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死にたくなければ中国企業を切れ。それでも日本企業は中国を選ぶ

米英をはじめ世界の主要国の間で、「中国回避網」ともいうべき動きが広がりを見せています。トランプ政権は先日、8月より中国特定5社の製品を使用する企業との取引の禁止を決定。日本企業も大きな方向転換を迫られています。このような状況下にあって、「日本政府も企業ももっと早く中国離れを加速させる必要がある」とするのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、その理由を詳述しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年7月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】いよいよ日本企業も中国企業との取引が生死を分けるときがきた

中国5社製品使う企業排除 米政府調達、日本に影響

アメリカ政府は今年8月から、通信機器メーカ-のファーウェイ、ZTE、監視カメラ大手のハイクビジョンとダーファ・テクノロジー、無線機メーカーのハイテラの5社の製品を導入または使用している企業と、アメリカ政府機関が取引することを禁じることになると報じられています。

これにより、この5社の製品や部品を使っている約800社以上の日本企業が、アメリカの政府機関との仕事ができなくなるとされています。

もちろん、アメリカの政府機関との取引ができなくなるどころか、一般企業も、アメリカ政府機関から締め出されるような企業と関わることはリスクになりますから、どの企業とも取引を断られる可能性が出てくるということです。

これらの中国企業は中国の人民解放軍とのつながりも強く、また、情報を盗む仕組みを製品内に仕掛けており、アメリカ政府やオーストラリア政府は、以前から安全保障上の危険性を理由に、取引停止を訴えてきました。

そのため、アメリカは、同盟国にも同様のことを求めてくると思われます。軍事情報や機密情報が、この5社を導入している企業と取引している他国の政府機関から流出する恐れがあるからです。

今回の決定は、2018年8月にアメリカで成立した国防権限法2019を拡大したかたちのものです。この国防権限法2019によって、2019年8月から、上記の中国企業5社は、アメリカの政府調達から締め出されました。

このとき、日本も12月に、日本政府がファーウェイとZTEの製品を政府調達から排除する方針を決定したと報じられました。このとき、菅官房長官はコメントを差し控えていました。

日本政府、ファーウェイ・ZTE製品を省庁から排除へ 報道

しかし、今年の5月には、日本政府がすべての独立行政法人と個人情報を扱う政府指定の法人に対して、重要な通信機器を調達する際に安全保障上のリスクを考慮するよう求めることになったと、複数のメディアが報じました。

このとき、対象とされたのは、日本原子力研究開発機構など87独立行政法人と日本年金機構など政府が指定する9法人、合わせて96法人で、実質的にファーウェイなど中国企業の排除が進められつつあったわけです。

政府:通信機器調達に安全保障上リスク考慮、96法人も対象-NHK

そして、今回のアメリカの決定についても、日本政府は歩調を合わせるのは間違いないでしょう。つまり、先の5社の機器を導入している企業は、日本の政府調達からも外されるということです。

7月14日にはイギリス政府も、通信各社に対して、来年以降、ファーウェイの第5世代移動通信システム(5G)の購入を禁止すると発表し、すでに購入していた場合には、2027年までに撤去する必要があるとしました。

英政府、ファーウェイの5G設備の排除を指示 2027年までに

すでにオーストラリア政府は、ファーウェイの5Gからの締め出しを宣言しており、また、カナダやドイツでも同様のファーウェイ排除が進みつつあります。こうした西側諸国の動向からしても、日本だけがこの流れから外れるというのはありえないでしょう。

英国・カナダが脱ファーウェイ、容認から一転 NECらに好機

おそらく、今年の9月ごろにアメリカで開催されると思われるG7において、各国の中国排除の協調路線が打ち出されるのだと思います。

トランプ大統領はそのG7について、韓国やインド、ロシア、オーストラリア、ブラジルを招いてG12に拡大することを提案しています。これは明らかに中国包囲網の構築にほかなりません。

一方のイギリスは、G7に韓国、インド、オーストラリアを加えた10カ国の民主主義国からなる「D10クラブ」を結成し、次世代通信規格5Gにおいて、中国を除外したサプライチェーンを構築しようとしています。

英国がファーウェイ段階的禁止、10カ国の同盟形成へ

ことが安全保障に関することですから、いくら自国が中国企業の製品を使わないからといって、他国が使用していたら、そこから情報が漏れる可能性があるわけです。そう考えると、こうしたG12やD10の陣営に入るグループと、中国側の陣営に入るグループは、通信においても完全に分断されることになるでしょう。

G12やD10の陣営は、もう中国陣営の国とは通信網を繋げない、といったことも起こる可能性があります。つながっている限り、情報漏えいの危険性があるからです。そうなれば、世界は完全に分断され、両陣営が厚いカーテンで仕切られることになります。

問題は、中国のような一党独裁、情報統制、人権弾圧国家の側に行きたい国が本当にあるのかということです。

かつての東西冷戦の東側陣営には、たとえそれが欺瞞であったとしても、一応は、共産主義という大義名分がありました。

しかし、共産主義を捨てないといいながら、西側の資本主義や自由貿易の恩恵をタダ取りし、さらに人民の人権より共産党の安寧を最優先する国と、どのような大義名分を共有できるのか、きわめて疑問です。

これまで私がこのメルマガでも述べてきたように、習近平が掲げる「中国の夢」は「人類の悪夢」です。完全な監視社会、統制社会という点では、習近平や中国共産党はジョージ・オーウェルの小説『1984』に出てくる「ビッグブラザー」そのものです。

日本政府も日本企業も、もっと早く中国離れを加速させる必要があります。うかうかしていると、西側陣営から外される恐れがあります。今後の中国に、どのような夢があるというのでしょうか。その夢は、我々、民主主義国と共存できるものなのか。熟慮すべき時が来ているのだと思います。


 

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image by: photocosmos1 / Shutterstock.com

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