何でもすぐに答えを知りたがる。学習意欲や好奇心が旺盛なようにも感じますが、答えを聞く前に自分自身で答えを導こうとしたかという点に親は注意を払う必要があるようです。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんは、常に正解を求められる学校教育が子どもの「思考停止」を招くと指摘。子どもの「考える力」を伸ばすためには、親のサポートが必要で、どんなことに注意をしたらいいか伝えています。
考える力が無いと淘汰される!?
Question
息子は何でもすぐに聞いてきます。自分で調べるとか、考えるということをしません。ちゃんと調べてごらん、とか考えてみたら?と促しても一向に変わりません。
考える力が無いのかもしれず、この先、人の言いなりになったり、振り回されたりしないか心配です。(小学6年男子のお母様より)
柳川さんからの回答
調べてごらん、考えてみたら?と促すことはとても大切です。日本の社会は、幼い頃から正解を求められることが多いのです。授業でも正解以外はすべて「間違い」とされてきますから、常に正解を求める癖がつき、わからないと「間違い」を指摘されたくないので人に頼り、自分で考えることをやめてしまいます。「思考停止」です。子どもがしっかり考えるようになるために、親ができることをお伝えします。
1.正解を与えない
子どもからの質問に、正解や結論を与えるのはやめましょう。すぐ正解を与えたり、結論を出したりすると子どもは「考える」ことをしません。
その癖がつくと、子どもはもう「思考停止」状態で、自分自身が納得する答えを出す力がなくなってしまいます。つまり、「自分という軸がない」状態です。これは、自己肯定感が下がる原因の1つです。
2.指示や命令を変換
よく言ってしまう言葉に「人に聞かないで自分で考えなさい」とか「自分で調べなさい」など、指示や命令があります。これは、叱られた気持ちになるかもしれません。
「質問しただけで叱られる」と、質問すらしなくなります。ですから、子どもから質問されたら、「どうなんだろう?あなたはどう思う?」「それ、調べるにはどうしたらいいんだろう?」と、質問に変換し、子ども自ら考えて動くような癖をつけさせましょう。
3.答え泥棒をやめる
子どもが自分の気持ちや思いを考えているにもかかわらず、親が推し量って「つまり、〇〇ってことでしょう?」などと子どもの気持ちや思いを先取りすることはやめましょう。子どもの「考える力」を奪ってしまっています。
例え時間がかかっても、子どもが自分の気持ちや考えを口にするのを待ちましょう。大人でも、考えがまとまらずに時間がかかることがあるのですから、子どもならばなおさらです。
家庭教育アドバイス…「家こそ考える習慣を身につける場」
自ら主体的に考え、能動的に学ぶ、という「アクティブラーニング」が言われるようになって早8年。学校や社会ではまだ「考える力」を十分に育むことはできていない状態です。ならば、「家庭」で考える力を育みましょう。普段の家庭での会話をちょっと意識的に変えることで十分に育ちます。留意点は…
1.子どもの話を途中で遮らない
子どもの話がわかりにくかったら、促すための質問や相槌をして、最後まで話をさせましょう。
2.自分の意見に責任を持たせる
自分の意見をすぐに他人に合わせたり、変えたりするのではなく、まずは自分の意見を大切にさせ、それでも変えたいのならば、なぜそう思ったのかを考え、表現させましょう。
3.自分の気持ちを表現させる
日本では、自分の気持ちを抑えて、相手やその場の雰囲気に合わせることが少なくありません。それでは自分の意見を持たなくなるのも当然です。
「人と違う意見を持っている」ことは当たり前で、そうした意見を、子どもが自信を持って表現できる雰囲気を作りましょう。表現することはコミュニケーションをとる上で大切だ、ということを伝えましょう。
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