではまるで秘密組織ではないか。国民は日本政府にこんな権能を付与した憶えはない。そもそも非常時にこそ情報公開が大切であるということは先の戦争で嫌と言うほど学んだ筈である。いい加減にしてもらいたい。

数値目標をわざわざ挙げておいて、敢えてその数値を無視して総合的に判断するとは一体どういう了見か。事前に何の指標も明示されないまま「どうやら~らしい」といった噂だけが様子見のように流され、突然非常事態が宣言されたかと思えば突然それが解除になる。勿論その根拠となる数値は後付けである。

これでは先が何も見えない。「この数値なら、こう」というふうに予め決めておかなければ、どれくらいの規模で事業を再開していいのか業者の方も困る。どの事業者も手探りでの再開である。モニターできる数値がなければその計画すら立てられない。責任追及からの逃げ道を常に準備しながらの施策で一体何が守れると言うのか。いい加減腹をくくってもらいたい。

「日本モデル」などと誇らしげに言う者もいるが、海外メディアの伝えるところは大体において以下の3点である。

正直、全然称賛されてなどいない。特に3つ目は誤解を恐れずに言えば単なる軽蔑である。「それでも自由という概念を知る現代人か」と言われているも同然なのである。実際「相互監視」「社会的圧力」と言えば、もうそれは立派な全体主義である。差し迫った生命の危機が全体主義的あり様を知らぬ間に容認し、逃れられそうにない経済損失への恐怖が人を不寛容にする。

日本は決して成功者ではない。抑えつけられたその力によって滲み出た闇を目の当たりにすると、とてもそんなことは言えない筈だ。このコロナの禍は負の感情に支配された日本人の心の弱さを嫌と言うほど露呈した。勘違いしてはいけない。「自粛」とは飽くまで自分自身の考えで身を慎むことである。他の誰の監視も圧力もあってはならない。憎むべきはコロナである。故に共存もあり得ない。我々は戦う覚悟をするしかないのである。

image by: shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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